
レギュレータは電圧を安定化させる部品です。入力にバッテリーをつなげると、ピッタリ12Vが出力されます。バッテリー電圧が変化しても出力される電圧は変化しません。
レギュレータで電圧を12Vに固定すれば、バッテリー電圧が低いときも高いときも安定した電流が流れますので、LEDの設計が楽になります。
このレギュレータは、車載用に設計されたナショナルセミコンダクター社の3端子レギュレータ LM2940(
データシート)です。低損失(ロードロップアウト)タイプですので、ドロップアウト電圧が低く、バッテリー電圧が低くても12Vになります。
今回はどのくらいのバッテリー電圧から12Vに安定するか実験してみました。
被検レギュレータは LM2940CT-12(100円)、負荷はLEDではなく100Ω、62Ω、30Ωの3種類の抵抗をつなげてみました。
記号は、バッテリ電圧Vin(V)、レギュレータ出力電圧Vout(V)、電流I(mA)、負荷抵抗R(Ω)、レギュレータ入出力電圧差Vin-out(V)レギュレータ温度C(℃)です。測定器はすべてデジタルテスターを使いましたが誤差があります。室温は約17℃です。
回路1、R=100Ωの場合
Vin=12.0Vのとき Vout=11.85V、Vin-out=0.16V、I=112.8mA、24℃
Vin=12.1Vのとき Vout=11.96V、Vin-out=0.17V、I=113.7mA、24℃
Vin=12.2Vのとき Vout=12.04V、Vin-out=0.18V、I=114.4mA、24℃
Vin=12.3Vのとき Vout=12.05V、Vin-out=0.27V、I=114.5mA、24℃
Vin=12.4Vのとき Vout=12.05V、Vin-out=0.37V、I=114.6mA、24℃
Vin=12.5Vのとき Vout=12.05V、Vin-out=0.47V、I=114.6mA、25℃
Vin=13.0Vのとき Vout=12.05V、Vin-out=0.97V、I=114.5mA、27℃
Vin=13.5Vのとき Vout=12.05V、Vin-out=1.47V、I=114.6mA、28℃
Vin=14.0Vのとき Vout=12.05V、Vin-out=1.97V、I=114.5mA、30℃
Vin=14.5Vのとき Vout=12.05V、Vin-out=2.47V、I=114.5mA、32℃
Vin=15.0Vのとき Vout=12.06V、Vin-out=2.98V、I=114.6mA、34℃
※バッテリー電圧Vinが12.2VからVoutが安定するのはすごいです。レギュレータは微かに発熱する程度でした。
回路2、R=62Ωの場合
Vin=12.0Vのとき Vout=11.74V、Vin-out=0.64V、I=174.2mA、25℃
Vin=12.1Vのとき Vout=11.78V、Vin-out=0.64V、I=174.1mA、25℃
Vin=12.2Vのとき Vout=11.93V、Vin-out=0.66V、I=176.3mA、25℃
Vin=12.3Vのとき Vout=12.01V、Vin-out=0.74V、I=177.4mA、25℃
Vin=12.4Vのとき Vout=12.01V、Vin-out=0.85V、I=177.4mA、26℃
Vin=12.5Vのとき Vout=12.01V、Vin-out=0.94V、I=177.4mA、27℃
Vin=13.0Vのとき Vout=12.01V、Vin-out=1.44V、I=177.4mA、30℃
Vin=13.5Vのとき Vout=12.02V、Vin-out=1.94V、I=177.4mA、33℃
Vin=14.0Vのとき Vout=12.01V、Vin-out=2.44V、I=177.3mA、35℃
Vin=14.5Vのとき Vout=12.01V、Vin-out=2.94V、I=177.3mA、37℃
Vin=15.0Vのとき Vout=12.01V、Vin-out=3.44V、I=177.3mA、40℃
※バッテリー電圧Vinが12.3VからVoutが安定しました。電流Iが増えると安定が始まる電圧が高くなります。レギュレータの発熱はまだ放熱器がいらない程度です。
回路3、R=30Ωの場合
Vin=12.0Vのとき Vout=11.57V、Vin-out=1.28V、I=367.4mA、30℃
Vin=12.1Vのとき Vout=11.64V、Vin-out=1.29V、I=370.0mA、31℃
Vin=12.2Vのとき Vout=11.77V、Vin-out=1.30V、I=372.8mA、31℃
Vin=12.3Vのとき Vout=11.84V、Vin-out=1.35V、I=374.5mA、31℃
Vin=12.4Vのとき Vout=11.85V、Vin-out=1.41V、I=375.2mA、31℃
Vin=12.5Vのとき Vout=11.95V、Vin-out=1.51V、I=375.3mA、32℃
Vin=13.0Vのとき Vout=11.95V、Vin-out=2.01V、I=375.0mA、37℃
Vin=13.5Vのとき Vout=11.96V、Vin-out=2.51V、I=375.0mA、42℃
Vin=14.0Vのとき Vout=11.95V、Vin-out=3.01V、I=374.7mA、46℃
Vin=14.5Vのとき Vout=11.95V、Vin-out=3.51V、I=374.9mA、51℃
Vin=15.0Vのとき Vout=11.95V、Vin-out=4.01V、I=374.8mA、56℃
※バッテリー電圧Vinが12.5VからVoutが安定しました。これほどの電流Iを流すとさすがに発熱が多くなり、放熱器が必要な程です。
このレギュレータはかなり成績が良いです。
字光式ナンバー省電力化で予定している消費電流150mA程度なら、バッテリー電圧は12.3V付近から安定します。
このレギュレータを使うと電圧が一定になりますので電流も一定になります。ということはCRD(定電流ダイオード)を使う必要がなくなります。そのかわりLEDに加わる電圧(というかLEDに流れる電流)を調整するために抵抗が必要になります。 字光式ナンバー省電力化で使う予定のLED、NSPLR70BSなら抵抗なしの4個直列でいけそうです。