柵から離れてくださいっ!
語気を強めた駅員さんの大声が広島駅のホームに響き渡った数秒後、
ファ~ンと警笛を鳴らしたこだま号が緊急停止。
その現場は、博多寄りの先頭号車位置にいた私からは遥か彼方。しかし、一向に車両が動き出す気配がないうえに、次々に駅員さんたちが現場に走り寄って行く様子から、遠目にもアクシデント発生を察知。
これは長期戦になるかも・・・
私は次の瞬間、在来線(山陽本線)経由に切り替えての帰宅と、広島駅近辺のビジネスホテル泊、という2つの現実的な選択肢と、その判断を下すタイムリミットをササッと計算。
そして、より正確な判断材料を掴むため、ホーム上をひとり大移動。大胆にも、騒ぎの中心地近くのベンチに腰を下ろし、周囲を行き交う鉄道関係者の動きを至近距離でウォッチし始めたのでした。
やがて、背中にPOLICEと書かれた人たちが大挙して到着。上下線とも運転を見合わせて静まりかえった広島駅のホームに、今から現場検証に入る旨のアナウンスが流れますが、アレッ?
・・・
どこか緊迫感がないのです。
現場では、報告用と思われる測量や撮影が慌ただしく行われてはいるものの、一向に救急隊員が駆け付けるような雰囲気はないし、だいいち、自分が座っている特等席のベンチが立ち入り禁止エリアにならないのも不思議^^;。
そのうち、中途半端な位置に30分近く停止し続けるこだま号を正規位置まで前進させる段階に。
もし人身事故が起きていたなら、私の僅か数メートル先に凄惨な光景が顕わになる可能性もあったわけですが、幸いにもそのような重苦しい緊張感はどこにも無く。
事実、まるで何事もなかったかのように列車の運行再開が程無くアナウンスされたのです。
決断のタイムリミットまで1時間を切っていた21時過ぎ。晴れて、在来線の2時間の長旅からも、予期せぬ外泊の痛い出費からも解放された瞬間でした。
ふぅ、とんだ騒ぎに巻き込まれたなぁ・・・
ホーム上で大移動をした結果、当初乗ろうとしていた1号車ではなく、最後尾の8号車に腰を下ろすことになった私。
本来の500系からN700系への車両変更により、偶然ありつけることになった豪華な指定席シート。少しリッチな気分に浸りながら、定刻の35分遅れで広島駅を出発した直後、車内アナウンスの説明を聞いてビックリ。
「この列車は、広島駅でお客様がホームに転落した影響で・・・」
って、
ホントに落ちてたの!?
ということは、間一髪でホーム真下の待避用空間に逃げ込んだのでしょう。その瞬間、現場に居合わせた人たちは全員が息を飲んだに違いありません。
上下線合わせて数百人の利用客が待ち惚けを食らった今回の騒ぎ。なかでも一番の被害者は・・・まさに当のこだま号から降りる寸前だった乗客の方々だったかもしれないですね。
九死に一生を得た?はずのお騒がせな当事者の姿はどこにも見当たりませんでしたが、事務所か何処かでぜひコッテリお灸を据えられてほしいものです。
でも、何事もなくてホントに良かった。
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隠れ家の新幹線 | 日記
Posted at
2021/05/28 00:06:08