
コスモのキャブレターはエアーバイパス式のキャブレターが採用されています。
このキャブレターは調整スクリューが4つあり、それらはアクセルスイッチ調整、アイドル時のスロットルバルブ開度調整(TAS)、アイドル時のエアー量調整(AAS)、アイドル時の燃料流量調整(MAS)ですが、この中で調整する機会が多いのはAASとMASです。
12A用のキャブでその仕組みを見てみたいと思います。

キャブレターは大きく3つに分解出来ます、アッパーカバー、メインボディー、スロットルボディーとなりますが、画像はスロットルバルブが付いているスロットルボディー部分です。
大きいスクリューがAASで小さい方がMASです。

スクリューの先端はこのようにテーパーになっていて締め込むと通路の面積を狭くしてエアや燃料の流量が少なくなります。

ではAASから見ていきましょう、これはメインボディーを裏から見た状態です。
矢印の穴からエアがスロットルボディーのエア通路へと流れます。

メインボディーからのエアはスロットルボディーの矢印の通路へ流れます。

そして通路の途中にあるAASで流量を調整されて矢印の穴(画像では分かりずらいですが)からインマニ内へ供給されます、つまりエアがスロットルバルブを通らずにバイパスするわけですね。

次にMASの方を見ていきましょう。
スロージェットで計量された燃料はスローエアブリードでエアが混入した状態でスロットボディーのMASの通路と低回転用スローポートへの通路に流れます。
MASで流量を調整された燃料はアイドリング時に矢印のノズル(13B用キャブではスローポート下にあるアイドルポート)からインマニ内に供給されます。

スローポートは矢印の部分です、これはスロットルバルブが全閉状態、つまりアイドリング時ですね、この時点ではスローポートはまだ開いていません。

スロットルバルブが開くと塞がれていたスローポートも開きます、このようにスローポートは細長い形状になっていてスロットルバルブが開くにつれてポートの大きさが大きくなり燃料の供給量が増えるようになっています。
スロットルバルブが開くとアイドルノズルからの燃料と共にスローポートからも燃料が供給されます、これらがスロー燃料系統です。
スロットルバルブの開度が大きくなって回転数が上がってメーン系統からの燃料供給が始まるとスロットルバルブ下の負圧も低下してスロー系統からの燃料供給は止まりメーン系統のみの燃料供給へと移行していきます。
エアバイパス式ではアイドリング回転数の調整はAASのみで行ないます、AASでエンジンに供給されるエア流量を調整する事でアイドリング回転数が変化し、それに伴うインマニ負圧の変化でMASで流量が調整された燃料が供給されるようになっています。
このようにAASだけを調整すればアイドリング回転数が変化してもアイドリング時の空燃比を一定に保つ事が出来るようになっています。
MASはアイドリング時の燃料供給通路に設けられていて、締めこむと通路の面積が狭くなる事で燃料の流量が減ってアイドリング時の空燃比は薄くなり、緩めると流量が増えて空燃比が濃くなります。
MASはアイドリング時の燃料流量を決めるものなので回転数が上がっている時の走行フィーリングには影響しません、誤った調整をするとサーマルリアクターが正常に機能しないだけでなく熱害の恐れもあり危険です。
本来はアイドルリミッターキャップといって必要以上に調整出来ないようにする樹脂製のストッパーがMASに付けられているのですが今となっては付いていないコスモの方が多いのではないかと思われます、私の赤コスモはインマニの所に落ちていました(笑)
正しく調整してAP車本来のクリーンさを維持しましょう(^^)
Posted at 2010/01/07 00:43:13 | |
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