私は漆黒結社にこき使われる戦闘員である。
世間はそろそろお盆休みだ、夏休みだと賑わいを見せているが世の中は我々よりも先に世界を征服してしまったコロナウイルスによって翻弄されているようだ。
「なぁ、コロナやべぇよな…ウチなんか年寄りしかいないから俺が感染したら一家全滅だよ…」
「おらいもだ…やんだなぁ…」
全てはお盆休み期間中の行動による。多くの人が緊急事態に飽き飽きしてる上に日本の首都を脱出し田舎へと押し寄せてくる。
その時に我々漆黒結社は世界征服に向けて戦うはずなのだが…
暑すぎてそれどころじゃねぇ!!
我々戦闘員は鍛えられている。普通の会社員とか比べ物にならないほど社会から虐げられ、世間から蔑まされ、家族から非難されている。
子供からの無情な言葉が心に刺さる。
「どうしてたけしくんのお父さんはお仕事お休みでベニーランドに連れていってもらえてるのにお父さんはずっとお仕事なの?どうして休みないの?」
「それはね…たけしくんのお父さんは会社員だからだよ。戦闘員はね、戦わなければならないんだ」
「何と戦ってるの?」
「自分自身だよ」
「訳分かんねーよ!このクソジジイが!!ベニーランドに連れてけ!!」
社会の歪みが小さな家庭にまで及ぼす…いや、押し付けられているのだ。こんな社会を征服し悪が栄える時まで戦い続けるのだ。
「今日も34度だってさ…」
「マジかよ…暑いから正義の味方だって登場しねぇからウチらも休んでも良くね?」
「んだな…」
「おい!お前ら…俺だ、総統だ!」
「ははぁ!総統閣下!」
総統は何故か空にぼんやりと浮かび上がっている。まるで漫画の死んだキャラクターの回想みたいな感じだ。
「サボらずに働け!」
「ヒーッ!!…って見えてるのかなぁ?」
「さぁ?どこにカメラが?」
「おい!お前ら!」
「ヒーッ!!」
「あれ?もしもし…聞こえてるか?もしもーし!おかしいな」
「??」
「おーい!」
「総統はまだリモート使い慣れてねぇんじゃね?」
「んだなぁ…」
「とにかくお前ら!働け!」
「ヒーッ!!」
こうして我々戦闘員は世界征服に向けて地味な仕事を続けているのだ。
Posted at 2021/08/04 12:17:51 | |
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漆黒結社の戦闘員の日々 | 日記