
着々と赤コスモのエンジンOHに向けて準備を進めています、手配していた部品が来週には届くと思うので、これでようやくOHに必要な部品が全て揃います。
部品が揃うまでは組付けが出来ませんからやれる事といえば部品の洗浄くらい・・地味ですが重要な作業でもあります。
悩ましかったのはローターのカーボン除去ですね、カーボン除去にも色々な方法がありますが、私は重曹をお湯に溶かしてローターを漬け込むという方法でやってみました、ただしこれをやる前にカーボンに付着した油分は溶剤で除去しておく必要があります、そうしないと重曹の水溶液が油分に弾かれてカーボンに浸透しないからです。
1~2時間位漬け込んだでしょうか、ローターを取り出してカーボンを触ってみると最初はカチカチに固かったカーボンが柔らかくなっていました、半信半疑でしたが意外に重曹は効くんですね、まぁカーボンの状態にもよるかも知れませんが。
あとはブラシで擦るとカーボンは殆ど除去出来ました、コーナーシールの穴は先の細い物でホジったり、サイドシールの溝のカーボンは古いサイドシールで掻き出したりしてカーボンは大体除去出来ましたが元々カーボンはそれほど付着していませんでしたね、シール類も固着していませんでしたからその点は優秀だったと思います、ローターハウジングのメッキ剥離さえなければなぁ・・。
ローターの洗浄が終ったので既に手元に届いていたローターとステーショナリーギヤのメタルを交換しました。
メタルは専用SSTで油圧プレスで入れ替えるんですがローターとステーショナリーギヤにはメタルの突起が収まる切り欠きがあるので位置を合わせてメタルを圧入しなければなりません。
私はメタルの突起の両端にそれぞれ直角定規で垂直にマジックで線を書いてその線を切り欠きに合わせて圧入しました、目見当では必ずズレてしまうと思います(私は目が悪いもので・・)しかし注意をしていたにも関わらず圧入後に見ると前側ローターのメタルが僅かですが位置がズレてしまいました(^^;)

目印の線を切り欠きの位置にピッタリ合わせて圧入したんですが多分線を合わせた際にメタルが少し斜めになっていたようです、それでメタルが入って真っすぐになった際にズレたと思われます、油断していました・・圧入したメタルを抜き、一度圧入したメタルは新品でも使用不可なので仕方なく新たにメタルを買って入れ直しました、今度はメタルが真っすぐになるように最新の注意を払ったのでちゃんと切り欠きの位置にピッタリ入りました、最初にズレて入れてしまったのでローター側の切り欠きの角が少し凹んでしまいましたが(^^;)DIYでREをOHされる方はメタルの圧入時に斜めにならないようにくれぐれも注意をされたほうが良いかと思います、この切り欠き部分は一応メタルの回り止めだと思いますが圧入されているメタルが通常の運転で回る事はないですけれどね、というかメタルが回ったらそれはオイル切れ等で焼き付いた時ですが・・10Aや初期の12Aロータリーではこのような切り欠きはなくOH時にメタルを圧入してからメタルとローターの境目にドリルで穴を開けてネジで固定する指示になっていて、その際にメタルが変形しないようにする専用SSTもありました、やがてサービス性を考慮してメタルに突起を設けて切り欠きに合わせて圧入するという方式に変りました。

これは交換したローターのメタル・・部分的に摩耗してますね。

これはステーショナリーギヤのメタル・・やはり部分的に摩耗しています、燃焼時の圧力による荷重が偏るロータリーエンジンの場合はこのように摩耗する事が多いようですね。
メタルのクリアランスを測定するにはエキセントリックシャフトのジャーナル部をマイクロメーターで測定し、ローターメタルの内径との差をシリンダーゲージで比較測定するんですがエキセントリックシャフトをまだ洗浄していないので測定は後日行います、メタルのクリアランスは非常に重要ですから慎重に測定をしなければなりません。
ちなみにFD3SやRX-8ではメタルのサイズが増えていますがコスモAPの頃はスタンダードサイズのメタルしかなく、新品のメタルに交換してもクリアランスが基準値を超えた場合はアンダーサイズのメタルがないのでエキセントリックシャフトを交換する事になっています、多分昔はエキセントリックシャフトはさほど高価ではなかったのかな?
今日はローターに関する測定を行いました。

これはローターランドの摩耗測定です、ストレートエッジを当ててシクネスゲージを入れて摩耗を点検します、結果はOKでした。

次はコーナーシールが入る穴の点検です、画像は点検に使う専用SSTです、一見すると10cm位の小さな棒切れですが、これ1万4千円位します・・今回揃えた純正SSTの中で一番高価でした(^^;)

使い方は簡単でコーナーシールの穴にこのSSTが軽く半分以上入ればローター交換となっています、今回は大丈夫でした。

ローターのアペックスシール溝の点検です、アペックスシールとローターの溝の間にシクネスゲージを入れて溝が開いていないか点検します、結果はOKでした、チューニングしたエンジンではコーナーシールの穴やアペックスシールの溝が広がったりする事もあるようですね。
ここで新旧ロータリーの違いについてちょっとだけ・・。

これは以前に乗っていたFD3Sのローター・・手に持っているのはサイドシール。

コスモAPのサイドシールと比較してみます、上がFD3S用で下がコスモAP用です。

一見すると同じようですが並べて比較すると違いが分かります、左がコスモAP用で右がFD3S用です、幅も厚みも違います。

これはFD3Sのコーナーシール。

上がFD3S用で下がコスモAP用です、アペックスシールの厚みがFD3Sは2mmでコスモAPは3mmなのでコーナーシールの溝の大きさが異なります、コスモAP用のコーナーシールの中央の丸い穴・・これは外張りタイプコーナーシールと呼ばれ、この丸い穴に燃焼ガスが入ってコーナーシールが拡がる事でコーナーシールとコーナーシールが入る穴との隙間の気密性を高めるというものですが昭和55年以降のロータリーエンジンのコーナーシールの穴にはガス漏れを抑えるためのゴム製のソフトプラグが装着されました、上のFD3Sのコーナーシールの穴にソフトプラグが装着されていますね。

これはコーナーシールのスプリング・・上がFD3S用で下がコスモAP用です、FD3Sが板状なのに対しコスモAPは針金みたいですね、スプリングの強さも当然ながらFD3S用の方が強く、押してみるとFD3S用とコスモAP用は全然違います、そうなると硬いFD3Sのスプリングの方が良いように思えます、ただエンジンが始動すれば燃焼ガスの圧力がコーナーシールの裏側に作用しますし、ターボでパワーのあるFD3SならまだしもノンターボのコスモAPではスプリングを強くしても細かいようですが摺動抵抗が増えますし、硬化処理がされていないコスモAPのサイドハウジングでは摩耗が早まるような気がして・・まぁ今回サイドハウジングを研磨した際に耐摩耗性を向上させる処理はしてもらってるんですが、それでもサイドハウジングにはなるべく負担をかけたくない・・なのでコーナーシールスプリングは本来の針金タイプを使います。

ただ、コーナーシールのソフトプラグは負担を掛けるものではなく多少なりとも性能向上の可能性があります。

なので3mmアペックスシール用ソフトプラグを用意しまして・・。

コーナーシールはこれでいきます、後はロータリーOH最大の見せ場?であるサイドシールのクリアランス調整が待っています、これもシビアな作業なのでやる前からちょっと気が重いです・・(^^;)でも頑張ります、ただ7月になって暑くなってきたのでちょっとペースダウンしそうな気もします(笑)。
Posted at 2021/07/04 23:55:50 | |
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