2007年03月28日
東方シリーズの音楽に関して、今回は原曲を元にしたアレンジ曲について触れたいと思います。通常、アニメや漫画の二次創作は同人誌が中心なのですが、東方シリーズにおいては同人CDも主要な表現手段として認知されています。実際、そこで発表される作品の中にはレベルの高いものが多々あり、もはや「原曲が良いから、誰がアレンジしても良いに決まっている」と単純に片付けることができないレベルにまで至っています。私も現在色々探索しているのですが、その内で特に気に入ったものの幾つかを下に並べてみました。
■竹取飛翔-Vocal-(原曲:竹取飛翔)
原曲の雅な雰囲気をそのまま活かした良曲です。輝夜の物語に則した歌詞と、それを優しく幽玄に歌い上げるヴォーカルがとても魅力的です。東方関連のアレンジ曲だけでCDを一枚作るとしたら、私はこの曲をオープニングナンバーに選びますね。
■Sweet Time Midnight リアレンジ(原曲:U . N . オーエンは彼女なのか?)
この曲を初めて聴いたときは、真夏の蒸し暑い夜であったにも関わらず、効果音と歌詞のあまりの不気味さに、背筋に寒気を覚えてしまいました。「U . N . オーエン~」のアレンジはノリの良いものが多いのですが、これは「恐怖」をテーマにして原曲を大胆に再構築している点が素晴らしいと思います。
■7 days a week(原曲:ラクトガール)
原曲をよりポップにしたアレンジ版としては最も完成度が高い一曲だと思います。これなら有線放送などから流れてきても全く違和感を覚えないでしょう。歌詞の世界が完全にアレなのも、東方の二次設定を知らない人にはバレないはずです。
■永遠に幼き紅い月(原曲:亡き王女の為のセプテット)
元々隙が無い原曲を、バラード化しつつより濃い風味にした名曲です。歌詞もカリスマ全開で申し分ありません。恐らくは、きちんとした音楽教育を受けた人か、プロ並の音楽的素質を持つ人が作ったものと推測されます。これほどのレベルの人達を惹きつけてしまうのも、やはり作曲者であるZUN氏の才能が深遠だからと言えるでしょう。
■緋色のDance(原曲:亡き王女の為のセプテット)
こちらは同じ原曲を使いながら、全く別の風味(ロック)に仕上げられている点が面白い一曲です。特にイントロの特徴的なリフが格好良さを際立たせています。曲全体が短いのも、スカッと爽快で良いですね。ある意味、原曲をモチーフにした全く別の作品、と言えるのかもしれません。
■にとり(原曲:芥川龍之介の河童)
この曲を初めて聴いたときには、あまりの神々しさに脳髄を刺激されてしまいました。純和風な音と歌詞、それにどこかシャーマンチックな高音のヴォーカルが、日本人としての郷愁の念を煽って仕方ありません。まさしく「琴線に響く」一曲です。
■神々の祈り(原曲:厄神様の通り道)
あえて言うなら、昔どこかで聴いたことがあるような気になるくらい、耳に馴染み易い一曲です。80年代のアニメの主題歌か、あるいは90年代に流行ったポップスの一種か…。いずれにせよ、凄く居心地の良い曲であることに間違いありません。何か特別な思い出があるわけでもないのに、何となく甘く切ない気分にさせてくれる、私にとってはそんな良曲です。
■張子の虎(原曲:六十年目の東方裁判)
こういうアレンジは大好物ですね。良し悪しではなく、ごく個人的に好きだと言える一曲です。本当に美味しいリフがあれば、それだけでロックは成立します。この曲をアレンジした人はその辺がしっかりわかっているのだと、私は勝手に共感している次第です。できれば、エンドレスで聴き続けたいですね。
■蒼空に舞え、墨染めの桜(原曲:幽雅に咲かせ、墨染めの桜)
原曲の雰囲気を忠実に守りつつ、某幽霊お嬢様の気分を歌詞で見事に表現した良曲です。「幽雅に咲かせ~」のアレンジは他にもたくさんあるのですが、私はこの曲が一番美しいと思います。「さくら、さくら」という部分の儚げな声と、「風を斬れ」「舞い上がれ」という部分でしっかり高音が出ている点が好印象ですね。
■永遠のメロディ(原曲:月まで届け、不死の煙)
誤解を恐れずに言うと、これほどオタク心を擽るアレンジ曲も無いと思います。まるで何かのアニメのOPのように華やかで、格好良いギターや甘味が残るヴォーカルも含めて、極めて「萌え且つ燃え」な曲に仕上がっています。少々照れくさい歌詞も、この際良しとしましょう。ジャンルを限定すれば、パーフェクトな傑作と言えますね。
■Happy Rabbit's Silver Bullet(原曲:狂気の瞳)
初めて聴いたときに「これは一本取られた」と思わされた曲です。原曲同様にサビの格好良さを最大限活かした曲なのですが、そこに至るまでのメロディと歌詞の作り方がとても上手いのです。「ああ、こういうアイデアもあったのだな」と素直に感心させられました。原曲やそれを元にしたパロディばかり聴いた後で、このファンシーで繊細なアレンジに出会ったことは、かなり衝撃的でしたね。
■Phantasm Brigade(原曲:ネクロファンタジア)
東方関連のアレンジ曲だけでCDを一枚作るなら、私はこの曲をラストに持ってきたいと思います。これに関しては曲もさることながら、歌詞に惹かれてしまいます。恐らくは「妖々夢」における某スキマ妖怪の気分を表現しているのだと思われるのですが、「アヤカシの全ての力をここで捧げるから」という部分に、彼女の幻想郷代表としての意地と気合とプライドが見受けられます。また「あなたには死しても見えぬ幻のあの桜」という部分は、一体誰に向けた言葉なのでしょうか。真面目に考えるだけ無駄と知りつつも、聴くたびに興味を覚えてなりません。原曲の壮大な雰囲気のままに歌詞を乗せることができている点が素晴らしく、大トリを務めるに相応しいと個人的には思っています。
「アレンジ曲だけでCDを一枚作るとしたら…」と何度か述べましたが、実際にやろうとしたところ失敗に終わりました。それというのも、好きな曲を全部集めたら40曲以上にもなったからです。上に挙げた曲は、その内のごく一部に過ぎません。原曲といいアレンジといい、東方関連の楽曲は本当に良いものが多いです。果たして、それらを全て味わい尽くせるのはいつになることやら。
Posted at 2008/09/30 03:53:31 | |
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趣味 | 日記
2007年03月27日
世の中には自分の知らない素晴らしい娯楽作品が本当にたくさんあるもので、ふとした機会にそれらの作品に出会ったりすると、「もっと前から知っておけばよかった」とつくづく痛感させられます。今回採り上げる東方Project関連の作品も、私が久々に「しまった!」と思わされた存在で、最近は二次を含む膨大な作品群の消化に日々勤しんでいます。サブカル系の作品にここまで嵌るのは、「新世紀エヴァンゲリオン」以来ですね。とにかく物語の世界観やキャラクターの設定が奥深くて、なかなかに唸らせてくれます。
東方Project関連の作品はシリーズ物として既に長い歴史を有していて、現在では同人市場のみならず一般の市場でもかなりのシェアを形成しているようです。純粋に原作と呼べるものは弾幕系のシューティングゲームの方なのですが、作品世界の実質的な肉付けを受け持っているのは、むしろ漫画や小説等の同人誌、アマチュアミュージシャン達によるアレンジCD、YOUTUBEやニコニコ動画等のムービーの方であり、これら真偽・清濁を内包する懐の深さこそが東方というジャンルの一番の特徴だといえるでしょう。今回は、それらの中でも東方世界の核と言える原曲(ゲーム中のBGM)について触れてみたいと思います。
何故BGMが作品の核なのかというと、原作者であるZUN氏(作曲・作画も担当)自身が「音楽を聞いてもらうためにゲームを作った」とかつて公言したためであり、私もまさしく原曲こそが東方という世界の大黒柱であると思うからです。その楽曲群はかなりの数の上るのですが、以下に幾つか私の好みの曲を挙げてみました。
■おてんば恋娘
ポップな歌謡曲とでも言いましょうか、爽快なリズムと昭和チックな切ないメロディが同居した不思議な曲です。
■上海紅茶館
冒頭の切ないメロディが強く印象に残る曲です。これも何処かしら懐かしい雰囲気があり、同時にタイトルから想起されるような異国情緒も味わえます。錯綜する二つのメロディがやがて合流してサビへと至る、その流れが素晴らしいですね。
■ラクトガール
西洋的なクラシカルさが特徴的な一曲です。紅魔郷の舞台(紅魔館)自体が西洋的であり、この曲はそれを一番忠実に反映したものだと思います。紅魔郷の曲は熱くなれるものが多いですが、それらに比べるとこの曲には割と落ち着いた雰囲気があります。低血圧な熱血、という感じですかね。
■亡き王女の為のセプテット
ゲーム音楽という枠を超えた名曲です。格調の高いメロディといい、抑揚の効いた構成といい、最初から最後まで隙がありません。レーダーチャート風に分析すれば綺麗な真円ができるくらい全体のバランスが良いと思います。「様式美」という言葉が一番似合う曲かもしれません。
■U . N . オーエンは彼女なのか?
こちらはむしろゲーム音楽として最高の部類に入る曲だといえます。どんなジャンルのゲームでも、この曲を使えば少なくとも音楽面では評価されるでしょう。一度聴いただけで確実に憶えられるようなキャッチーなメロディが特徴的かつ最高です。
■人形裁判
この曲を元ネタにしたパロディソングがあまりに有名になりすぎたために誤解されがちなのですが、原曲は少々暗く不安感を煽るような曲だったりします。和のテイストが濃い妖々夢の中では、珍しく西洋的な雰囲気があります。
■幽雅に咲かせ、墨染の桜
シューティングゲームのBGMとしては異様な美しさを誇る名曲です。桜の花のイメージと、そこに含まれる日本的な趣を見事に反映していて、誰が聴いてもほぼ無条件に賞賛できる楽曲となっています。幽霊お嬢のテーマ曲なのですが、彼女の放つ美しい弾幕を見ながらこの曲を聴けば、軽い恍惚状態になれること請け合いですね。
■ネクロファンタジア
好き嫌いを別にして、もし東方シリーズを象徴する曲を一つだけ挙げろと言われれば、私はこれを選びます。強大な力を持ちながらも滅び行く妖怪達の気概や悲哀が全編雄大なスケールで展開されていて、聴くたびに心を打たれてしまいます。何を考えているかわからないスキマ妖怪のテーマ曲なのですが、これは単なるBGMではなく、ひょっとしたら幻想郷に対する彼女の愛着の念を表現した曲ではないか、と個人的に考えています。
■狂気の瞳
サビとそれ以外のパートが明確に分かれているものが多い永夜抄の楽曲群の中で、最もシンプルなのがこの曲です。一瞬の静寂からサビに移る部分は劇的ですらあります。この曲もパロディ化されて有名になっていますが、どんな歌詞を付けてもサビの良さだけは失われないのが面白いところです。
■恋色マスタースパーク
タイトルには「恋」とありますが、実際は少年漫画チックな格好良い曲です。他のテーマ曲が多少なりとも世界観を表現しているのに対して、この曲に限っては完全に白黒の魔法使いのキャラクター性で作られていると思われます。誰が聴いてもそのキャラを思い出すという意味では、最も純粋なテーマ曲だと言えるでしょう。
■千年幻想郷
ネクロファンタジアと並んで、こちらもスケールが大きな一曲です。旋律が和風な分だけイメージは限定されますが、それでもドラマチックな展開でとても楽しめます。幻想郷と対をなす世界である月。そこに込められているのはZUN氏の永遠なるものに対する憧れか、それとも進化の極地で精神文化が停滞した理想郷に対する一抹の皮肉か…。とりあえずは怒涛の如く高みへと駆け上がっていくサビのメロディに身を任せることが肝要ですね。
■竹取飛翔
神様や妖怪をモチーフにしたキャラクターが大勢出演する東方の世界の中で、唯一本人そのものとされているのが「かぐや姫」こと蓬莱山輝夜です。この曲はその輝夜のテーマ曲なのですが、初めてこの曲を聴いたときに私は非常に驚かされました。それというのも、この曲が単に輝夜のテーマ曲として似合っているだけなく、御伽噺のかぐや姫のテーマ曲としても充分通用すると思ったからです。例えば、東方シリーズのことなど何も知らない人にこの曲を聴かせて、「これ、かぐや姫のテーマ曲なんだけど」と言えば、ある程度の人は理解を示してくれるのではないでしょうか。イントロの雅な旋律とサビの繊細で物悲しいメロディは、永遠の時を生きる者の切なさを余すところ無く表しています。これもまた、ゲーム音楽という枠を超えた名曲だと言えます。
■月まで届け、不死の煙
最初に流れるメロディを、アレンジを変えながらひたすら繰り返す曲です。何故同じメロディを繰り返すのか。それはこの曲が逆恨み娘の不死性(殺されてもすぐ生き返る)をテーマにしているからです。普通に聴くと格好良い曲ですが、人間としての感情を保ったまま千年以上も生きてきた彼女の人生に思いを馳せれば、また違った趣が味わえるでしょう。
以上に挙げたものは「気に入った曲の幾つか」であって、これでもまだ全てではありません。他にも好きな曲はたくさんあるのですが、それらはまた別の機会に触れてみたいと思います。
ゲームの音楽(とその世界観)で感動したのは、「ドラゴンクエストIII」「ファイナルファンタジーVII」に続いてこれが三度目になります。いつ何時良い作品と巡り合えるかもしれないこと考えれば、やはり各方面にセンサーを張り巡らせておかないといけないと、今回この東方の件で改めて実感させられました。単にメロディーが良いだけではなく、きちんと世界観が盛り込まれた音楽を聴くことは、小説を読むのと同じくらいの充実感があります。当分の間は、東方関連の楽曲を聴く日々が続くでしょうね。
Posted at 2008/09/25 06:15:27 | |
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趣味 | 日記
2007年03月26日
私は幼少の頃からアニメが大好きだったのですが、実は登場人物もストーリーも知っているのに肝心の本編を見たことが無いという作品が多々あったりします。何故なら、週一で放送されるテレビアニメは回を追うごとに絵のクオリティが下がっていくのが必然であり、殆ど動きの無い紙芝居的な作品もあるため、ジャンルとしてどんなに好きでも見る気が低下してしまうからです。殊にロボットアニメは、後半になるほどロボットや戦闘シーンの描写が御座なりになる傾向が強く、本当に「幼稚なもの」としてしか認識できないことがあったりします。それゆえに、私は幾つかの作品をわざと見ないようにしてきたのでした。ただ、最近は実写(映画)も含めて特にこれといって見たいものが無くなってきたため、それまで避けていた作品にも触れてみようかと思うようにもなりました。そんな「マイ・リバイバル」の第一弾として目をつけたのが、今回取り上げる「重戦機エルガイム」でした。
改めて見直して思ったのは、やはり画質は閉口ものながら、物語としては至極真っ当な作り方をしているということでした。主人公が各地を放浪しながら同志を募っていくという展開は、古典的であるがゆえの楽しさをもたらしてくれます。前半部分のオフザケ振りに好き嫌いが分かれるかと思いますが、むしろこれだけ屈託の無い少年少女が主人公である物語が今や殆ど無いことを考えれば、懐かしさにも似た面白味を感じることもできるでしょう。個人的には、こういうテイストも嫌いでなかったりします。
しかし、歳を取ると見方も変わるもので、今回全編を通して見て心に残ったのは主に二つの点に関してでした。まず一つ目は、永野護のデザインが「動くもの」として見られることです。私にとって永野護はアニメの「エルガイム」よりも漫画の「F.S.S」であり(劇場版はまだ見ていない)、あの精緻な静止画こそが氏の作品に対するイメージ源になっています。「エルガイム」において氏の持ち味が充分に発揮されているとは言い切れませんが、「F.S.S」との関連性は随所で見ることができ、それぞれを相互補完的に楽しむことができます(「エルガイム」をして「F.S.S」の一部とする向きもあるようですが…)。何より、各キャラクターの髪型や服装が氏の不変的な好み(つまりロックやパンクのスタイル)を反映していて、他のアニメ作品にはないお洒落感を醸し出しています。また、ロボット(本作品ではヘビーメタルと称される)のデザインも、当時において革新的であると同時に、実は今の時代においてもスタンダード(ムーバブルフレームや全天型モニターの採用など)であり続けていて、非常にメカニカルでありながら芸術的という相反する要素を両立させています。後の「F.S.S」に出てくるモーターヘッドが、中世の騎士のイメージを重ねていることから少々華美な傾向があるのに対して、ヘビーメタルはまだ兵器としての無骨さを残してるといえるでしょう。いずれにせよ、永野護のセンスに共感する人にとって、本作品は間違いなく楽しめる内容であると思います。
また、この「エルガイム」で私が特に興味を惹かれたのは、ポセイダルとミアン、フル・フラットの三角関係でした。およそ子供向けの作品には相応しくない、完全にアダルトな三人の言動は、歳を取った今だからこそ理解・共感できる内容でした(逆にダバ、アム、レッシィの三角関係は見ていて少々気恥ずかしかった…)。当たり前の話ですが、実際にアニメを作っているのは良い歳した大人だったりします。その大人達が、子供向けの物語の中にほんの少しだけ現実世界での本音を含ませる、それが日本のアニメの本当の魅力だと個人的に思っています。そういった意味で、特にフル・フラットの存在感は、作品全体から一人浮きかねないくらいにリアリティーがあって興味深いものでした(あれは絶対に誰かの体験・経験の上に成り立っているキャラクターだと思うんだけどなぁ…)。物語が終盤に差し掛かると、敵味方の間でやたら「愛」という言葉が飛び交うようになるのですが、最後に全てを捨ててまでオリビーに付き添うことを決意したダバに代表されるように、本作品のテーマはまさにそこにあると思います。無償の、しかも報われない愛。よくよく考えてみれば、エンディングのシーンにおいて、願いが叶って幸せになれたキャラクターは一人もいなかったりします。結論的にはやはり富野作品らしく、一筋縄で片付けられない物語だといえるでしょう。
暇な方には全編通して見ることをお勧めします。確かに前半はストーリー的にも画質的にも見苦しい部分が少なくないですが、最後まで見終わったとき、むしろその前半の軽い雰囲気のおかげで幾分救われることになりますから。
Posted at 2007/07/14 02:03:44 | |
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趣味 | 日記
2007年03月25日
最近連続して購入している本があります。それは「Motor Fan illustrated」という自動車の内部構造に関する書籍で、現在vol.6までが刊行されています。中には非常に多くの透視図が満載されていて、車体の隅々まで観察することが出来ます。解説文に関しては、わかっている人がわかっている人に向けて書いた文章であるため少々難解な言い回しになっていますが、緻密な透視図や分解図のおかげで何とか理解することができます。単に現在の自動車の構造を知るというだけでなく、各メーカーが一台の車を造るにあたって何を取捨選択しているのか探ることができるという点でも、1600円の価値はあると思いますね。
今まで刊行されている中で私が一番興味深く思えたのは、vol.6の「4WD 最新テクノロジー」でした。これによると、4輪駆動のシステムに関して現在一番優れた技術を持っているのはアウディとスバルであるらしく、特にアウディのクワトロシステムは「最適解」という称号まで与えられています。意外性の無い結論ではありますが、それだけこの分野においてはアウディに一日の長があるということなのでしょう。この説に倣えば、先日公開されたA5/3.2FSIクワトロなどは「見た目セクシー、中身磐石」という、隙の無い車としてデビューすることになります。しかも、ボディカラーにアウディ特有の派手なレッドが選べるなら…私としては想像するだけで心が浮ついてしまいますね。ここまで称賛されるクワトロには、何かの機会に一度くらいは乗っておきたいところです。
vol.5の「エンジン 基礎知識と最新技術」も、各メーカーの特色が比較されていてとても面白い内容になっていました。エンジンに関しては、優劣というよりもフィーリングの違いが重要であるようで、ここではBMWの直6とVWの狭角V6に興味を覚えましたね。GTIを買う前にこんな本を読んだなら、私はきっと当分の間悩み続けることになったでしょう。次に車を買い替えるのはずっと先のことになりますが、その時により多角的な視点から車種が選べるよう、今はこの「Motor Fan illustrated」シリーズを読むことで、基礎学習をしておきたいと思います。
Posted at 2007/04/10 03:24:20 | |
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車 | 日記
2007年03月24日
最近知ったのですが、3月24日は「ミニ四駆の日」なのだそうです。当日はそれに因んだイベントが各地で開催されるらしく、相変わらずの人気ぶりが伺われます。
私も例に洩れず子供の頃にはラジコンとミニ四駆に嵌りました。ラジコンはファルコンだけだったのですが、ミニ四駆はファルコンから始まり、ブーメラン、サンダードラゴン、エンペラー、サンダーショットなど、特に必要も無いのに買い足していました。当時のミニ四駆は今の物よりも遥かに泥臭くて、洗練とはかけ離れたものでした。ただ、その分だけ誰でも気軽に改造できるようなシンプルさに満ちた商品だったと思います。軽量化のためにシャシーに穴を開けたり、熱対策のためにモーターカバーに穴を開けたりと、子供が工具を使って出来る範囲のことを許容するだけの、良い意味でのルーズさがありました。だからこそ、あれほど爆発的に人気が出たのでしょう。
私たちの間では特にモーターの改造が主流でした。磁石を換えてコイルを巻き足し、驚異的な出力を発揮させる(その結果、モーターカバーが溶けることも多々ある)のが通常でした。そのため、私たちのマシンはコーナーを曲がれないので、大会などには出場できませんでした。スタート直後の第一コーナーで、勢い余ってコースの外へ飛んで行く…。初めてその光景を見たときには笑いが止まりませんでした。そして、ある種の達成感を憶えたのも事実でした。クリアボディやガイドローラーはまだ良いにしても、ワンウェイホイールや専用工具などが出始めた頃から、私たちの間では熱が冷めていきました。決められたコースを速く走ることではなく、「速さそのもの」を追求することが、私たちの感心事だったのだと思います。そして、そういう子供レベルでのチューニングが限界に達した時、仲間はミニ四駆から離れていったのでした。
しかし、私はあるモデルが気になって購入し、その後もずっと所有し続けていました。その一台というのが、ミニ四駆を第二世代へと牽引したモデル、アバンテでした。アバンテに関しては、予め軽量化されたシャシーやモーターカバーも革新的だったのですが、本当に斬新だったのはそのエクステリアデザインでした。本来のジャンルがバギーであるにも関わらず、フォーミュラマシンのような繊細なボディーラインを持つアバンテは、新時代の到来を宣言するに相応しい説得力があると、子供ながらに思っていました。私はアバンテに各種パーツを取り付けはしたものの、実際には殆ど走らせませんでした。そして、その観賞用アバンテが、私にとっては最後のミニ四駆となったのでした。
一年くらい前にふと思い立って、おもちゃ屋さんでミニ四駆を物色したことがあるのですが、あまり気に入ったモデルが見当たらなかったので、結局その時は何も購入しませんでした。ただ、こうしてネット上でアバンテの画像などを見ていると、やはりこのモデルは今見ても格好良いと思います。さすがにミニ四駆だとドレスアップするにも小さすぎるので、今度はRCでも探してみましょうかね。
Posted at 2007/03/28 04:14:09 | |
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趣味 | 日記