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QLのブログ一覧

2019年06月25日 イイね!

虎視眈々と出番を待つ秘書

虎視眈々と出番を待つ秘書今日は(も)暇だったので、次期愛車候補の選定作業としてメルセデスのディーラーに行ってきました。お目当ては新型Aクラスのディーゼルモデルです。新型Aクラスは2017年頃からテスト車両の動画がネットにアップされていて、私は期待を持ってその動向をずっと追っていました。そして、今回やっと実物に触れることができたのですが、まあなんとも期待通りの素晴らしいものでした。一言で表すならば「売れて当然」のモデルですね。
まず外見ですが、非常にすっきりしていて全体的にバランスが良いです。フロントはシャープに、リヤは丸く柔らかくと、前後でテイストが異なっていますが、各部の造形が慎ましいおかげで両者の主張が違和感なく繋がっています。今時珍しく、ボディサイドの無駄な線やフェンダー周りの過剰な演出も無いため、優しく伸びやかな雰囲気もあります。まさしく「ノーブル」という言葉がぴったりなデザインです。サイドウインドー周りのシルバーの装飾もきちんと一周していてコストをケチってる感じは無いですし、フロントバンパーのサイドインテークもちゃんとエアが後方に抜けるようになっている(※AMGスタイリングの場合)点も気に入りました。マツダ3のエクステリアも頗る良いのですが、個人的にはこちらの方がより好みですね。
内装はカジュアルさとスポーティさと高級感が上手くマッチしていて、どのパーツも質感に優れています。各種スイッチやボタン、レバー等は意外にシンプルで操作し易い(初めてコラムシフトというものを体験したのですが、難しいどころか、ハンドルから近い位置で操作できるのでむしろ便利だと感じたくらい)ですし、例の液晶メーターパネルも映り込みが少なく、明るいところでも暗いところでも視認性が高いです。AMGスタイリングのレザーシートは少々硬めで座面の前後幅がやや短いですが、造りはしっかりしていて良いです。敢えて言うと、グローブボックスに殆ど物が入れられない点だけはマイナスでしょうか。全体的には、このCセグメントというジャンルに求められる要望を理想的な形で詰め込んだ、居心地の良いインテリアだと言えるでしょう。
エンジンに関しては、最新ディーゼルの良い意味での普通さに驚きました。アイドリング中であってもディーゼル特有の音や振動は殆ど感じられず、アクセルを踏み込んだ際のレスポンスに痛痒感を覚えることもありません。もはや、燃費や燃料の種類に違いがあるだけで、いちいちガソリンとかディーゼルとか区別する意味が無いレベルに達しています。高速での合流や追い抜きの際の加速に余裕が欲しいならディーゼル一択であり、そこにネガティブな要素は全くないと断言できます。乗り心地に関しては、ドイツ車としてごく普通の仕上がりだと思います。18インチホイールを装着しているわりには、しなやかなとも言えます。ハンドルもそれほど重くないですし、いわゆる万人向けの味付けではないでしょうか。
メルセデス自体は確かに高級ブランドですが、この新型Aクラスはそういう堅苦しさから少し距離を置いているようにも感じられます。初めてメルセデスに興味を持った人、あるいは私みたいな平凡なサラリーマンが「メルセデスなんてどうかな?」と思ったときに、何の嫌味もなく迎え入れてくれるような、一種の気楽さみたいなものがあります。つまり、ゴルフやマツダ3の領域にメルセデスが本格的に踏み込んで来た、ということです。最近はゴルフも(というかVWグループ全体が)やたらと値上がりしていますし、マツダ3もスカイアクティブXのLパッケージ以上なら総額400万近くになるはずですから、金額面でも差が縮まっていることになります。仮に商品力が互角だとしても、ブランド力は圧倒的にメルセデスの方が上なわけですから、VWやマツダはコストパフォーマンスを重視すべきであり、値付けに関してもう少し慎重になった方が良いでしょう。このAクラスの登場により、これから発売されるBMWの新型1シリーズや、秋に発表されるであろう新型ゴルフ/A3には、相当高いハードルが課せられたと言えます。果たして、各社はこれを凌駕できる商品を造れるのか、特にVWはこのクラスのベンチマークとしての地位を維持できるのか、期待と心配を寄せておきたいと思います。

さて、新型Aクラスに関して良いことばかり述べてきましたが、問題点も2つほど挙げたいと思います。一つ目は、あのメルセデスさんの耳が良すぎることです。同乗者との会話の中で「メルセデス」という単語が出てきただけで、彼女は「はい、なんでしょう!なんでも言ってくださいね!」とばかりに声をかけてきます。現状マイクの感度は調整できないらしく、メルセデスさんを起こさないようにするには「ベンツ」という単語を使わざるをえません。改善を求めたいところです。もう一つの問題点は、納期です。売れ行きが良すぎて生産が追い付いてないことは納得できますが、オプションの組み合わせによって納期が未定になるのは如何なものかと思います。具体的に言うと、レーダーセーフティパッケージとナビゲーションパッケージは必須らしく、これらを外したオーダーは後回しにされるようなのです。そもそも、お金を気にしてオプションを選ぶような男は、有能な秘書であるメルセデスさんを雇う資格が無いのかもしれませんね。個人的にはこの点も、引っかかるところでした。

そして最後に、これは問題点ではなく単なる個性の話ですが、A180とA200dは飽くまでもちょっと上品な普通のモデルであり、スポーティな味付けはかなり薄いということです。例えば、シートの座面が小振りな点や、シートを一番下まで下げてもヒップポイントが高く前方の見晴らしが良い点などは、明らかに女性ドライバーを意識したものであり、どちらかといえば「椅子に腰かける」といった感じで、メガーヌやマツダ3のように「すっぽり収まる」という風ではありません。また、直進時にはそれなりの硬さを感じる足回りも、コーナリング時には素直にロールします。速く走るために踏ん張るという設定ではないのです。つまり、ああだこうだ五月蠅い殿方は後にデビュー予定のA35やA45を待つべきであり、A180やA200dは日常使用の中で高い品質や外観の綺麗さを楽しみたい人のためのモデルだと言えます。私にはA35やA45は現実的ではないので、Aクラスの中ではA200dがベストな選択肢となります。面白さを取るか(メガーヌRS)、洒落っ気を取るか(A200d、マツダ3)、もしくは速さと安定性を取るか(次期スバルWRX、次期アウディS1等)・・・。限られた予算の中での妄想は、まだしばらく続きそうです。
Posted at 2019/06/28 00:50:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2019年06月14日 イイね!

VW ≠ ドライバーオリエンテッド

少々間が空きましたが、前回に引き続きメガーヌとシロッコの違いについて述べてみたいと思います。
早速結論から申しますと、両車の一番大きな違いはドライビングポジションの自由度、具体的にはシートとステアリングの位置関係にあります。私はシートを結構寝かせ気味にするのが好みなのですが、シロッコの場合はそれだとステアリングに手が届きにくくなります。なので、シートを前にスライドさせるのですが、そうすると今度は足元が窮屈になります。解決策としてはシートを起こす、つまり正しい運転姿勢をとる以外にありません(その結果、ドライバーの視点は高く前寄りになります)。これは以前に乗っていたゴルフGTI でも同じことで、その時はステアリングとボスを交換して若干は改善されたものの、結局最後まで満足できませんでした。メガーヌでもマツダ3でも好みのシートポジションが一発で決まって快適に試乗できたのに、その帰り道、6年以上乗り続けてきたシロッコのシートポジションに違和感を覚える・・・。この点こそが、実は今回の試乗で一番気になった部分でもありました。
ちなみに私がシートを寝かせ気味にするのは、頭の位置を低く後方に持っていきたいからです。そちらの方がスポーツカー的な雰囲気が味わえますからね。基本的にファミリーカーであるゴルフGTI がそうできないのはまだ理解できます。しかし、VWで唯一2ドアクーペ的な役割を担う形で造られたはずのシロッコまでそうできないことに、私は以前から納得ができなかったのです。
何故VWは運転席のシートを寝かせることを許さないのか。恐らくそれは、後席に人が乗っている状態を前提条件として、各種の寸法が決められているからだと考えられます。運転手だけでなく同乗している4人全員が快適であるべきなので、シートを寝かせて運転するなどもってのほかだ、そんな状態は想定しなくてよい、というわけです。大衆車メーカーとして世界に冠たる地位を築き上げたVWですから、その思想に間違いは無いでしょう。問題は、それがシロッコというモデルの性格・立場を曖昧にし、結果的にセールスの失敗に至ったということです。

FFのスポーツカーとして、シロッコのポテンシャルはかなり高いものであったと言えます。事実、2008年以降数年間はニュルブルクリンク24時間レースに参加し、スバルのWRX等と鎬を削りながら何度もクラス優勝を果たしています。市販モデルとレースマシンの違いはあれど、ルノーやホンダが本腰を入る前から、VWはシロッコでニュルを攻めていたというわけです。シロッコのプロファイルで面白いのは、フロントよりもリアのトレッドの方が広いことです。私はこのようなFF車を他に知りません。ゴルフGTI が粘り腰、メガーヌRSがスライドOKなオーバーステア気味だと評されるのに対して、シロッコはスタビリティを重視しているように思われます。それが良いのか否かは、この際問題ではないです。大事なのは、あのVWがわざわざ専用設計で造り出したモデルだということなのです。本気で造った機械系に対して、ファミリーカー然とした内装の造形やシート配置。この大きな矛盾を抱えていたことが、シロッコの不人気ぶりに拍車を掛けたと私は確信しています。2ドアの時点で大量に売れないことは最初から予想できていたわけですから、もっとドライバー優先でインテリアを設計してもよかったはずなのですけどね。そっちの方向に振り切れないあたりが、大衆車メーカーとしてのVWの限界、あるいはルノーやホンダとの違いなのかなと思います。

昨今、ニュルにおけるFF車最速の座を懸けて熾烈な戦いが繰り広げられていますが、私としてはVWを応援する気になりません。何故なら、ルノーやホンダからは気合や情熱が伝わってきますが、VWからはコマーシャリズムしか感じられないからです。メガーヌRSやシビックタイプRは全く売れる車ではありません。しかし、両社ともそれに磨きをかけて名誉のために戦っています。それに対して、VWはほっといても売れるゴルフGTI で参加しています。理由としては「FF同士で争うなら顔を出しとかないと不味い」と察知したからでしょう。本気でFF最速を目指すのなら、ゴルフGTI に無茶な改造を施すよりも、シロッコRを継続的に改良し続けていた方がどんなに効果的だったでしょうか。速さの面でゴルフより実力を具えていた商品を自らの手で潰したわけですから、そもそもVWはこのバトルに参加する資格が無いとすら言えます。

以上、愚痴にも近いことをつらつらと書いてきましたが、その根底にあるのは今年10月に発表予定のゴルフ8に関して、正確にはそのGTI に関して、一抹の不安があるからです。次期型は全長とホイールベースが延長されることから、メガーヌやマツダ3と車格が完全にバッティングすることになります。しかしVWの場合、せっかくホイールベースを伸ばしても、それを後席と荷室のスペースに振り分けてしまってるのではないしょうか。私はそこが不安で仕方ないのです。ほんの少しでいいから、ステアリングの取り付け位置を後ろ寄りにするか、もしくはテレスコの伸び幅を増やしておいてほしい・・・。限りなくマイノリティな意見ですが、そうなっていることを切に願っています。
Posted at 2019/06/14 02:36:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2019年05月24日 イイね!

選択肢となりうるか

選択肢となりうるか現在我がシロッコは走行距離が98000を越えており、なおかつ今年の10月には車検もあることから、そろそろ次の愛車を検討しようかと考えています。なので、水木金と久々の3連休であったにもかかわらず特に予定もなかったことから、一昨日はルノーへ、今日はマツダへと行ってきました。お目当てはメガーヌRSとマツダ3です。どちらも以前から気になっていた車種なので、忘備録も兼ねてその感想を記しておきたいと思います。

●メガーヌRS
ゴルフGTI に乗っていた頃からこのモデルにはとても興味がありました。また、シロッコと似たプロファイルでありながら、片やデビュー以来絶賛され続け、片や市場からすぐに忘れ去られたという境遇の違いから、「どこにそれほどの差があるのだろう?」と常々疑問に思っていました。今回はその辺の理由・原因を探る目的もあったのですが、自分なりの結論は得られた気がします。
まずエクステリアは画像で見るより実物の方が凝縮感があって数段格好良いです。特にボディカラーがホワイトの場合は各種ブラックのパーツとの相乗効果でスポーティさが強調されます。目立ちたいならオレンジ、渋くいきたいならグリチタニウムですかね。ホワイトにはシルバーのラメも含まれているので、近くで見ると綺麗です。その他の造形に関する詳細は省くとして、特に満足できるのはディフューザーです。効果が無さそうな飾り物を付けた車が多い昨今において、このモデルは排気経路まで含めて正しくデザインされており、「本物」であることを実感させてくれます。
インテリアに関しては、画像で見る限りチープだと予想していたのですが、実物はそれほどでもありませんでした。ただ、それ以上でもありませんでした。「悪くはない」という感じですかね。何か一つ挙げるなら、シートは確かに良質だったと思います。
最後に本命の走りについてですが、これは事前に見たり聞いたりしていた通りで、今まで運転したFF車の中では最高でした。4コントロールの恩恵は大きく、たとえ街中の交差点でも気持ちよく曲がってくれます。あまりにスイスイと曲がるので、旋回中にアクセルを踏み込んで限界を試してみたくもなります。走行モードに関しては、私のような街乗り+山道程度であれば「ニュートラル」だけで充分であり、「スポーツ」や「レース」はサーキットに持ち込まない限り必要ないかもしれません。そもそも絶対的な速さを求めるならシビック・タイプRなどを選べばよいわけで、メガーヌの魅力は速さだけでなく、そこに快適さが加わることにあると私は考えています。それを踏まえると、メガーヌはニュートラルモードだけで満足できる仕上がりになっていると言えるでしょう。エンジンやトランスミッションの味付けに関しても同様で、とてもパワフルなわりにジェントルでもあります。ゴルフGTI も5・6・7と次第に洗練されていったように、スポーティなモデルといえど、現代では荒々しいだけのものは好まれないようです。中途半端と言われればそうかもしれませんが、私にとってはそれが「最適」なので問題はありません。総合的に評価すると、メガーヌRSはFF車として全てが高次元で纏められたベストな1台となります。

●マツダ3
アクセラ改めマツダ3は本日から販売が開始されました。それもあってか、さっそく試乗の申し込みが多かったらしく、私がディーラーを訪れた夕方頃には営業の人の説明もこなれた感じになっていました。ただし、私が気になっていたスカイアクティブXは10月から販売されるということもあり、今回はエクステリア・インテリアの確認がメインとなりました(一応ファストバックの15Sとやらには試乗しました。まあまあ良かった、ということにしておきたいと思います)。
まずエクステリアですが、なんといってもネットの画像や動画で見るよりずっとシャープかつタイトに見えることに驚かされました。車高も低く見えるし、リアも無駄なく整えられた感じで、事前に危惧していたようなダルな雰囲気は全くありません。やはり車のデザインは実物を見てから語るべきですね。これにアルファロメオのエンブレムでも付いていれば世界中から「さすが!」と評されたでしょうし、こんな優れたスタイルの車が国産メーカーの中から出てきたことに感動すら覚えました。ヘッドライト周りやボディサイドの曲面など、ディティールを探れば実は複雑な構成もあるのだと理解できますが、なにしろ全体的な印象がシンプルなゆえに飽きが来にくいでしょうし、どのボディカラーを選んでも失敗は無いと思われます。一目惚れで買う人が出てきても不思議ではない、国産車としては珍しいモデルですね。
インテリアも、このクラスでは例外的なくらい高い品質で造られています。各部の素材や造形も、スイッチ類の大きさや場所・節度感も、手で触れられる全ての箇所に神経が行き届いてる感じがします(グローブボックスの開き方だけはちょっと安っぽかったですが)。そもそも、国産大衆車のインテリアは、その殆どがデザインに統一性が無く雑然としており、そういう点からゴルフ7よりも下に評価されることが多いです。しかし、そのゴルフ7の内装も正直質感が高いだけでデザイン自体は事務的な雰囲気が強いと言えます。その点、マツダ3の内装が面白いのは、デザイン部門の「これ良いでしょう?」というメッセージが如実に、そして高い品質で表現されているところにあり、ユーザーは遠慮なく「好き」「嫌い」で選ぶことができます。無難さとは無縁の個性を確立しようとする試みは評価すべきであり、それが成功すれば今後の世界的な競争の中でも長く生き残れることができるでしょう。ちょっと概念的な話になりましたが、とりあえずエクステリアもインテリアも予想以上に素晴らしいものでした。


以上が今回の2台に対する私のインプレッションになります。どちらの車も以前から次期愛車候補の中で上位に付けており、それは試乗した後でも変わりませんでした。引き続きその動向には注視していきたいと思っています。
ただ、今回の試乗では他にもう一つ実感したことがありました。それが最初に述べた「メガーヌとシロッコには何の違いがあるのか」ということです。初めは車種による違いとして認識していたのですが、いろいろ考えた結果、それはメーカーによる考え方の違いなのだと結論付けました。少々長くなってきた(あと久しぶりにブログを書いたので疲れてきた・・・)ので、次回はその点について述べてみたいと思います。
Posted at 2019/05/25 03:33:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2017年11月08日 イイね!

時代の転換期

随分と長い間、御無沙汰しております。今回は、とある事柄が気になってどうしても我慢できなくなったので、久しぶりに筆を取ってみました。本来なら、VWのディーゼルゲート事件の際に、一筆記すべきだったのかもしれません。ただ私としては、2009年4月18日のブログを書いた時点で、成果第一主義による弊害をある程度懸念していたので、事が発覚しても「やはりな」という感慨しかありませんでした。この件以降はメーカーも反省しているようですし、あとは昔ながらの実直なスタンスに戻ってくれさえすれば、何も危惧することは無いのですけどね。ともあれ、VWが抱える他の改善すべき点や、車全般に関する雑感については、また別の機会に述べたいと思います。

さて今回の本題は、サッカーについてです。それも、私が応援しているチーム「レアル・マドリー(以下レアル)」に関することです。今シーズンに入ってから、前線の選手の得点不足が騒がれていますが、その原因が何であるのか、個人的な見解を述べてみたいと思います。
まず先に答えを出すなら、その原因はイスコの存在にあります。イスコは、守備時に自陣に戻ることを唯一の条件として、それ以外は完全に自由が約束されており、文字通りピッチ上のあらゆる場所に顔を出します。才能に溢れる選手ですから、彼のボールタッチが増えること自体は、チームにとっても良いと言えるでしょう。
問題となるのは、
①彼のプレー選択が「とりあえずドリブル、ダメならパス」という順番になっていること
②味方のプレーエリアに浸食してまでドリブルをしてしまう(要するに球離れが悪い)こと
③ボールをキープしつつ自分が活きるエリアを優先的に探しているので、FW陣の動きに対するレスポンスが悪いこと
という3点です。
この辺については、モドリッチのプレースタイルと比較するとわかりやすいでしょう。モドリッチは常に周囲の状況と次のシチュエーションを計算して行動しており、その時点で最適と思われるプレーを第一に選択します。自分を一つの歯車と認識し、味方が動きやすいようにパスを出したり、味方にスペースを与えるためにドリブルをしてポジションを変えたりしています。ところが、イスコの場合はとりあえずボールをキープしようとします。ワンタッチ、ツータッチでパスを出せばスムーズに展開できる場面でも、まずはドリブルで敵を躱そうとします。ボックス内でそういう動きをするのは有効ですが、中盤での連携中にそれをされても、速攻を得意とする現状のレアルにとっては単なるブレーキにしかなりません。今シーズンよく目にするのは、彼がピッチを横にドリブルし始めると、近くにいる味方が行き場を失って、ただその場に突っ立っているという光景です。そして、その時には敵の守備陣形が整ってしまうという「おまけ」まで付いてきます。味方選手との距離を近くして細かくパスを繋ぎ、敵の守備を切り崩していくというスタイルはバルサにはピッタリですが、もっとシンプルにダイレクトに攻めるレアルのスタイルとは相容れません。
昨シーズンの後半において、ベイルよりもイスコが入ったほうがチームとして上手く機能していたのは事実ですが、それは彼がまだエゴを抑えて周囲を活かすプレーに徹していたからです。しかし、攻撃時の全権が委任されている今シーズンでは、チーム全体が彼のリズム・ペースで動くことを余儀なくされており、その割には内容も結果も良くない試合が多いです。果たして、ベンゼマとロナウドがゴール前でミスを連発していることだけが問題なのでしょうか?私には、とてもそうは思えないのです。ドリブルで行き詰った後の、タイミングの遅れた雑な縦パスなどを見るにつけ、イスコにとってベンゼマやロナウドは、前線の「単なる囮」に過ぎないのだな、と認識させられます。直近のラス・パルマス戦でロナウドがイスコのゴールを祝わなかった件が物議を醸しましたが、そこには「何故お前は俺にこういうパスを出さないのか?」という意識も含まれていると思います。実際、イスコがサイドを抉ってクロスを上げたり、折り返しのパスを出したりするシーンはほとんどありません。自由に動けるはずなのに、彼はそういう動きを選択しないのです。結局のところ、イスコが望んでいるのはかつてのメッシのような「偽9番」としてのプレーなのでしょう。そこに、ベンゼマやロナウドが活きる場所はありません。そして、ジダンやペレスがイスコの行動を容認しているということは、これがチームとしての既定路線なのだと想像できます。
イスコはまだ若く、その才能は本物であり、スペイン代表では確実に中心選手となっています。その流れで、レアルの中心選手となっていくのも当然と言えばそうなのですが、もしそうだとしたら、次に起こるのは「ロナウド不要論」であり、同時に新しいスタイルに合わせた選手の大幅な刷新です。レアルはやがてスペイン代表のような、もっと言うならバルサのようなポゼッションを主眼に置いたチームへと変貌していくのかもしれません。現地のマドリディスタたちは・・・まあ元から攻めて勝てれば何でもよいという人達ですから、全然気にしていないかと思われます。しかし、ロナウド加入以降のスピードとダイナミズムを前面に出した戦術を好む私のような者からすれば、面白くない時代が到来しそうで気が滅入ります(笑)。ジダンとペレスは現状をどう解釈し、これからの巻き返しのためにどういった行動に出るのか。今シーズンは戦々恐々と見守ることになりそうです。
Posted at 2017/11/08 19:33:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | 趣味 | 日記
2012年11月27日 イイね!

さらば青春の兎

さらば青春の兎先月の26日に最後の旅行をした後、同30日に我が白兎とお別れをしました。納車されたのが2007年の1月でしたから、5年と10カ月近く(そのうち3カ月は免停で乗れなかった)を共に過ごしてきたことになります。振り返れば納車翌日に早速ロングドライブをこなしたのですが、あの時に感じた「この車を選んで良かった」という嬉しさは、結局最後まで失われませんでした。何故ゴルフが世界中から評価され続けているのか、その理由を日々の生活の中で学べたような気がします。というわけで今回は、良き相棒として頑張ってくれた我が白兎ことV GTI について、最後の感想を書き連ねてみたいと思います。

■エクステリア
ゴルフ史上最も曲線を多用した外観は、最初はあまり好みでなかったものの、フロントグリルの良い意味での「下品さ」がいつ見ても強烈だったせいで、今やノスタルジックなものとして心に残っています。VI やVII の端正なマスクとは真逆の、造り手の気合と情熱をそのまま表したかのような奇抜なモデルに乗れたことは、優等生と評されることが多い歴代ゴルフの中にあって貴重な経験だったのかもしれません。本国オプションのLEDテールランプは、LEDが広く普及し始めた今の基準で見ても格好良かったし、後付け感が顕著なサイドスポイラーやブルマと呼ばれた商用車チックなリヤバンパーも、いつの間にか愛着を持つようになっていました。キャンディホワイトの塗装も耐久性に優れており、適当に洗車をしていただけでワックス掛けなど一度もしなかったのに、5年後でも柔らかな艶を保っていたのは驚きでした。また、ボディ剛性の高さを誇示するかのようなあの異様に太いCピラーも、他社のハッチバックと差別化されていて良かったですね。惚れ惚れするような色気などは絶無でしたが、さりとて堅苦しさとは無縁の面白いデザインのモデルだったと思います。

■インテリア
そもそもゴルフは大衆車であるため、内装に華美な部分など見当たらないのですが、機能主義的な割り切りの良さ・簡素さが、ある種の清々しい雰囲気を醸し出しているのは事実です。スイッチ類の使い勝手で不満を抱いたことは無いですし、各パーツの退色や経年劣化も目立ったものはありませんでした。個人的にはチェック柄のGTI 専用シートが最高でしたね。適度に張りがある(しかもこれが最後まで失われなかった)ため長時間運転し続けても背中や腰が全く疲れず、同乗者からも確実に好評を得ていました。色々な車に試乗しましたが、ことシートに関しては現在もこれを上回る物には出会えていません。人気車種だけあってアフターパーツがたくさん販売されていることも楽しめた要素の一つです。至極当然の話ですが、我が白兎のインテリアは他の誰のゴルフよりも私好みに仕上がっていました。

■動力・駆動系
あるときディーラーのメカさんと話をしていた際に、興味深い質問を受けたことがありました。それは「QLさんはエンジンとトランスミッションのどちらが気に入ってGTI に決めましたか?」という内容でした。確かに2ℓターボエンジンもパワフルで良かったのですが、改めて考えてみると私はDSGの方に強く惹かれていたのだと思います。バトルギアやグランツーリスモの中でしか速く走ることができなかった私にとって、ATのように簡単に運転できて且つMTのようなダイレクトな加速感も味わえるDSGは、ゲームと現実をリンクさせる魔法のツールでもありました。発進時にアクセルを少し雑に踏んだだけでもホイールスピンを誘発するような過敏さには気を使いましたが、VI GTI を試乗してその洗練された制御プログラムを体験した後では、逆にV GTI のやんちゃさが好ましく思えてきました。買い替えを検討しているときも、DSGの存在は大きな要素の一つでした。国産車でいえば現行アクセラのATのスポーツモードもなかなか良いのですが、やはりDSGのSモードの方がスムーズさでも活きの良さでも一枚上手のような気がします。あのブリッピング時の「ブフォッ!」という音は、演出が過剰で可笑しかったのですが、でもずっと忘れないでしょうね。

■ボディ・ハンドリング
シャシーに関しては、4ドアのハッチバック車としては最高レベルの剛性であり、5年後でもヤレた感じは全くありませんでした。逆に足回りに関しては、乗り心地にも配慮がなされているためか、俊敏な切り替えしが要求される場面においては明らかに柔すぎて追いついていけないことが多々ありました(その分、高速道路をひたすら突き進むときなどは快適で助かりました)。またブレーキも、ペダルの踏み幅に対する効き方が不自然で、しかも制動力自体が不足気味だったことは最後までしっくりこない部分でした。ビルシュタインのBTSとCOXの4ポッドキャリパーを装着するのが最終目標だったのですが、それを実現できなかったことが唯一の心残りでしたね。ドライブフィールに関しては、ファミリーカーをチューニングしてスポーティに仕立てたモデルとしては非常によく出来ていたと言えるでしょう。しかし、設計上は室内空間を優先したコテコテのFF車であり、前後の重量バランスが同クラスのライバル達に比べてもあまりよろしくないので、爽快感には欠けていました。旋回時に遠心力がフロントタイヤの接地面よりも前に掛かる感じが強いので、アクセルやブレーキで如何にそれを補正するかが、この車を操るうえでの醍醐味だったと思います。エンジンの力強さとDSGの活発さに心打たれて、このモデルをスポーツカー的に評価するライターが当時は大勢いましたが、ハンドルに伝わってくる重量感やコーナリング時の穏当な挙動を考えれば、実際はグランドツーリングカー的な性格が強かったと思います。

■総評
ごくシンプルに表現するなら、ゴルフV GTI はまさに万能のモデルだったということになります。自動車に求められる要素を一つ一つピックアップした場合、それぞれの項目においてこれを上回る車は多く存在するでしょう。しかし、すべての項目をハイレベルで満たした完成度の高いモデルとなれば、他を探すのに相当苦労するのではないでしょうか。初代GTI が伝説的であるために、その系譜に連なるV 型もVI 型も(そしておそらくはVII 型も)ホットハッチという括りで語られがちです。それに当てはめるなら、車格や重量から見ても確かに最近のGTI は退屈と評されても仕方ないかもしれません。ただ、私のように仕事もプライベートも1台で全てを熟すことを条件とすれば、これほど「刺激的な実用車」も無いわけです。同じCセグメントのライバルたちだけでなく、Dセグメントのエントリーグレードのセダンたちと比較しても、あらゆる要素をバランスよく内包した最もコストパフォーマンスの良いモデル…。それが我が白兎に対する私の最終的な評価になります。

車選びに迷われている方がいましたら、何型であれ一度はゴルフGTI に試乗してみることをお薦めしますね。一般大衆の希望を最大公約数的に詰め込んだこの車は、自分にとって本当は何が必要で何が不要なのか、その答えを明らかにしてくれますよ。
Posted at 2012/11/27 02:01:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記

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「カシオーク、最終章 http://cvw.jp/b/241312/48217041/
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