オバちゃんから
受け継いだ焼肉屋は
ランチタイムでも
工員の人
夜の風俗関係者
昔からの常連さん
が食べに来てくれるので
豊子とキムコは
商売繁盛ではないが
ヤワラのパート代も
払える余裕もあり
今年小学生になった息子と
三人で暮らす分には
住宅ローンもなく
恵まれた生活が出来ていた
昔と違って
今のランチは丼飯ではなく
ワンプレートで出せるし
なにより食洗機があるのが
一番ありがたかった
商店街の中華屋さんの話だと
昔は食洗機が無かったから
中華の洗い物は
指先に付いた油の匂いが
取れなくて
常に指先が臭く
3日もすると皿洗いのバイトが
辞めてしまっていたらしい
豊子は
中学1〜高校まではこの焼肉屋
大学時代は豚猫モータース
大学卒業後は自動車メーカー
部署の移動を期に
自動車メーカーを退職し
里帰りして
再び豚猫モータース
キムコと結婚して
オバちゃんの焼肉屋を受け継ぎ
今に至っていた
14時半のランチタイム
が終了して 暖簾を一旦終い
ヤワラが作ってきた
ナンで遅い昼ご飯を
キムコと三人で食べる
「豚子ちゃん降りてこないね」
キムコがカレーに
ナンを付けながら言った
「案外、上手いかもよ、高校時代、マリオカートとかやったよねー」
「やったねー!あの子負けると泣きそうになるし」
「私のバーチャファイターのジョイスティック 逆走ギレして壊したのよ」
「酷いな」
「あの子、直ぐ物にあたるからね」
ヤワラがカレーをスープのように
飲み干しながら言い
豊子とキムコが答えた
「でも、グランツとアセコラじゃ全然違うし、ウチのはGAYA factoryのMOD入ってるしね」
・・・(*´艸`)
「ウチの旦那も豊子に教わったハンコンに変えて、言われた通りのセッティングに変えたら、もうドリ車いらないって!」
「そこは、工業大卒の元メーカー女子ですから、自信ありますよ」
「ランキングも上がったって凄い感謝してるわよ」
「高くて、今はドリ車なんか買えないしな」
「昔はドリ車なんて、二束三文だったのにね」
「ヤワラの旦那は、何でピアッツァなんだよ?」
旦那の神取とは
ヤワラと結婚してから
知り合ったキムコが訊ねた
「結婚する前は ゲームと同じピアッツァよ」
「そうなの!」
「いすゞだろ、驚くほどか?」
驚く豊子に
キムコが聞き返す
「ピアッツァのターボってね、ノーマルで簡単にパワードリフトできちゃうのよ」
「そうそう、交差点でもドリドリ〜って、ハンドリングなんたらって言ってた」
ヤワラが
思い出したように補足
「そういや、ハンドリングバイロータスってのあったな!街の遊撃手だろ」
「それはジェミニでしょ」
「そうだっけ?」
ヤワラに指摘され
キムコは首を傾げる
「いすゞって 今はトラックだけど名車ばかりよ」
「例えば?なに?」
ヤワラとキムコが口を揃える
ベレットGT R
117クーペ
ジェミニ
ピアッツァ
「ベレGと117クーペかっ!伊香保の博物館で見たなっ」
「旦那が行きたいって、前から言ってるやつだ」
ヤワラが答えた
「あそこって車も凄いけど、昭和のプロレスグッズも凄いのよっ!」
「次の連休に行くわ!」
豊子の説明に
キムコが思い出し納得し
ヤワラが昭和のプロレスに喰らいついた
「ピアッツァの方が86よりパワーあるし、簡単にドリフト出来たって言ってたよ」
ヤワラが
さも乗ってたように語る
「ジェミニは何がいいの?」
柔が豊子に訊ねた
ジェミニの意味は双子座
ベレットの双子って意味ね
GM系列だったから
世界中でOEMされたのよ
シボレー・シェベット
ポンティアック・1000
オーストラリアでは
そのままジェミニで販売
ZZシリーズが DOHC
85年にFFに変わるけど
初代は ベレGの直系で
硬派な FRよ!
「豊子ってホント乗り物バカね」
「フォグがラリーみたいで格好いいな」
「そろそろ泣き入れて、豚子が降りてくるわよ」
豊子が三人分のコーヒーを
入れようと立ち上がると
「豊子おぉー!」
豊子の予想通り
豚子が泣きながら降りてきた
━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「ほらきた」
・・・(*´艸`)
「豊子おおぉ」
━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「なに?やり方は分かったんでしょ」
泣きながら降りてきた
豚子に豊子は言った
「やり方は分かったんやけど、難しすぎんねん」
ヤワラの横に
ドンケツして無理に座る豚子
「自分のアバター作った?」
「551で作った」
「車は?」
キムコが訊ねる
「面倒やから、GTS R」
「俺んじゃんかよ!」
「S2000じゃないんだ?」
「なんか豊子のはむずそうやったし」
「キムコのGTS Rでも無理っしよ」
ヤワラが偉そうに言った
「ヤワラも出来んの?」
「旦那とやってるし」
「なんなん!」
豚子はテーブルの
ナンをかじって叫ぶ
「Gayaのストリート仕様から始めなって」
「そんなんあった?」
「あるって、最初は自分で作らずにストリート仕様のツアラーVがいいよ」
「俺の埠頭仕様ってのがあるよ」
「自分の車はドリフト出来てからだよ」
ヤワラとキムコが
続けざまに教える
「せやな、他には?」
「練習場で定常円と8の字」
「りょ!」
「練習場にもコースあるから、そこで先ずはケツが流れる感じを体で覚える」
「うぃっす!」
「神峠シリーズとかオンライン、バトルは豚子にはまだ速いから」
続けざまに豊子がアドバイス
「ガビーん」
「初心者マークつけとく?」
(;゚;ж;゚;)〜ブッ
ヤワラが笑いなが提案
バコーン ♪
「ゲッホ」
豚子が無言で
ヤワラに渾身のラリアット
「よっしゃ、再チャレンジや」
「カレーとナンがあるから食べてからにしなよ」
立ち上がった豚子を
引き止めるように豊子が言った
「せやな、朝からなんも食べとらんかったわ」
テーブルに置かれた
ナンを見て豚子が座りなおす
「コッチがチーズだから」
首を摩りながら
ヤワラが指差す
「ワザワザ作ったんか?」
「朝言ったじゃん」
「だから、ナンでなんなん?」
「カレーとナンなら日持ちするし、昼のメニューに入れようと思うの」
「どう?私のアイデァだけど」
ヤワラがナンをちぎり
無理矢理、豚子の口に
ナンを押し込む
「モグモグ、エエんやない」
「美味しいでしょ」
さらに、ちぎって
豚子の口に押し込むヤワラ
「ままだ、口にモグモグ」
「ドンドン食べて」
また豚子の口に
ナンを詰め込むヤワラ
「うっ、苦っし、やめ」
更に、豚子の口に
ナンを詰め込むヤワラ
「ラリアット根にもってんな」
「ダチョウ倶楽部かよ」
キムコが呟き
豊子が返す
「や・やめんかい!」
豚子がナンを
口から吐き出しながら怒鳴った
「汚っなーい!」
ヤワラが自分に降りかかった
ナンを摘みながら
豚子の口に戻そうとすると
「食べ物で遊ぶのやめなさいよっ!」
豊子が一括して
ヤワラは手を止め
豚子はカレーとナンを抱えて
二階に駆け上がった
続きま~す 🐷
Posted at 2024/06/21 21:08:42 |
トラックバック(0) |
スローなブギは、止めてくれ | 日記