
昨日は青コスモのキャブレターを分解し、内部を洗浄しました。
エンジンの調子は良いのですが以前に燃料タンク内に錆が溜まっていた履歴があり、フィルターが付いているとはいえ、一応キャブレター内の点検をしておこうと思ったからです。
どうせ春まで乗れませんから今の内に作業を済ませておこうとキャブレターを外して分解、案の定フロート室には粉状の汚れが少し・・^^;綺麗に清掃してキャブレターを装着しエンジンを始動、始動性も良くエンジンの調子も安定しています・・が・・排気ガスがやたらと目に染みます。
強い刺激臭で目が痛くてマフラーに近寄れません、正常なAP車なら排気ガスを間近で受けても平気です(温度が高いのであまり近寄ると熱いですが)。
キャブを調整しても状況は変わりません、正月にエンジンを始動した時はこんな事はなかったのに、なぜ?エンジンはとても調子良くてアイドリングも安定しているんですが・・。
コスモのキャブの分解は慣れているとはいえ、きっちりと確認しながら確実に組んでいるので組み間違いはないハズ・・。
目が痛いというのは排気ガスの成分のHCが大量に出ているという事です、ちなみにコスモAPは継続検査時の排気ガス検査の規定値はCO4.5%、HC1200ppmですが目が痛いほどだと車検は間違いなく通りません^^;
さて、これだけ目が痛いという事は相当なHCが出ています、そうなると真っ先に考えるのはサーマルリアクターが上手く機能していないのではないかという事です。
ロータリーエンジンは元来HCの排出量が多いエンジンですから、その特性を利用してサーマルリアクターでHCを酸化反応(燃やすわけですね)させて浄化するわけですが・・。
サーマルリアクターが反応するためにはエンジンが正常な燃焼を行なってその結果排出されるHCを酸化反応させるため、排気ガスの温度が熱反応が出来るくらい高温である事が必要です、そして酸化反応のために2次エアも必要とします。
熱反応に必要な排気ガスの温度は点火時期によって左右されますから規定の点火時期になっている事が必要です。
そう簡単に狂うものではありませんが一応タイミングライトで点検した結果、点火時期はL側、T側共に正常でした。
では2次エアはどうか?

この図ではサーマルリアクターの熱反応のための2次エアの流れを知る事が出来ます。
エアポンプからのエアはまずACV(エアコントロールバルブ)に入り、インテークマニホールド内の通路を通って熱交換器(2次エアを加熱して熱反応を起こしやすいようにするものでリープス4Eから採用されました、これによって熱反応が起こりやすくなったため空燃比をリーン側にセット出来た事で燃費の大幅な向上を果たせました)からサーマルリアクター下部に入り、通路を通ってローターハウジングの排気ポート内に噴射されます、排気ポート内は燃焼を終えたばかりで排気ガスの温度が高いからです(HCが発火しやすい)。

2次エアが排気ポートに内に噴射されなければサーマルリアクターが熱反応しませんのでそちらも点検しました。
これはインテークマニホールドから出ているホース・・このホースから熱交換器にエアが送られますのでエンジンを始動してこのホースを外し、インテークマニホールド通路からエアが出てくるかを点検しました、結果はエアが排出されていて正常でした。

これはサーマルリアクターへ冷却エアを送るパイプですがアイドリング時はこのパイプにはエアが流れないのが正常です、もしACVが故障して2次エアの一部がここに漏れていたらサーマルリアクターの作用にも影響するかも知れない・・と、これも一応外してエアの吐出がないかを点検してみました、結果は異常なし。

画像中央の太いホースは運転状況によってACVから余剰な2次エアをエアクリーナーに戻すものですが、アイドリング時はエアは戻らないのが正常で、これも異常なし。
これらの点検結果からACVは異常なしと判断しました。
う~ん・・どうしたものか・・。
サーマルリアクター関係ではないとなると・・。
ここで基本的な事を考えてみました。
HCが大量に出る症状で考えられる一般的な原因としては・・点火系の失火です。
空燃比の狂いでもHCの排出量は多くなりますが(MASの調整不良やキャブのスロー系統の詰り等)今回はキャブ関係は除外して、一般的な点火系の失火を疑いました。
完全に失火していればエンジンの調子も悪くなりますが・・今回はエンジンの調子は良好です、ただ・・エンジンの調子に大きく影響しない半端な?失火というのもあります。
点火系で真っ先に見るのは・・点火プラグ・・ロータリーエンジンでは特にプラグは重要です。
青コスモは冬はアイドリングばかりでプラグが汚れているのは確実です(アイドリング時は空燃比がとても濃いですしプラグの電極の温度も上がりませんからカーボンが溜まります)。

プラグを外して掃除してみる事にしました、今の車ではプラグの掃除なんてあり得ない?ですが昔は普通だったんですよね・・。

外したプラグは案の定、カーボンで煤けています^^;
プラグのカーボンを綺麗に掃除して取り付け、エンジンを始動してみます、果たして結果は・・おや?排気ガスが匂わなくなりました。

正常なAP車なら排気ガスは、ほぼ無臭か若しくは独特の甘い?匂いです。
先程の目の痛い排気ガスとは全然違って、ほぼ無臭の正常な状態になりました。
ちなみにバンパーの白くなっているところは・・排気ガスの水蒸気が凍結しているのです、この時の気温はかなり低くて多分マイナス10℃以下です^^;ヒーターを焚きながら作業していますがヒーターがなかったら冬は何も出来ませんね・・。

アイドリングばかりしていたら燃料が・・^^;
それにしてもプラグを掃除しただけであんなに強い刺激臭だった排気ガスがほぼ無臭になるとは・・ロータリーエンジンはレシプロと違って燃焼室にプラグを突き出す事が出来ないのでプラグの電極がどうしても奥まってしまうため、点火の条件としては非常に厳しいものがあります、プラグが汚れて火花が弱ければ正常な燃焼が行なわれない事は確かでしょうね。
ACVやサーマルリアクターとか難しい事ばかり考えていましたが、基本的な事を最初に点検するべきでした・・サーマルリアクターが正常に機能するには当然ながら正常な燃焼が行なわれる事が前提ですからACVやサーマルリアクターがどうのというより、まずエンジンの基本的な点検整備が大事ですね。
今回はエンジンの調子は良かったので、てっきり後処理装置であるサーマルリアクター関係の事ばかり考えていました・・奥が深いな~まだまだ勉強が必要ですね・・^^;
Posted at 2011/01/12 00:16:35 | |
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