
私は買い物をするときに、予め欲しい商品のリサーチをするのが常なのですが、ごく稀に衝動買いをして失敗してしまうことがあります。例えば、最近購入した「GOLFV R-LINE用センタートリム」などがそうでした。この商品は様々なショップから購入可能なのですが、掲載されている写真からして各ショップで色合いが異なっているだけでなく、購入者の評価も良し悪しが大きく乖離しています。本当なら、より多くの情報・画像の収集に努めるべきだったのですが、今回はホイールを買った勢いでついつい注文してしまいました。その結果、私は久々に「なんじゃこりゃ!」を経験したのでした。(本品についてはパーツレビューを参照してください。)
このセンタートリムに関して、当初はオークションにでも出そうかと考えたのですが、自分で悪いと思っている品物を人に買ってもらうのもどうかと思いつつ、かといって20000円以上も払った物をすぐに捨てる気にもなれなかったので、どうしたものかと途方に暮れていました。そんな折、以前コスモの写真を撮ってくれた典厩さん(仮名)とプラモデルの話をしていた際に、氏が塗装に関して並々ならぬ拘りを持っていることが判明しました。後日、実際に氏の作品を見せてもらったのですが、その卓越した技術はもはや「素晴らしい」を通り越して「変態」の域に達していました(ちなみにその作品はマスターグレードのRX-78 で、製作期間に8ヶ月を要しただけあって良い意味で原型を留めていませんでした)。その氏の腕前を見たとき、私はあることを思いつきました。つまり、センタートリムの塗装です。この私の不躾な希望に対して、氏は快く引き受けてくれたのですが、その場ですぐに別の提案をしてくれました。それは「自分の弟が自動車屋に勤めていて、そこに凄腕の塗装職人がいるらしいのだけど、その人に頼んでみようか?」というものでした。なんでもその職人さんは、一旦定年退職したもののあまりに頼りになるので、現在は自給3800円で雇われ続けているそうなのです。私はその提案を受けて、すぐに同意しました。そして、典厩さんを通じて、その職人さんに希望する塗装のイメージを伝えてみました。
私が最初に提示したのは、ドアやダッシュボードに付いているトリムと同じような、アルミ調のヘアライン仕上げでした。しかし、アルミ調の塗装は可能であるものの、ヘアライン処理はもはや塗装技術の範疇ではない(私自身無理だとわかっていた)ので、このパターンは諦めざるをえませんでした。次に私が望んだのは、iMac の筐体のような艶消しライトシルバーのザラザラした仕上げでした。これも素材からして不可能に近いとわかっていたのですが、職人さんは一応引き受けてくれました。私としては、何もせずにセンタートリムを処分することが我慢できなかっただけなので、あれこれ言いつつも結局は職人さんのセンスに任せるつもりでした。唯一悩んだのはクリア塗装をするかどうかという点だったのですが、これも色塗りが終わった段階で一度検分してみることで話がまとまりました。「どんな仕上がり具合であれ、世界で唯一のパーツになるのだから損はないな」とうのが、詰まるところ私の本音だったのです。
それから、品を預けて1週間も経たずに、作業が完了したとの連絡が入りました。「ボディ用の塗料を使ったため、クリア塗装はせざるをえなかった」という報告を事前に受けていたので、「重厚な感じになったのかな」と予想していたのですが、いざ箱を手渡されて中身を確認してみると、そこには繊細なシルバーメタリックの上に爽やかな光沢を帯びた品物が収められていました。「いくらボディ用の塗料を使ったとはいえ、本当にボディ塗装そのままに仕上げてしまうとは…」まさにその点が驚きでした。心配していたクリア塗装も、シルバー塗料のザラつきをコーティングするために薄くかけられているだけなので、光を反射させても浮ついた感じがしません。私は手にとって色々な角度から眺めながら、ダウンタウンのコントみたいにひたすら「これはいい!」と呟いていました。例えば、我が白兎にはシフトゲートにもシルバーの装飾パーツが付けられているのですが、あれは均一の色合いにクリアを被せただけなので、光が当たると白っぽい反射をしますし、どうしてもプラスチック感が拭えません(別にそれが悪いわけではない)。しかし、今回塗装してもらったトリムは同じシルバーでも微妙に粒子が粗い分だけ色に潤いがあり、光が当たるとえもいわれぬ高級感を醸し出してくれます。「これは予想以上の物を手にすることが出来た…」と、私は歓喜で顔を崩したまま職人さんと典厩さんに感謝しました。
翌日、ディーラーに持って行って換装してもらったのですが、その存在感は圧倒的で、一気に車内の雰囲気が明るくなりました。純正の漆黒のパネルもタイトな感じがして良いのですが、私にはシルバーのほうが性に合うようです。今は運転している最中もこのパネルを横目で見ながら(時折指で触れながら)ニヤニヤしている有様です。おそらく、当分の間はこの状態が続くでしょうね。
実は、パーツの塗装に関しては既に第二弾を予定していて、職人さんにもそのことを伝えています。次回は本当に小さなパーツなのですが、果たしてどんな風に仕上がるのか…。今から楽しみで仕方ありません。
Posted at 2008/05/19 08:38:13 | |
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