
ロータリーエンジンはレシプロエンジンに比べて排気ガス中の有害成分のHC(炭化水素)が多いという特性があります。
レシプロエンジンもロータリーエンジンもそうですが燃焼室を形成する金属部分の壁面は温度が低いので燃焼した火炎がこの温度の低い部分(消炎層)によって消えてしまい、その燃え残りがHCとなって排出されるのですがロータリーエンジンは燃焼室が細長くて表面積が大きいので消炎層によるHCの排出がレシプロエンジンに比べると多くなるのです。
この特性を利用したのがサーマルリアクター(熱反応器)です。
HCは燃料の燃え残りなので再燃焼(酸化)させれば水になって無害になります。
排気ガス中のHCを再燃焼させるためには充分な酸素と高い温度が必要です。
排気ガスの温度が最も高いのは排気工程直後なので排気ポートに空気を噴射する事で排気ガス中のHCに火種を作りサーマルリアクターという容器の中に排気ガスを滞留させる事で熱反応による再燃焼(酸化)を行うというものです。
これが排気ポートに空気を送るエアポンプです
サーマルリアクターはエキゾーストマニホールドでもあるわけですが、普通の?エキゾーストマニホールドと違うのは排気ガスの滞留時間を長くして熱反応による時間を稼ぐために容器状になっており外観は丸いタンクのような形状になっています。
エンジンが高回転になるとエアポンプからのエアはサーマルリアクターの冷却のために熱反応室の外側に送られサーマルリアクターを冷却し、その冷却後のエアはマフラータイコの横にあるパイプから車外に排出されるようになっています。
当時の東洋工業は早くからサーマルリアクターを研究していて日本で本格的な排気ガス規制が始まる前の昭和44年には既に対米輸出向けのファミリアロータリーに装着されていました。
ロータリーエンジンには都合の良かったサーマルリアクターですが熱反応器ですから当然温度は高いわけでして・・夏場のエンジンルームの熱さは相当なものでエンジンや補機類に同情したくなるほど熱いのです^^;ボンネット裏のコーションラベルが傷むのも当然ですね。。
Posted at 2009/02/08 23:44:02 | |
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