
数年前にファーストカーのFD3Sがお不動様になってしまい、とりあえず足車がすぐに必要だったので、安くて動けば何でもいいと入手したのが昭和63年式のダイハツミラでした。
ネット255馬力のFD3Sからグロス32馬力のミラへ・・200馬力以上のグレードダウンです(爆)
エアコンもパワステもパワーウインドーもない・・唯一の娯楽?はラジオだけ・・しかもAMのみの1スピーカー・・でも贅沢は言っていられません、当面の足車なのでとりあえず動けばいい・・その間にマトモな?車を探そうと思いながらこれといって乗りたい車もなく、結局乗り続けています^_^;
ロータリーツインターボから550ccノンターボへの乗り換えですから非力な事は十分に承知の上でしたが乗ってみるとやっぱり遅い(笑)まぁ動けばいいし、元が格安なのでドカンと壊れたら惜しみなく廃車です。
お金を掛ける車ではないのでオイル交換程度の最低限のメンテナンスで乗っていました。
それでも調子は良くて足としては十分に機能していました、ところが最近このミラのエンジンの調子が非常に悪くなってきました。
冷間時でチョークが効いている時は普通ですが暖まるに従ってアイドリングがラフになり、ついにはエンジンが止まってしまいます、しかもエンジンが止まるとなかなか始動しません。
火花でも弱いんかな?今までポイントを一度も換えた事がないので(キャブレターにポイント点火式と、旧車と同じ構造なのです・・笑)ポイントやプラグでも換えれば直るだろうとロクに調べもせず部品を発注しました。
部品が揃ったところで修理開始です。
今回はついでにバルブクリアランスを調整してみる事にしました、今までオイル交換以外にロクにメンテナンスもしてませんでしたし、このエンジンは調整も簡単ですので。

まずはクランクを回して点火時期の目盛りを0の位置に合わせて1番を圧縮上死点にします、普通はクランクプーリーに点火時期が刻印されていますがこのエンジンはフライホイールに刻印があるのでそれを見て0の位置に合わせます。

画像左側から1番、2番、3番です、そして画像上側のロッカーアームは吸気側、下側のロッカーアームは排気側になります。
1番を上死点に合わた後、1番が圧縮上死点になっている事を確認します、吸気と排気のそれぞれのロッカーアームを揺すって両方とも少しカタカタ動けば圧縮上死点です、もし排気上死点であればオーバーラップと言ってどちらのバルブも少しだけ開いた状態ですのでロッカーアームは動きません。
排気上死点を圧縮上死点と勘違いしてクリアランス調整してしまうと調子がメチャクチャになって大変な事になりますので必ず確認します、排気上死点ならその位置から正回転にクランクを回すと排気バルブは閉じて吸気バルブが開いていきます。
1番が圧縮上死点である事を確認したらまず1番から調整します、圧縮上死点であれば吸気と排気の両方のクリアランスを調整出来ます。
1番が調整出来たら次は・・このエンジンは3気筒で点火順序は1→2→3です。
3気筒エンジンはクランクシャフトの回転角度で240°毎の燃焼なので1番が圧縮上死点だと2番は吸入工程の最中です、と言う事は吸気バルブは当然開いてますので2番の吸気は調整出来ず、排気が調整出来ます。
3番は排気工程の最中ですので排気は当然調整出来ず、吸気が調整出来ます。
調整が済んだらクランクを1回転させます、すると今度は1番が排気上死点になります、となると2番は燃焼行程の最中となります、なので調整出来るのは吸気側です。
ここで注意するのは・・難しい話なんですが3気筒や6気筒の場合、燃焼行程中では排気バルブが開く寸前の状態で本来のクリアランスが狭くなっているため、ロッカーアームを揺すって遊んでいるからとクリアランスを調整すると正確な調整が出来ません、なので燃焼行程中の排気バルブは閉じていても調整は出来ません、このエンジンの場合は排気バルブが開き始めていたので間違えて調整する事はありませんが、この点は注意が必要です。
3番は圧縮工程の最中になります、排気バルブは閉じているのでもちろん調整出来ます。
ここでも注意なんですが、この時吸気バルブも閉じていますが吸気バルブは閉じた直後で本来のクリアランスが狭くなっていますから閉じているからと言って調整は出来ません、燃焼工程中の排気バルブが調整出来ないのと同じ理由ですね。
以上のようにクランクを1回転させると全てのクリアランスが調整出来ます。

調整はこんな感じです、ロッカーアームとバルブの間に規定値に合わせたシックネスゲージを入れてロックナットを揺るめて調整スクリューをマイナスドライバーで回して調整します、調整加減は文章で表現するのはとても難しいですがシックネスゲージを引いてキツからずユルからず・・という感じです、手を放しても抜けてこない程度・・といいますか・・^_^;
ただ気を付けるのは調整スクリューを回す時にドライバーを押し付けない事です、押し付ければ当然ながら感触が変わりますからね。
後はロックナットを固定する際に調整スクリューが回されないようにスクリューをドライバーで押さえながらロックナットを固定します。
さて、めでたく?調整を済ませたんですが・・

何気にコーションラベルを見ると・・温間時のデータだった・・(泣)調整前に基準値を確認しようとコーションラベルを見てるのに数字しか頭に入ってませんでした、初めから冷間時の基準値だと勝手に思い込んでました、こんなにハッキリと温間って書いてあるのに・・暖気して後でやり直しました、まぁこの車は簡単に調整出来るのでいいですけど・・^_^;

ポイントやプラグ、プラグコードも換えて点火系はバッチリです、これでOK!エンジンをかけてみる。
ところが・・暖まってくるとアイドリングがラフになりエンスト、さらにアクセル全開でしばらくセルを回してようやく始動出来る状況・・アレ?直ってない。。
ここでようやく本格的な原因究明を始めたところ、原因はキャブレターのオーバーフローと判明。
思い込みでなく最初からちゃんと調べておくんだったな・・^_^;
冷えている間は濃い混合気が必要なのでオーバーフローしていても普通に走っていたわけですが暖まると過濃混合気のためにエンストしたのですね、なのでアクセル全開でようやく始動出来たというわけです。

さて、オーバーフローという事ですからキャブを分解して調べてみました、オーバーフローですから怪しいのはフロートやニードル・・

フロートは樹脂製ですが振ってみても燃料が侵入してはいませんし浮かべても沈む事はないので正常のようです。
そうなると怪しいのはニードル・・画像では分かりにくいですがニードルの当たり面には爪がちょっと引っ掛かる程の磨耗があります、う~ん。

これはコスモのキャブのニードル、当たり面にはゴムが付いています、密着性を高めてオーバーフローを防ぐ工夫ですね。
コスモのキャブは高温になるサーマルリアクターの真上になりますからオーバーフローは厳禁です。
話はミラに戻って・・

ニードルの磨耗はどうしようもありません、交換部品も持ってませんし・・ニードルの中には走行中の振動でも密着性を良くするために小さいスプリングが入っているんですが、とりあえずこのスプリングを伸ばしてニードルの接地圧力を少しでも上げてみる事にしました、部品がない現時点ではそれ位しか出来ません、インチキ修理が得意な私ですが、こんな事やっていいのだろうか・・^_^;
キャブを組み付けエンジンを掛けてみる・・
やはりオーバーフローが完全には止まっていませんが最初よりは良くなったようです、最初はメーンノズルからジャバジャバと溢れてましたが今度はポタポタ程度にはなりました、もちろん完全には直っていませんがとりあえずアイドリングもするしエンジンを止めてもすぐに始動するようにはなりました。
本調子ではありませんが、とりあえず普通に乗る事は出来ます、完全に直すならキャブレターを交換するか、OHしてニードルを交換するなりしなければなりません、でも正直そこまでして乗り続けたいとも思わないので、このまま車検までダマシながら乗ってその間に考える事にします^_^;