
コスモのチョークノブは水温が低い時は任意の引いた位置で保持出来るようになっています。
その構造はコントロールユニットからの電源がチョークワイヤーを保持する電磁石に通電する事でワイヤーを保持するようになっているのですが、コントロールユニットの保護回路が作動したり保護ヒューズが溶断するとコントロールユニットからチョークワイヤーを保持する電源が出なくなるのでチョークノブが保持出来なくなります。
私の白コスモも以前にコントローユニット保護回路の作動による不調がありましたがチョークが保持出来なくなるという特徴があるので原因究明の手掛かりになるんですが、不調でなくてもチョークが保持出来ない場合もあります。
配線やチョークマグネット本体は正常だと仮定します、今回は簡単に点検出来るものとして水温スイッチについて書いてみます。
水温スイッチは画像の矢印で示したものでウォーターポンプに取り付けられていて、水温が低い時に導通し、水温が上がると導通が切れるようになっている単純なものです。
コントロールユニットから出力されたチョークワイヤーを保持するための電源はチョークマグネットを通ったあと水温スイッチを通ってアースされる事で回路を形成しています、つまりアースを水温スイッチで導通したり切ったりしているのです。
水温が低い時は水温スイッチが導通しているのでチョークマグネットを保持する回路はアースが繋がった状態になっていますから回路に電気が流れてチョークは保持されます、水温が上がると水温スイッチの導通が切れてアースが断たれるのでチョークマグネットには通電しませんからチョークは保持出来なくなります。
ではちょっと実験してみます。

水温スイッチのカプラーを抜いておきます、すると水温は低くてもチョークは保持出来ません、でもエンジンは始動出来ますし始動後も不調はありません。

カプラーを元通りに接続するとチョークは保持出来ます、正常な状態ですね。
この水温スイッチ、何の役割があるかというと・・水温が上がった時にチョークの保持を解除する戻し忘れ防止機能と、もう一つの役割があります、それはAAV(アンチアフターバーンバルブ)の制御です。

サーマルリアクター式ロータリーエンジンではエンジンルームの熱は相当なものです、キャブレターのフロート油面の点検窓を覗くと燃料がグツグツと泡立っているのが見えたりします、こういう状況では空燃比がリッチ(濃い)になるので再始動が難しくなります、そこで温間時のエンジン始動時にAAVを開く事で空燃比のリッチ化の対策をしています。

AAVは減速時の瞬間に空燃比がリッチになるのを防止するために内部のバルブが開いてインマニにエアを供給する装置ですが、それを温間時の始動時にも使っているわけです、と言ってもアクセルを全開にして空気を入れてやったほうが効果的ですけどね^_^;
水温が上がっている時はクランキング時にAAVソレノイドへ通電しないようにする事でクランキング時だけAAVが開いて始動後はソレノイドに通電する回路になっているんですが、これも水温スイッチのオン、オフで行なわれています。
水温スイッチのカプラーを抜いて水温が高い状態を再現してキーをONにしてみるとAAVのソレノイドには通電がありません、そしてエンジンを始動するとソレノイドに通電しました、この事からキーONでAAVのソレノイドに通電がなければ水温スイッチの内部断線やカプラーの接続不良等が疑われます。
チョークが保持出来なくてもエンジンの不調がない場合、まずは水温スイッチを点検してみるのが手っ取り早いのではないかと思います。
Posted at 2013/11/11 23:45:48 | |
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