2007年01月11日
日産・フェアレディZがマイナーチェンジを施されて発売されるそうです。今回はエンジン出力が300psを超えるらしく、かつて280馬力自主規制の引き金となったZも遂にハイパワー化の道を歩み始めることになるようです。
今まで散々クーペについて語ってきた私ですが、現行フェアレディZについて触れることはありませんでした。何故なら、現行モデルは甚だしく私の好みから逸脱しているからです。本当に申し訳ないのですが、世界中の数あるクーペの中でも、あのデザインセンスだけはどうにもいただけないのです。
まずシルエットですが、ドラクエシリーズに出てくるバブルスライムみたいな形は何とかならないでしょうか。フロントセクションとリアセクションがのっぺりしていてキャビンだけが尖ったように出ているのは何とも釣り合いが取れていません。基本的に、ポルシェ・911もアウディ・TTクーペも似たようなシルエットをしているのですが、両者ともフロントは出来るだけシャープに、キャビンはなだらかに、リアはタイトに纏めています。何故、RRでもないのにZのリアセクションはぼってりしているのでしょうか。リアランプを鋭角的にすれば視覚的に誤魔化せるとでも思っているのでしょうか。次に内装ですが、玩具チックな雰囲気が濃厚すぎます。最初に見たときはゲーセンの筐体かと思いました。素材や質感に関しては逐次改善されていて、2002年のデビュー当時に比べると格段に良くなっているようですが、デザインそのものは全く変化していません。コスモ程とは言わないまでも、もう少し色気を出してほしいものです。最後は、ドアノブとフロントバンパーです。バンパーについては社外品で良いものが結構出回っているみたいですから、何とか我慢することにしましょう。問題はドアノブです。駄目です。許せません。あの部分だけは何処から見てもデザイン的に破綻しています。確かにあの奇天烈な形は目立ちますが、ただそれだけです。あのデザインを許可した人達は、RX-7(FD)やアルファロメオ・156のドアノブを見て何も感じなかったのでしょうか。仮にも「フェアレディ」という優雅な名を持つ車に対して、あのシルバーアクセサリーのごとき無粋なドアノブが似合うとでも思ったのでしょうか。そもそも、あのドアノブのデザインは、車全体のデザインの中でも明らかに浮いています。もっと普通で良かったのに…。
先代のZ32が強烈に個性の際立った、デザイン的に洗練されたモデルであっただけに、2002年に初めてZ33を見たときの私の落胆はとても大きなものでした。日産が何とかZを復活させたことについては感謝していますが、それで買うかどうかは全く別の話です。私は「フェアレディZ」を国産スポーツカーの中でも最も華やかで伝統のあるブランドとして認識していますし、正直憧れてもいます。たとえ運動性能でGTRやRX-7、スープラに負けようとも、デザインが華やかであればそれで充分であり、また華やかでなければ「フェアレディZ」の名を背負う資格は無いと思っています。各国の強豪スポーツカーとの戦いは次期GTRに任せれば良いのです。Zは飽くまでも優美なグランドツアラーとして、デザイン優先で開発されるべきなのです。次期GTRと次期スカイラインクーペが出現したとき、果たしてZ33に居場所はあるのでしょうか。GTRよりスペックの低い、スカイラインクーペよりもダサい、単なる二流のスポーツカーに成り下がってしまうだけなのではないでしょうか。もしそうなるくらいなら、あの車から「フェアレディZ」の名前を外してほしいと思います。そして、フェラーリファンですら唸るくらいの美しい車が完成するまで、その名は封印しておいてほしいと思います。
スカイラインに対しては寛容な私も、今回のZに関してはつい感情的になってしまいました。だって、「新型Z発売」ていうから期待して見たのに、何も変わってないんだもん…。
いつかフルモデルチェンジされる日が来るまで、やはりこの車種については忘れたままにしておきたいと思います。
Posted at 2007/01/17 02:00:02 | |
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車 | 日記
2007年01月10日
デトロイト・モーターショウでホンダが「アコードクーペ・コンセプト」を発表しました。先日のLAモーターショウでのアルティマクーペも含めて、どうやら国産メーカーの間でもクーペモデルの生産が現実味を帯び始めてきたようです。駆動方式やデザインの是非は一先ず置いておくとして、再びクーペ文化が復活しそうな気配には、諸手を挙げて喜びたいと思います。
ミニバンもハイトワゴンもSUVも車種として特別嫌いなわけではないのですが、周囲にそういう車ばかりが溢れかえるようになるとさすがに辟易してきます。まして、クーペスタイルの代名詞であるスポーツカーの生産が相次いで中止に追い込まれ、セダンですら「親父臭い」と敬遠される世の中であっては息苦しくてたまりません。私にとって、この5~6年間はそういう辛い時期でもありました。「これからはクーペを買うなら外車しかないのか」と、ここ1年くらいはそんな風にも思っていました。しかし、時流は変わるもので、ここに来て久方ぶりにクーペにも光が当てられるようになってきました。景気がそんなに悪くないとか、国民の所得がどうで消費スタイルの多様性がどうだとか、色々な要素が絡んでのことでしょうが、単純に「不細工な車は飽きた」「格好良い車が欲しい」という希望がそこかしこで発生してきたことが、クーペ復権の一番大きな理由ではないかと思います。無駄に背が高くて大きな車を邪魔に思う人はいても、無駄に美しい車を疎む人はいないでしょう。
80年代のようなスペシャリティカーブームが再来することは恐らく無いはずですが、クーペが一車種として地位を回復することは非常に大事です。数年後、各メーカーからクーペモデルが一通りラインナップされる時代になったなら、その時は改めて国産車を検討してみたいと思います。
Posted at 2007/01/16 21:18:32 | |
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車 | 日記
2007年01月09日
デトロイト・モーターショウでアキュラが「アドバンスド・スポーツカー」なるコンセプトモデルを公開しました。これは次期NSXのスタディモデルでもあり、ホンダが周囲に対して近い内にそれを生産することを宣言したものであると思われます。トヨタやマツダがフラッグシップとなるスポーツカー(スープラやRX-7)の生産に二の足を踏んでいる中、ホンダのこの決意表明は頼もしい限りです。できれば1990年の初登場時のように、世界中のスポーツカーメーカーに衝撃を与えるほどの実力を持ったマシンとして戻ってきてほしいですね。
今はミニバンばかり造っているホンダですが、その根底にはやはり滾るようなスポーツマインドが潜んでいると思われます。各車種で低床技術を盛んにアピールしていますが、あれはパッケージングのためというよりむしろワインディング走行時の安定性向上のために開発・導入されたのではないかと、オデッセイ等を見るにつけそう疑いたくなってきます。同じミニバンでも、トヨタや日産が「ミニバンにしては上等」レベルのハンドリングでお茶を濁しているのに対し、ホンダは明らかに「ミニバンらしからぬ操縦性」を求めて車を仕上げています。「ミニバンにスポーツ性能を加えて何か意味があるの?」と聞かれればそれまでですが、どうしてもそういう方向に進んでしまうのが、ある意味ホンダらしさであるとも言えます。最初から素直にスポーツカーをばかり造れば良いじゃないかという意見もあるでしょうが、会社の規模的にそれは不可能です。地道にミニバンで稼いで、そこから生まれた資金をF1マシンやNSXのようなスポーツカーの開発に注ぎ込む。儲ければ良しとするのではなく、一方では利益度外視で自社の理念を体現するような車も真剣に造る。こんなやり方では確かにトヨタほど大きな会社に成長するのは無理ですが、少なくとも企業精神としては余程健全だと思います。
2007年現在までのところ、NSXは日本車史上唯一のスーパーカーであったと言えるでしょう。この次に現れた時も、やはりスーパーな車であってくれることを私は強く期待しています。
Posted at 2007/01/15 01:30:36 | |
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車 | 日記
2007年01月08日
デトロイト・モーターショウにおいて、レクサスから最新版LF-Aが公開されました。まさか本当にこんなスタイリングで生産されるとは思いませんが、はっきり言って絶望的に格好悪いです。これでプライスが1000万を超えるとしたら、センスというより頭の中身を疑ってしまいますね。トヨタの関係者や珍車好きの大富豪、もしくは自己顕示欲旺盛な成金さんしか買い手が付かないのではないでしょうか。これが日本最大メーカーのトップ・オブ・スポーツとして世界に喧伝されるのですから、もはや恥ずかしいを通り越して悲しいです。
かつてトヨタは2000GTという素晴らしく美しい車を世に出しました。その開発過程は複雑であり、厳密にはトヨタが開発したと断定できるわけではないのですが、実際に販売された事情を考えると一応トヨタ車であるといえます。2000GTは国内のみならず、特にアメリカで評価され、映画007の主役マシンである「ボンドカー」にも抜擢されました。部屋の本棚に2000GTのムックがあるのですが、どの写真を見ても溜息が出るくらいに流麗なスタイリングをしています。動力性能も当時としてはトップレベルにあったことから、200GTは日本車史上に残る傑作といっても過言ではないでしょう。残念なのは、その血が一代限りのものであり、以降のトヨタ車に受け継がれなかったことです。まあ、だからこそ「本当にトヨタの車なのか」なんて言われたりもするのですけどね。
翻ってLF-Aを見てみると、2000GTと比べて全く夢がないことがわかります。スペック的には海外の高級スポーツカーとも渡り合えるくらいの実力を具えているようですが、それとて「お金さえあれば何でもできるんだよ」くらいの意味しかありません。LSによって「和の精神」を独自の哲学としてやっと高級車の世界に持ち込んだはずのレクサスが、一方でこのような稚拙なコンセプトカーを展示するようでは、イメージダウンにも繋がります。海外のメーカーと伍するために超弩級のスポーツカーを造りたいという気持ちはわかりますし、同じ日本人として応援したい気持ちもあるのですが、この程度のイメージしか想い描けないようでは目を背けざるをえません。幼い頃に抱いていた車に対する夢や憧れをそのまま素直に形にすれば良いのではないでしょうか。この車の開発に携わっている全ての人たちに対して、今はそう言いたい気分です。
Posted at 2007/01/13 02:33:40 | |
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車 | 日記
2007年01月07日
デトロイトモーターショウにスバル・レガシィの2008年モデルが出展されました。北米ではワゴンモデルが廃止されるようで、セダンとアウトバックだけのラインナップになる模様です。
レガシィは今回の次期マイカー選びの過程で一度試乗に行きました。何故レガシィかというと、会社で所有している人が4人もいて(その内の一台はS401)、以前から気になっていたのもありますが、何よりスポーツセダンとしては国産第一級のパフォーマンスを誇る車種であると思っていたからです。実際に試乗してみても、その認識は変わりませんでした。特に2.0GTスペックBに関しては、一切痛痒感の無い加速性能と、ハンドルを切れば切った分だけ曲がってくれるコーナリング能力にとても感心させられました。それまで「四輪駆動は曲がりにくい」という漠然としたイメージを抱いていたのですが、FFとFRの丁度中間のような、極めてナチュラルなハンドリングは本当に目から鱗でした。前モデルより格段に高められた静粛性とも相俟って、まさに良い大人のためのスポーツセダンという感じでした。
ただ、レガシィ(というよりスバル)に対しては、一つ疑問が無いわけでもありません。それは、この車が目指す処は何処なのか、ということです。この点に関しては、今回応対してくれたディーラーの人(とても雰囲気の良いお姉さんで、腕にロレックスを付けていたことから営業成績も良い方だと思われる)の話が非常に興味深いものでした。それによると、スバルが目標にしているのはBMWであり、社員研修のためのサーキット走行会でも、メインの比較対象となるのはBMWの3シリーズであるらしいのです。たとえばメルセデスに対するBMWという意味で、トヨタに対してスバルがスポーツ性を売りにするということであれば納得できます。また、BMWのように真摯にドライビングプレジャーを追求してくれるのであれば、国産車全体にとっても有意義なことでしょう。しかし殊レガシィというモデルに関しては、BMWよりもアウディを目指したほうが、そのキャラクターに合っているのではないでしょうか。エンジン縦置き・四輪駆動という共通点もありますが、それも含めてレガシィのスペックには真にプレミアムな(付加価値性が高い)存在になれるだけのポテンシャルが秘められていると思います。会社の同僚もそうですが、皆がレガシィに求めているのは質実剛健なところや商品としてのトータルバランスの良さ、そして所有することの満足感=ある種のステータス性の高さであったりします。現行モデルのように、走行性能の向上に力を入れるあまり内装の質感が疎かになるようでは、レガシィの可能性を狭めることにもなりかねません。一点豪華主義に染まることは簡単ですが、それでは幅広い支持を集めることは不可能です。それよりもレガシィ及びスバルには、個性(運転することの楽しさ)と普遍性(耐久消費財としての価値)のより高いレベルでの両立を目指してほしいのです。多少価格が上がっても構いません。レガシィがもう一回り成長するまで、本当の意味でBMWやアウディと健闘できる存在になるまで、私はもう少し待ってみたいと思います。
Posted at 2007/01/12 16:22:25 | |
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車 | 日記