EQSに続いてEQEが登場しましたが、その高性能モデルであるAMGが発表されました。EQSの流れに沿ったものなので、もはや想定内というか予想通りのデザインで登場しましたから、何の驚きもありません。EQSとEQEを比較した時に、ヘッドライトの造形など細部の違いはあるものの、車に詳しくない人が見たらサイズ感の違いくらいしか分からないであろうと思うくらい似通ったデザインを採用してきています。これまでの内燃機関モデルでも、C、E、Sクラスは金太郎飴と揶揄されることもあるように、あまり大きくデザインを変えない主義でしたが、新世代モデルになってからその傾向がさらに増しているように感じます。
ユーザーの求める最適なサイズの車を選べるようにという配慮とも取れますが、下位モデルを購入した人にとっては上位モデルとの類似点が多いことがメリットになっても、上位モデルを購入する人からしたら不満でしかないと思います。そして何より大きな問題点は、金太郎飴のようにするということは、最初のデザインで転んでしまうと取り返しが付かないということでしょう。多くの人に好まれる洗練された上質なデザインテーマであれば、金太郎飴にしたとしても、それほど否定的な意見が増えない可能性もありますが、そもそも不評なデザインでラインナップが埋め尽くされてしまったら、そこからの挽回は相当に大変なはずです。
もちろん車のデザインの好みなんて人それぞれですが、それでも多くの人に受け入れられやすいデザインというのは間違いなく存在します。メルセデスも新世代に切り替わる前の世代のデザイン(W205やW213、W222など)は、押し並べて好意的な意見が多かったように思います。それが新世代のデザインになってからは、どちらかというと否定的な意見が多いように感じますし、特にEQシリーズは賛否両論どころではなく、否定派の方が圧倒的に多いでしょう。
中身の仕上がりはおそらく素晴らしいのだと思いますが、エクステリアに関して言うと、本当にガッカリするレベルで残念です。ノーマルのEQEもそうでしたが、AMGになってもこれまでのような威厳が感じられません。ただ、グリルを縦ラインのパナメリカーナ風に変えましたよっていう主張しか伝わってきません。しかも、グリルに穴が空いていないせいで、余計に安っぽく見えてしまいます。余裕で1000万円オーバーの高価格帯になる車だと思いますが、はっきり言ってそれだけの価格に見合うエクステリアと感じる人がどのくらいいるでしょうか。実物はボディサイズもけっこう大きいでしょうから、それなりの迫力は備えているとは思いますが、デザイン的には2代目インサイトを彷彿とさせるシルエットに感じます。一言でいうなら、安っぽいデザインに見えてしまいます。アウディは電気自動車になっても、高級感や押し出し感を上手く演出できていると思いますが、BMWやMercedesはどんどん残念な方向へデザインが劣化している気がしてなりません。航続距離を伸ばすために空気抵抗の少ないデザインが必須なのは分かりますが、多少は航続距離が犠牲になっても、デザイン性を高めて欲しいという希望の方が多いのではないでしょうか。正直このような方向性でデザインが進んでしまうなら、今後もMercedesに乗り続けたいという思いは、抱かなくなりそうです。決して安くない値段の車を買うなら、自分が満足できるデザインの車でないと買いたいと思いません。
一方でインテリアは先進的で高級感もあり、非常に素晴らしい造形だと思います。唯一、トンボのような形状のハンドルは個人的に使い勝手が悪いのでやめて欲しいですが、新世代のスポーティーなステアリングのようなので、おそらく3〜4年くらいは使い続けられるのでしょう。これなら、まだ標準の大人しめのステアリングの方が好きです。
この超ハイテクなハイパースクリーンですが、新型Sクラスでもディスプレイ周りの不具合が多発しているという情報もあるので、そのさらに上をいくデジタル化が進んだモデルだと、当分は不具合が出そうな気がします。個人的にデジタル化は大歓迎派ですが、さすがにここまでディスプレイだらけになると不具合だけでなく、バッテリーへの負荷の大きさも心配になってきます。
自分の生活圏内では全然走っているのを見かけないEQシリーズですが、売れ行きがどうなのか気になりますね。Mercedesとしての販売が好調とは言っても、おそらくその大半は内燃機関モデルだと思うので、これからEQシリーズがメインになってきた時に、それでも販売力を維持できるかどうかが勝負どころだと思いますが、他社もEVに力を入れてきているので、デザインの評判が良くなってこないと厳しい戦いを強いられそうです。
Posted at 2022/02/20 21:57:17 | |
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