あの頃
バイクや車に乗って
心の底から
笑い 喧嘩してた
君達は
今の君を見て
あの頃ように
笑ってくれるだろうか?
Reservoir Cats 7
豚音が帰り
夜になり
1日で一番忙しい
時間帯になったが
平日の火曜日なので
それほどでもなく
地元の4人家族が一組
これから堀之内に
繰り出すであろう
工員のオッサンの
コンビだけだった
四人家族が帰えると
キムコが厨房の窓から
「まだ、豚子ちゃん降りてこないの?」
「あの子は、飽きて直ぐ止めるか、沼るかどっちかだからね」
「どっちかなー?」
キムコが煙草を
吹かしながら呟くと
ガラガラ〜チン ♪
店のドアが開いて
豊子が中学の頃からある
呼び鈴がなった
「あっ、いらっしゃい!」
豊子の声が明るく
店内に響きわたり
工員のオッサンコンビが振り向いた
「ういーす!」
パッと見、お水のママ
茶髪に染めた京子だった
「豚子ちゃん帰って来てんだって!豚美さんがコッチに居るって教えてくれた」
京子は豚美の指定席に座るや否や
お冷を運ぶ豊子に訊ねた
「二階でアセコラ練習してますよ」
「やっぱり!なんかReservoir Catsのラインで豚子551が登録されてるってニュースになってたから」
京子がスマホを見せると
LINEしたのは旦那のキムコだった
「あのベラ男が!」
「えっ(; ̄O ̄)(; ̄O ̄)
「京子さんには教えようと思ってたんで、良きなんですけどね」
京子は豚子の姉の豚美の
一学年下の後輩で
ピンクの特攻服がトレードマーク
通称〜ピンクの悪魔
GS400の京子といえば
知らない不良はいなかった
顔立ちや体型は
工藤静香に似てるが
声がハスキーで
このギャップに当時の
チンポ猿な不良少年達は
メロメロに憧れていた存在
今は 豚子と同じバツイチ
豊子が高校の時
お古の白特攻服を
貰ったというか 押し付けられたが
今でも大好きな先輩だった
「豚子ちゃんて、車上手いの?」
「いや、基本的な事は何にも知らないですよ」
「でも、リアルでS2000乗ってるんでしょ?」
「殆ど乗ってないし、足がわりに使ってただけだけど、最近、走り屋に目覚めたみたいで」
「そうなの!」
「アニメで頭文字D 観たらしく」
「ブーム遅くねっ?笑」
「流行ってると 嫌う傾向ありますからね〜」
「そうそう、あの子って天の邪鬼なのよねー」
豊子と京子が
ノンアルコールのビールを
飲みながら喋ってると
「豊子〜腹減った」
豚子がヨロヨロしながら
店内に表れた
「ヤッホー!」
京子が豚子に手を振る
「あっ〜京子さん!」
ヨロヨロと京子の席に行き
「ア〜ン、京子さん会いたかったわー」
抱きつきながら
向かいではなく隣りに座る豚子
「元気だった?」
抱きついてくる豚子を
引き離しながら京子が訊ねる
「元気やったけど、今はフラフラやねん」
引き剥がされ
向かいの席に豚子は腰をおろした
「アンタ 目が真っ赤よ」
「毛穴も開いてるし」
豊子がトドメの一撃
「朝からずっーとアセコラでドリフトの練習してんねん、そのせいや」
豚子は自分の頬っぺたを
摘みながら返すと
「もう、今日はヤメなって」
豊子がノンアルコールと
グラスをテーブルに置く
「おぉー水分補給や」
豚子はグラスを使わずにラッパ飲み
「そんな一日でドリフト出来るほど甘くないから」
「せやなー豚音にボロッカスに言われたわ」
「豚音ちゃんに教わってんの?」
京子が肉を焼きながら
豚子に聞く
「せやけど、あの子、口調とか言い回しがオネーにそっくりなんよ」
「それっ!私もたまに感じる」
「どんな感じなの?」
豊子が同意すると
京子が訊ねた
「今時のドライな若者なんやけど、時折、グサッとエグルいい方すんねん」
「そうそう!核心に触れるというか、あと声が豚美さんにソックリになってきた」
「へぇ〜中3になったんだっけ?」
京子は幼い頃しか
豚音を知らない
「豚美さんの中3ってどんな感じだったの?」
豊子が豚子に聞く
「その頃、ウチは大阪やから知らんねん」
「あっそうか」
豊子と豚子が京子を見たので
京子が喋りだした
「中3の豚美さんなんて、鬼よ鬼!目が合っただけでも殺されてたわ」
「メデューサかっ」
いつの間にか
キムコも来て突っ込む
「そんなに?」
「鞄の変わりに木刀持って登校してたんだから」
「じぇじぇじぇ!」
「アホやろー」
「支部長になって丸くなったけど」
「アレで丸かったんですか?」
「凄ぇー理不尽だったけど」
豚美の現役時代を知る
豊子が驚き
豚美が居ないので
キムコがディする
「アホな姉の武勇伝より、Reservoir Catsって、一体なんなん?」
豚子が京子の焼いた肉を
食べながら二人に訊ねた
「Reservoir Catsはね、月一でオンラインバトルしてるの」
「そう!地元最速をかけて」
「だから、川猫メンバーばかりなんやね、あっ!なんで死天狂の松方がおんねん?」
「松方さんは、鮫島さんと同じ金スジだから」
「そうなんや」
「あの二人、意外と中良いのよ」
「本職での 座布団は 鮫島さんの方が 上らしいけどね」
「オネーとは?」
「今でも オンラインチャットで ディスリあってるけど、根っ子は中良いって感じかな」
「殺し合いみたいな、喧嘩しとったのになー」
「まっ、あの頃は若かったからね」
京子が爽やかに
言って肉を食べる
「そんでやね、皆んなゲームと同じ車に乗っとんの?」
「まさか、皆んな乗れないからゲームで選んでるだけよ」
「それが面白いのよねー」
豊子の後に京子が言う
「せやなー単車と車両方は厳しいねんな」
「でも,リアルでも乗ってるのもいるよ」
「誰や?」
「松方さんのカマロ Z28」
「マジかや!」
「あれ格好イイんだよなー」
「永ちゃんの歌詞にも出てくるしね」
京子が捕捉
「どんな歌?」
「今日もオマエは〜カマロをー乗り付けてぇ〜♪」
箸をマイクに見立て
ハスキーな声で京子が歌ってみせる
「カネゴンとミクラスは?」
豚子はパシリだった
キムコと同級生の
カプセル怪獣2人の名をあげた
「カネゴンは、相変わらずKH、400に載せ替え」
「ミクラスもRZのまま」
キムコと豊子が順に説明
「理解」
「ゼットンとアンソンはチェイサー乗ってる」
「マジで!」
「丁度、二束三文の時に、板金屋の親方に薦められて買ったのよ」
「ゼットンも板金屋なん?」
「板金屋はカネゴンとアンソン」
「ゼットンは デブ巨摩さんの重機屋」
キムコと豊子が説明する
「なるほどね」
「私もチェイサー買っとけば良かった〜」
「京子さんは今、何乗っとんの?」
「初代のロードスターのままよ、今日も乗ってきてる」
「ゲームでは使わんの?」
「やっぱり遅いのよー!カプチーノのコンビにも負けちゃう」
「そうなん?」
「あのカプチーノのコンビが 2台でカマして来て エゲツナイのよ」
「両方赤で、区別つかないのよね」
豊子も納得して補足する
「あの、カプセル怪獣コンビ、いきりおって、一回シメとかんとあかんな」
豚子が高校の頃のように
答えると
「デブ巨摩先輩と赤毛先輩は、昔からケンメリとハコスカでしょ〜」
「ラッシャー君は、ゲームでは80スープラだけど、リアルではパクちゃんのブタケツ」
「なるほど、凄い理解」
「凄い高騰してんぜ」
「ボケッ!アレは売れんやろ」
「そうだな、ゴメン」
豚子がキムコに強い口調で言うと
キムコが反省したように答えた
「そして問題なのが一人」
「誰や?」
「裕也のFD」
「マジかやっ!」
「絶対にリアルでもゲームでも豚子に絡んで来るわよ」
豊子が豚子の
ノンアルビールを一口飲んだ
「豊子には絡んできーへんの?」
「私はゲームでブッチ切ってるし、リアルでドリ車持ってないから」
「なるほど〜裕也はリアルでもFDとはオモロなってきたの」
豚子は肉を網に押しつけ
呪い人形に見立て箸をグサグサ刺す
「裕也は箱根で、日曜の死ンデレラを」
京子が言いかけたが
豊子が人差し指を口にあて
(しっー)
声に出さずにゼスチャーしたが
豚子は全く気にせずに
「裕也のボケが」
呟きながら
呪いの肉人形を
裏返しにして網におしつけると
ジューっと肉が焼ける音がして
「豚音ちゃんにドリフト教えたのって豊子ちゃんなの?」
豊子がゼスチャーしたので
豚子が気付かないうちに
京子は咄嗟に話題を変えた
「いや、私はアライメントやLSDな構造的な事だけ」
「じゃあ、アレだ豚美さんだ」
「さっきも、そんなニュアンス言って帰っていきましたよ」
「と、いう事はだよ!」
京子が閃いたように
大きな声で3人に
箸を刺しながら言った
「何です?」
「なんなん?」
「分かった!」
キムコが勢いよく答えた
「では、キムコが説明しろ」
「ういっす!」
「なんなんよ?」
「豚子ちゃんはさ、間接的に豚美さんに教わってることになんだよ」
「なるほど、孫弟子ってことね!」
豊子が笑いながら相槌
「最悪やー!」
続きま〜す
何シテル?は見てないので
ご理解を、ヨロチクビ です
Posted at 2024/06/28 11:04:17 | |
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