ようやく待望のラージ商品群の第一弾としてCX-60が登場して、何かと話題に上がることが多くなっているMAZDAです。いつものように新型車が出た当初は大絶賛のレビューの嵐が吹き荒れて、少し経つと酷評の嵐となっています。新開発のFRプラットフォームにエンジンやらミッションやら全てが新しいモデルであり、ダウンサイジングの流れに逆らうように大排気量の直6エンジン搭載ということで、注目されるのも当然と言えます。
同価格帯の他社モデルと比較しても内装の高級感については大絶賛されているものの、やはり荒削りな面も少なくないようで、自動車評論家だけでなく、身銭をはたいて購入したオーナーの声も厳しいものが多々あります。「全くの新型車なんだから煮詰め不足は仕方ないでしょ」と寛容な方には全く関係ないお話ですが、かつてはMAZDAの車を乗り継いできた自分に言わせてもらうと、未だにMAZDAは根本的に何も変わっていないことを思い知らされます。ユーザー目線に立った商品開発よりも、自分たちの理想追求を優先し、一方で理想を具現化できずに中途半端な完成度で世に送り出してしまう姿勢のことです。世の中の2%の人に気に入ってもらえればそれでいいというかつての販売戦略が未だに継続しているのかは知りませんが、そろそろユーザーの声を真摯に受け止めて、自分たちの理想を押し付けるような戦略を見直すべき時期に入っているのではないでしょうか。
やはりMAZDAの売り方を見ていると、「どうだ、すごいだろ?直6のFRだぞ?こんなの欲しかったんだろ〜?頑張って開発したんだから、文句言わずに買ってね」と言わんばかりに見えます。プレミアム路線に足を踏み入れたかと思いきや、上下動の揺れが大きい不快な乗り心地や変速のショックの大きいミッション、マイルドハイブリッドを採用しておきながらアイドリングストップから復帰する際の大きな音と振動・・・とても500万円オーバーの車とは思えない残念な声が聞こえてきます。MAZDAは以前からそういう傾向が強いと思いますが、果たしてスポーティー路線にしたいのか、ラグジュアリー路線にしたいのか、それが今ひとつはっきりせずに中途半端なコンセプトの車に仕上がることがよくあります。おそらくCX-60の内外装の見た目や価格帯からはラグジュアリー路線の車を期待した人が少なくないかと思いますが、走らせてみると静粛性や快適性が今ひとつで、かと言ってスポーティーかと言われると、ただ硬いだけの足回りで上質感に欠けていたりと、何とも残念な仕上がりで登場させてしまうところがMAZDAらしいなと思います。
アテンザの後継であるMAZDA6がフルモデルチェンジして、CX-60と同等のエンジンを採用したモデルが登場するのかと思ったら、どうやらセダンモデルは登場しない見込みが強くなっています。SUV全盛かつ電動化の流れが強い世の中で、ただでさえ不人気なセダンに直6エンジンなんか搭載して出したところで、ごくごく一部の車マニアが飛びついて終わるだけでしょうから、経営判断としては至極真っ当だとは思います。SUV嫌いの自分でさえ、あまりにもセダンのラインナップが縮小していることから、「もしかしたら次は嫌々でもSUV買うしかないのかな…」と思ったりしています。
それにしてもMAZDAのラインナップで近年最大の失敗作と言われているMX-30ですが、先日改良モデルの発表があったものの、全く話題になることもなく過ぎ去っていきました。採算の取れないセダンは新型車を出さないのであれば、発売中でありながらあまりにも売れ行きの悪いモデルなんて、さっさと廃盤にすればいいのに…と思ってしまいます。もちろん不人気車でも開発費は相当に掛かったでしょうから、そう簡単には引き下がれないのかもしれませんが、そもそものコンセプトで失敗している時点でいくら改良を加えようとも売れるはずがないということをMAZDAの経営陣は理解できないのでしょうね。素人から見ても売れない理由がはっきりしているのに、車造りのプロたちが分からないとしたら、あまりにも滑稽な話ですね。
MAZDAのコンセプトに共感できていた頃は、その唯我独尊な姿勢すら褒め称えたいくらいでしたが、出すモデルがほぼ全て大人気車という恐るべき開発力を持っているトヨタと比べたら、「もう少し真面目にマーケティングしたらいいのになぁ…」と思ってしまいます。
Posted at 2022/10/27 15:56:54 | |
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