今年の大晦日から元旦にかけてNHK BSでフレッド・アステアの『バンド・ワゴン』が放映されいてたんだ。
夜の公園でシド・チャリシーと踊るシーンがとっても素敵でね。
それ以上にアステアのスーツ姿がお洒落なことこの上なくてね。1953年の作品だから今から70年近く前なんだけど、アステアのスーツの着こなしやVゾーンの色遣いは今見てもとっても参考になる。
うちの会社もビジカジが定着して最近はスーツを着る機会はめっきり減ったけど、この映画を思い出したらなんか明日はビシッとスーツを着たくなったよ。
えー前置きが長くなったけど、今日の話題は映画の方ではなくて鈴木茂が1975年に発表したアルバム『バンド・ワゴン』の方。
実は昨年の夏にこのアルバムを何故だか妙に久々に聴きたくなってね。
TSUTAYAまでCD借りに行って、夏の間中up!の車内で聴いていたんだ。
発表された時俺はまだ小学生でね。1975年っていったら、巷ではさくらと一郎の『昭和枯れすゝき』 が流行っていた頃だよ。
そんな当時にこんなウエスト・コースト・ロックなアルバムを出していたとは!今聴いても全然旧さを感じさせない。
で、ここまで引っ張って前回Blogで予告したビートルズ全然出てこないじゃん、とツッコミを受けそうだが、このアルバムには盟友である松本隆が詩を提供した『微熱少年』というタイトルの曲が収められているんよ。
後に松本隆は同名タイトルの私小説を発表し、1987年に自らメガホンを取り『微熱少年』を映画化してるんだな。
映画の方は主演の3人が全然ダメダメでね。斉藤由貴の弟君に、事務所と代理店猛烈プッシュで鐘紡のCMにも起用された西山由美に、C-C-Bを脱退直後の関口誠人とトーシロ3人の学園会並演技が全部ぶち壊しの映画であった。まあ、半分は監督の責任でもあるんだが・・・
原作の方は未だまともで、舞台はビートルズ来日の1966年でね。
主人公は彼女のためにビートルズ武道館公演のチケットを入手するため、ライオン歯磨きのチケットプレゼントに応募したりと涙ぐましい努力をするんだけど、結局チケットが入手できず、最後は関口演じる吉田と賭けをして、吉田の愛車ベレット1600GTで勝鬨橋の跳開時にベレGで橋をジャンプするんよ。
映画が公開された当時は勝鬨橋の跳開はすでに止まっていたんで、映画では確か東京タワーにリボンをかけるに代わっていたんだけど、原作と映画でもスバル360が登場してね。
映画では走行する360のオープントップから主人公が身を乗り出す場面が今でも不思議と記憶に残っているんだ。
小説では苦労して手にした武道館チケットなんだが、結局誘った彼女は来ずに、同じ会場で他の男と一緒にいるのを目撃するんよ。
主人公は居たたまれず"I’m Down"の演奏中に会場を抜け出し、千鳥ヶ淵公園をさ迷い歩くって、まるで爆風スランプのあの曲の詩のようなエンディングなんだわ。
映画の方は松本隆さんと交流のあった錚々たるミュージシャンが楽曲提供しているんだけが、今日までDVD化されていないのは権利関係もあるんだろうけど、やっぱり松本さんにとってもあの作品は黒歴史なんかな?
因みに行動心理学の世界ではバンドワゴン効果という言葉もあるようで、昨今のSUVブームもなんとなくバンドワゴン効果なような気もする訳でして。
ところで、鈴木さんのアルバムのバンド・ワゴンってどんなワゴン車何やろう?
きっと派手なシャギーを敷いて、車体のボディにはティラノザウルスのペイントを施して・・
そりゃユーミンやないかい!!
P.S.フレッド・アステアと言えば『タワーリング・インフェルノ』の人の好い詐欺師役も良かった。『木綿のハンカチーフ』も1975年発売やったな。
Posted at 2021/02/14 17:20:13 | |
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