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BMW・1シリーズに3ドアモデルが追加されるようです。3ドアモデルの存在は1シリーズの生産が確定した当初から度々噂されていたのですが、三年目にしていよいよ市場に登場することになります。コンパクト・FR・3ドアという、まさに私の希望通りの車が出現するわけですが…残念ながら一年ばかり遅かったですね。ただ、どうしても先に挙げた条件の車が欲しいという人にはとてもお薦めの（というか他に選択肢が無い）車だと思います。
今回のモデル追加に際しては、燃費向上や内装の質感向上など、5ドアモデルも合わせて様々な変更が施されるようなのですが、個人的に一番のトピックはエンジン出力の増加です。特に120iは、近所に買い物に行く程度であれば今の150psでも申し分ないのですが、それだけだといざという時にパンチのある加速が望めません。しかし、新しい120iは最高出力170ps、最大トルク21.4kgとまずまずのレベル（ちなみにゴルフGT-TSIと馬力は同等ながら、トルクで僅かに劣る）まで達していて、私も含め今までモアパワーを望んでいた人達もあまりもどかしさを感じないで済むようになるかと思われます。一方では「そんなにパワーはいらない」という人達もいるようですが、奇しくも今回のマイナーチェンジによって出力アップの正当性が証明されたのではないでしょうか。だって、せっかくのコンパクトFRを奥様方の快適な買い物マシンにしておくのは、あまりに勿体無いですからね。
もし一年前に120iの3ドアバージョンが出ていたなら…私は激しく迷ったでしょうが、それでも最後はゴルフGTIを選んだと思います。何故なら、現行1シリーズはやはりBMWにとってコンパクトカーを造る上での習作にあたると見受けられるからです。世界中のCセグメント車の中で唯一後輪駆動を採用している点に慢心して、その他の部分で適当にコストを省くようでは、競争が熾烈なこのクラスで勝ち残ることはまず不可能です。プレミアムブランドのコンパクトカーとして確固たる地位を獲得するためには、あらゆる点においてゴルフより上質であらねばなりません。つまり、VWがゴルフの開発に多大な時間と手間をかけるように、あるいはそれ以上に、BMWもまたこのエントリーモデルに対して相当の労力を払わないといけないのです。果たしてBMWにそれくらいの覚悟があるのか、それともこれから先ニッチ戦略を主軸としてFRであることの貴重さに甘んじた商売をするのか、それはまだわかりません。ただ、他のメーカーから小型FR車が出現してしまえば、案外その時点で1シリーズの存在意義は大半が失われることになるかもしれないのです。もしそんな事態に陥れば、もはやBMWが1シリーズを造る意味も無くなりますし、私のBMWに対する興味もかなり薄れることでしょう。
「かつてのハチロクのように」と言うのも難ですが、BMW・1シリーズには「運転して楽しい車である」と多くの人に理解してもらえるだけの素質が充分に備わっていると思います。後はその楽しさをどういう形でみせてくれるのか、そこにどれほどの付加価値を与えることが出来るのか、BMWとして腕の見せ所なのではないでしょうか。