
コスモAPの13Bロータリーエンジンのキャブレターにはパワーバルブというものが装着されています。
パワーバルブとは何か?一般的にはエンジンが濃い混合気を必要とする高回転時に余剰燃料を供給して混合気を濃くする装置です。
初期型のREAPSはサーマルリアクターの反応を確保するため濃い目の混合気を供給していましたがオイルショックの痛手でマツダは燃費改善に取り組み、REAPS-5の13Bでは従来比40%もの燃費向上を果たしました、それに貢献したのは空燃比を従来より、リーン(希薄)にセット出来た事でした。
しかしながら、そうなると従来の濃い混合気と違って状況によっては空燃比が希薄過ぎて運転性に問題が生じる事でパワーバルブが装着されました。
混合気のリーン化は排気系に熱交換器が装着されてサーマルリアクターが反応しやすくなった事で実現しましたが、13Bロータリーエンジンは熱交換器が着いたREAPS-4Eからキャブレターにパワーバルブが装着されました。

パワーバルブが作動していない時は電磁弁のニードルが引っ込んでいて負圧通路を塞いでいないのでセカンダリースロットルバルブ下の負圧通路から画像の赤い線のようにインテークマニホールドの負圧がパワーピストン上部に作用してピストンロッドを上に引っ張っています。
電磁弁に電源が入力されニードルが負圧通路を塞ぐとパワーピストンには引っ張られる力は作用しなくなるのでピストンスプリングの力でピストンロッドは下側に押されます、するとピストンロッドがパワーバルブの頭を押す事でパワージェットが開いてその穴で計量された燃料がメーン系統に供給され混合気を濃くするのです。
REAPS-5の13Bロータリーエンジンはこの電磁弁(パワーバルブ制御ソレノイド)によってパワーバルブを作動させていてMT車では4000回転以上になるとこの電磁弁に通電されるので強制的にパワーバルブが作動する事になります。
一般的なキャブではセカンダリースロットルバルブが開いて負圧が小さくなりパワーピストンが引っ張られなくなる事でパワーバルブが作動するのですが、そうなるにはセカンダリースロットルバルブが大きく開いている状態でなければならいので高回転時しかパワーバルブが作動しないわけですがREAPS-5ではコントロールユニットからの制御でソレノイドをONにし強制的にパワーバルブを作動させる事で高回転時だけでなく混合気の希薄化によって運転性に影響のある回転領域の運転性の低下を防ぐ意味合いがあるようです、パワーバルブ作動時は空燃比がリッチ(濃い)なのでNox排出量の低下にもなります(Noxは理論空燃比付近に最も発生する)
ちなみに私の白コスモは制御ソレノイドがショートしているので端子を抜いています、つまり高回転時しかパワーバルブが作動しない状態ですが(一般的なキャブの状態ですね)乗っていて特に不具合は感じませんね^_^;ちなみにREAPS-5Eではパワーバルブ制御ソレノイドは廃止されています(つまり私の白コスモの状態と同じ)でも53年規制ではパワーバルブ制御ソレノイドは復活しています、53年規制はNoxの排出量規制が51年規制より厳しくなったためかな?
それにしても、こんな部品ひとつを見ても車の開発って大変なんだな~と改めて思いましたね^_^;
Posted at 2011/03/09 23:20:52 | |
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