
コスモのキャブレターには画像のようなキャブヒーターが装着されています。
この丸いハウジングの中にキャブヒーターが組み込まれていますがキャブヒーターとは何かというと・・。
コスモは手動式のチョークが採用されていますが温まるとチョークノブが自動で戻るようになっています、サーマルリアクター式のコスモはチョークの戻し忘れは熱害の危険があるので戻し忘れ対策です。
これと相まってチョークの解除を行なうのがキャブヒーターです。
チョークノブは水温の上昇で強制的にノブが任意の位置で保持が出来なくなるようになっていますが、キャブヒーターは閉じているチョークバルブの保持を強制的に解除するものです。

チョークの仕組みは・・画像は12A用のキャブレターで13B用とは若干形状が違いますが作動原理は同じです。
画像のAのレバーがチョークバルブのシャフトに接続されていて、更にAのレバーはハウジング内の巻きバネにも接続されており、この巻きバネがAのレバーを左方向に動かそうとしています。
Bのレバーはチョークワイヤーと接続されていて、チョークノブを引いていない時は画像のAのレバーのストッパーがBのレバーで押さえられているのでチョークバルブは閉じません。

チョークを引くとBのレバーはチョークワイヤーに引かれて下の方向に動きます、するとBのレバーで止められていたAのレバーのストッパーも矢印の方向に移動するのでAのレバーに接続されている巻きバネの力でAのレバーは左方向に動きます、するとAのレバーに接続されているチョークバルブのシャフトが回転しチョークバルブが閉じます。
つまりチョークワイヤーが直接チョークバルブを動かすのではなく、チョークワイヤーがチョークバルブのストッパーを解除する事でチョークバルブが巻きバネの力で閉じるわけです。

キャブヒーターはチョークノブを引いてエンジンを始動させると通電するようになっています、ではチョークバルブを閉じた状態にして実際に通電させてみます。

ハウジング内には矢印のように電熱線が付いています、この電熱線は巻きバネに隣接しています。
巻きバネはバイメタルという膨張率の異なる金属板を張り合わせた物で作られています。
バイメタルは熱を加えると変形する性質があるのでバイメタルで作られた巻きバネは電熱線の熱で変形してチョークバルブを閉じる力が無くなる事でチョークバルブが開く仕組みになっています。

指でハウジングに触れてみると結構熱いです。

しばらくするとチョークバルブが開き始めました、チョークノブは引いた状態のままです。

更に時間が経つとチョークバルブはすっかり開いた状態になりました、チョークノブは当然引いた状態のままです。

巻きバネは電熱線の熱で変形してチョークバルブを閉じる作用をしなくなります。
このようにキャブヒーターはチョークノブの位置に関係なくチョークを解除するようになっています、従ってキャブヒーターで温められるとチョークを引いてもチョークバルブは閉じません。
通電を切って巻きバネが冷えるとバネ力は復活するので冷間時はチョークを引くとチョークバルブが閉じます。

このキャブレターは使用不能品ですので、ついでに分解してみましょう^^;

矢印の上から・・プライマリーメーンエアブリード、プライマリースロージェット、プライマリースローエアブリードNo2となります。

フロート室の底に2つあるのがプライマリーとセカンダリーのメーンジェットです。
フロート室の燃料は最初にこのメーンジェットで計量されてスロージェットやメーンエアブリードに供給されます。

画像上から・・(全てプライマリー側)メーンエアブリード、スロージェット、スローエアブリードNo2です。
メーンエアブリードの穴が沢山開いた筒の部分はエマルジョンチューブと呼ばれます、12A用ではエアブリードとエマルジョンチューブが一体になっていますが13B用は別個だったかな?

画像の真ん中はスロージェットですがマイナス溝の中に空気穴があり、この穴がスローエアブリードNo1となります、12A用のスロージェットはこのようにスロージェットとエアブリードが一体です、13B用はスロージェットとスローエアブリードは別になっていて13Bではアッパーカバーにスローエアブリードが装着されていてスロージェットの頭はマイナス溝だけで穴はありません。
なお13B用ではプライマリーのスローエアブリードNo2はありません。
エアブリードは空気用のジェットで、ここで計量された空気が燃料と混ざる事で燃料が微粒化されるようになっています、そうする事で吸い出される際に霧化しやすくなります。
メーンエアブリードには更に空燃比を適正に保つ重要な働きがあります、スロー系統は低回転時だけですがメーン系統は高回転域までカバーしますからメーンエアブリードがないと高回転になるに従って空燃比が濃くなってしまうのでそれを補正する重要な働きがあります。
エアブリードが完全に詰まるとエンジン停止後にサイホン作用によって燃料がキャブ内に流出するので再始動が困難になる等、不調の原因にもなるので、小さな穴ですがとても重要な役割があります。
ちょっと難しくなりましたが、キャブのジェット類もあまり見る機会がないと思いましたので書いてみました。
Posted at 2010/01/04 02:09:03 | |
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