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2016年04月23日

バキュームダイヤフラム

バキュームダイヤフラム コスモのオートマチックミッションには画像の矢印のバキュームダイヤフラムという部品が付いています、今回はこのバキュームダイヤフラムについて書いてみます。

オートマチックミッション(以下ATと書きます)はDレンジで発進して車速が上がれば自動でシフトアップするというものですが変速のタイミングはスロットル開度と車速で決まります。

例えばDレンジで発進してアクセルをあまり踏まずに加速する時と、同じくDレンジで発進してアクセルを大きく踏み込んで加速した時を比べると、アクセルを大きく踏み込んで加速しているほうがシフトアップするタイミングが遅いですよね、このようにアクセル開度(スロットル開度)は変速において重要な要素となります。


これは車速とスロットル開度の関係です、スロットル開度が大きくなると変速する車速が高くなる事が分かりますね。

減速すると、やはり自動でシフトダウンするわけですがシフトダウンはシフトアップ時より低い速度でシフトダウンするようになっています、これはシフトアップ時とシフトダウン時で変速時の車速が同じだと、その車速近辺で変速が頻繁に行なわれてしまうのを防ぐためです。

このATの特性を踏まえて本題に入ります、ちょっと複雑な内容になりますが・・^^;


バキュームダイヤフラムの断面図です、バキュームダイヤフラムはインテークマニホールドと繋がっていてインテークマニホールド内の圧力が作用するようになっています、そして本体の中のスプリングの力がロッドを介してバキュームスロットルバルブを押しています。

バキュームスロットルバルブにはライン圧という油圧が送られています、ライン圧というのはAT内のオイルポンプで作り出され、ATの作動の基本になる油圧です、ライン圧はAT内部の様々な機構に送られています。

インテークマニホールドの圧力が変化するとバキュームダイヤフラムのロッドがバキュームスロットルバルブを押す力も変化します、するとバキュームスロットルバルブが動いてバキュームスロットルバルブに入るライン圧の油路を開いたり閉じたりする事でバキュームスロットルバルブ内に流入したライン圧は圧力が調整されてスロットル圧としてバキュームスロットルバルブから出力されます。

出来るだけ簡潔に書きたいので細かい作動に関しては触れませんがアクセル開度が少なくてインテークマニホールド内の負圧が強い時はスロットル圧は弱くなり、アクセル開度が大きくてインテークマニホールド内の負圧が弱くなるとスロットル圧は高くなります、つまり、アクセル開度大→スロットル圧大、アクセル開度小→スロットル圧小、という具合にスロットル圧が調整されます。

では次に変速の仕組みについて・・下の図は変速のためのシフトバルブについて作動原理を簡単に表したものです、シフトバルブの動く方向を右、左と書いていますが実際は見る方向によって違いますよね、ただ今回は説明の都合上このような表現をしています。


Dレンジで発進して1→2→3速と、自動で変速していく行程を見てみます、これは1速時の状態です。

画像の中にシフトバルブという2つのバルブがあります、これは1→2速の変速用(図中の下のバルブ)と2→3速の変速用(図中の上のバルブ)で、バルブが移動して油路が開かれるとその油路に油圧が作用して変速する仕組みです。

赤色はライン圧、緑色はスロットル圧、青色はガバナ圧といって、ミッションの出力軸に付けられたガバナバルブという部品に送られたライン圧がガバナバルブからガバナ圧として出力されシフトバルブに作用します、ガバナ圧は車速と共に変化し、車速が上がるとガバナ圧も上昇します。

橙色は各シフトバルブを右方向に押し付けるスプリング力です。

1速時はこのように各シフトバルブは右方向に押し付けられていて1→2速の変速油路と2→3速の変速油路は閉じられています。


そして車速が上がってくると1→2速シフトバルブの右側に掛かっているガバナ圧が上昇してきます、一方でシフトバルブの左側にはライン圧とスプリング力がガバナ圧に対抗しています、更に車速が上がってガバナ圧が上昇するとシフトバルブは徐々に左側に押され、やがてシフトバルブ左側に作用していたライン圧の油路を塞ぎます、するとガバナ圧に対抗するのはスプリング力だけとなりシフトバルブは一気に左側に押されます、するとシフトバルブの移動で2速ギヤへの油路が開かれ、ライン圧が2速ギヤ変速機構に作用する事で2速にシフトアップします。

この時アクセル開度が大きかったら・・アクセル開度が大きいと先述のようにバキュームダイヤフラムによりスロットル圧が高くなります。

スロットル圧はライン圧を調整するプレッシャーレギュレーターに作用しています、高いスロットル圧はプレッシャーレギュレーターのライン圧の減圧作用を制限します、なのでスロットル圧が高くなるとライン圧も高くなるようになっています、したがってアクセル開度が大きい時はスロットル圧が高くなるのでライン圧も高くなり、ガバナ圧に対抗する力が大きくなるため、アクセルの開度が少ない時よりも高い車速になってガバナ圧が上がらないとシフトアップしないので結果として変速タイミングが遅くなるわけですね。


そして更に車速が上昇すると、それに伴ってガバナ圧も上昇し2→3速シフトバルブの右側に掛かるガバナ圧が上昇してきます、シフトバルブ左側にはライン圧、スロットル圧、シフトバルブのスプリング力が、ガバナ圧に対抗しています。

車速が上がってガバナ圧が上昇してくるとシフトバルブは徐々に左側に押され、やがてシフトバルブ左側に作用しているライン圧の油路を閉じるとガバナ圧の方が強くなってシフトバルブは一気に左に押されます、1→2速シフトバルブの変速の時と同じ理屈ですね。

そうするとシフトバルブの移動で3速ギヤへの油路が開かれてライン圧が3速ギヤ変速機構に作用する事で3速にシフトアップします。

この時にアクセル開度が大きいとライン圧、スロットル圧共に高いので車速が上がってガバナ圧が相当高くならないとシフトアップしないので、やはり変速タイミングが遅くなるわけですね。

1→2速、2→3速の各シフトバルブに作用するライン圧は実際は図のようなシフトバルブの左側面に作用するわけではなくシフトバルブのリング状の部分に作用しますがライン圧の作用する方向を説明する都合上で図では分かり易いようにシフトバルブの左側面に作用するように書かれています、なお2→3速シフトバルブにはスロットル圧の調整機構がありますが、なるべく簡潔に書きたいので今回は細かい事には触れません。

減速した時のシフトダウンに関してですがシフトダウンの場合は各シフトバルブは右に動かなければなりません。

各シフトバルブはシフトアップした際にライン圧がシフトバルブ左側に作用しなくなっているのでシフトダウン時はシフトバルブ左側の圧力が弱いため、弱いガバナ圧(つまり低い速度)でなければシフトバルブは右に動きませんからシフトアップ時の車速より低い車速にならないとシフトダウンしません、例えば2→3速に変速した速度より3→2速にシフトダウンする速度のほうが低いという事ですね、これによってシフトアップ時とシフトダウン時の変速点に差が出来るので先述のように変速点の近辺で変速が頻繁に行なわれるのを防止しているわけですね。

機械式ATはスロットル開度を検出するためにスロットルと連動したキックダウンケーブルが付いてるタイプとコスモのATのようにアクセルの踏み具合でインテークマニホールドの負圧が変化する事を利用したバキューム制御がありますが、バキューム制御はキックダウンケーブルがないのでアクセルが重くならないメリットがありますね。

なるべく簡潔に書こうと思ったんですがATとなると構造が複雑な事と私の文才の乏しさも手伝ってなかなか上手く書けないですね・・^^;
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Posted at 2016/04/24 03:41:29

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この記事へのコメント

2016年4月24日 18:30
お疲れ様です!

オートマはどういう仕組みで変速するのかな?と思ってましたが、オートマ内の油圧バランスで走行状態に合わせて変速するようになってるんですね。

コスモ関連のオートマの本など持ってますが、変速の仕組みの機構図など読んでも中々理解できません。ガバナ圧って出力軸から来る油圧だったんですね。なんだろう思ってました。
基本的な変速の仕組みが分かって面白かったです!(^-^)

車の発展の歴史においてオートマチックトランスミッションは革新的な発明だった訳ですが、仕組みや機構がよくわかんないですね。初期のAT、BW社のATやスペースフローやトヨグライドなんかも面白そうなんですがf^_^;

コメントへの返答
2016年4月24日 20:19
こんばんは(´▽`)

確かにATの仕組みは非常に難解ですよね、今回は油圧の制御関係の事だけを出来るだけ簡潔に書いたつもりですが、これでもAT全体の作動の仕組の一部に過ぎないんですよね^^;それにしても油圧のバランスで変速するとは良く考えたものですよね。

私もATの整備書を熟読して勉強しました、REAPSの整備書もそうですが理解出来るまで何度も読み返したり・・学校の勉強と違って、好きで知りたい事は勉強が苦になりませんね(^^)でもやっぱり難しい・・(笑)

出始めのトヨグライドのような国産車の初期のATは通常は2速走行でドライバーが走行状況に応じて1速に手動でシフトする半自動でしたが、それでも当時は画期的だったのかも知れませんね、ATなのにギヤの選択は手動・・味わいがありますね~乗ってみたいものです(^^)

コスモのATもそうですが昔のATは完全な機械制御で、あれだけの複雑な作動をするのですからATは機械の中でも究極のメカニズムといっても過言ではないと思います、考えた人は偉い!(笑)





2016年5月6日 7:50
これを読んで懐かしくなりました…もう30年前のこと、現役で乗ってた、マツダ社員内でも故障しないで有名なCBカペラで通勤中突然の白煙で吹けなくなり、汗った事が…
当時はテッキリエンジンがパーになったのかと思ったなぁ〜

当時のディーラーは、何があってもすぐに来てくれて良かったなぁ〜 畑に落ちかけてカメになったり
コメントへの返答
2016年5月6日 19:47
このバキュームダイヤフラムは中のゴムが破れるとATFがエンジンに吸い出されて相当な白煙が出るようで、それこそエンジンが逝ったかと思ってしまいそうですね^^;

CBカペラも今はすっかり見なくなりましたね、初代カペラのほうが現存率が高いのではないかと思えてきます。

私はディーラーとの付き合いは唯一、20年前に新車で買ったFD3Sの時だけ・・今は足車は査定のつかない中古車ばかり乗っている私です(笑)もう新車を買う事はないかも知れません^^;

プロフィール

「初始動 http://cvw.jp/b/293527/48382128/
何シテル?   04/20 16:59
はじめまして、CD23Cと申します。 子供の頃から車が大好きで現在はコスモAPを所有しております。 車バカな私ですが宜しくお願いします。
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