
現在の車のエンジンルームから消えてしまったキャブレターですが旧車とは切っても切り離せない重要な部品です^^;
ここでは13Bロータリーエンジンのキャブについて書いてみますがレシプロエンジンのキャブレターも基本は同じです。
キャブレターの原理は空気の流れる通路の一部を絞って空気の流速を高めるとその部分に負圧が発生するので絞った部分(ベンチュリー)に燃料を供給するパイプ(メーンノズル)を付ける事で燃料が負圧で吸い出されるようになっています。
アクセルと連動するスロットルバルブはメーンノズルの下に付いていてアクセル開度が大きくベンチュリーを流れる空気の流速が速くなると、その分燃料が吸い出される事で回転数に合った燃料が供給されます。
エアクリーナーを通過した空気はベンチュリー~スロットルバルブを経てエンジンに吸入されますが、このベンチュリーやスロットルバルブが付いている空気の通り道全体をバレルといいます。
このバレルが1つだと高回転時に吸入抵抗になるのでバレルをもう一つ設け、高回転時にはそのバレルのメーンノズルからも燃料供給をするようになっています、つまり低回転時は一つのバレルの作動のみで燃料供給し高回転時はそれに加えてもう一つのバレルが作動するようになっています。
このように2段階でバレルが作動するものを2ステージといい、ロータリーエンジンのキャブレターはバレルが全部で4つあるので4バレル2ステージ型となります。
2つの輪のようなものがベンチュリーですが、この2つのベンチュリーの下のバレルが更に若干狭くなっていて、それもベンチュリーになるので画像は3重のベンチュリーとなります、ベンチュリーの効果を高めるためです。
低回転時に作動するバレルをプライマリー、高回転時に追加作動するバレルをセカンダリーといいます(プライマリー側は高回転時も燃料供給をしています、セカンダリー側は中速域からの追加作動となります)。
スロットルバルブはプライマリー側のバレル、セカンダリー側のバレルと両方に付いていますがアクセルと連動するのはプライマリー側だけで、回転が上がってプライマリー側のベンチュリーに発生する負圧が大きくなるとプライマリー側ベンチュリーに設けられた通路からダイヤフラムに負圧が導入されてダイヤフラムのロッドが動いてロッドと連結されているセカンダリー側のスロットルバルブを開きます。
回転が更に上がるとセカンダリー側ベンチュリーに発生した負圧もダイヤフラムに作用しスロットルバルブが更に開かれます。
アイドリング時はスロットルバルブが閉じているのでメーンノズルから燃料は供給されずスロットルバルブから下は強い負圧なのでスロットルバルブの下のアイドルポートという穴から負圧により燃料が吸い出されるようになっています。
アクセルを少し踏んでスロットルバルブが開かれるとアイドルポートのすぐ上のスローポートという穴からも燃料が供給されます。
このアイドルポートとスローポートに燃料を供給するのがスロージェット等のスロー系統で低回転時の燃料供給を行います。
更にスロットルバルブが開いてベンチュリーの空気の流速が高くなればメーンノズルから燃料が供給され、更にスロットルバルブが開いてスロットルバルブ下の負圧が低くなるとアイドルポートやスローポートから燃料は吸い出されなくなりメーンノズルからの燃料供給になります。
以上がキャブレターの基本的な作用になります。
キャブレターはこのようにしてエンジンに供給する混合気を作り出すのですが、その混合気の濃度(空燃比)を決める重要な役割があります。
エンジンは運転状況によって最適な空燃比が異なります。
冷間始動時は最も濃い空燃比が必要ですし、アイドリング時や加速時、高回転時や高負荷時も濃い空燃比が必要です。
キャブレターには、これらの運転状況に合わせた空燃比の補正装置が付いています。
冷間始動時はチョーク系統、アイドリング時の空燃比は排ガス濃度にも影響しますからミクスチャーというスクリューで燃料の吸出し量を調整出来るようになっています。
高回転時や高負荷時はパワーバルブというものがあり、低回転時や低負荷時はアクセル開度が小さくインマニ内の負圧が高いのでパワーバルブを作動させるピストンは負圧で引かれていてパワーバルブは作動しませんがアクセル開度が大きくなるとインマニ内は大気圧になるので引かれていたパワーバルブの作動ピストンがバネの力でパワーバルブを押す事で燃料がプライマリー側のメーン系統に追加供給されて空燃比を濃くするようになっています。
加速時は急にアクセルを踏んでスロットルバルブが開いて空気の流入が多くなっても燃料は当然ながら空気より比重があるのですぐには吸い出されません、すると空燃比が一瞬希薄になってエンストや息つきといった不具合が出るので加速ポンプで燃料を強制的に供給します。
ゴムブーツが付いているのが加速ポンプです、アクセルに連動して内部のピストンが燃料をノズルに押し出します。
12A用はピストンではなくダイヤフラム式ですがピストンがダイヤフラムになっているだけで原理は同じです。
加速ポンプは結構不具合が出る事が多いですね。
これは加速ポンプの噴射ノズルです。
スロットルを急に開くとノズルから燃料が噴射されます。
点検はエンジンを止めていても出来ます(その方が安全です)。
ただ注意する事は、この点検をするとスロットルのリンク部からスロットルワイヤーが外れて引っ掛かる事があります、するとスロットルワイヤーが引っ張られた状態になるので気付かずにエンジンを掛けるといきなり吹け上がるのでワイヤーが外れていないか必ず確認します。
今となっては旧式メカのキャブレターですが実に高度な理論と計算で作られているものなのです^^;制御はコンピューターには及ばなくても運転状況に見合った混合気の濃度と量を機械制御で行うというのは立派なハイテク?だと私は思います(私自身が旧式人間ですので・・)。
考えた人は偉いですね(笑)
Posted at 2009/04/02 01:46:38 | |
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