ぼっーとしながら
煙草を吸い終え
おばちゃんの部屋を見回すと
東側の角
隣の新しく出来た
パン屋に面した角に
バッケットシートな椅子があり
その前に パソコンデスク
そのパソコンデスクの上には
ゲーミングPCが鎮座してあった
「なんやあのパソコン?」
「ん?ゲーミングPCか?」
豚子はおばちゃんが
生前に使っていた
焼物の灰皿に
メンソールを揉み消すと
目の前にはハンコン?
そして豚子が
欲しくて欲しくて
たまらなかった
PlayStation 5
「なんやこれ?」
寝ぼけながら
PlayStation 5
を触診し
アクセル
ブレーキ
クラッチ
Hシフト
サイドブレーキ
全てそろってあり
間違いない
シュミレーターだ!
どおりで
キムコの馬鹿が
車に詳しいと思ったら
こーいう事だったのか
豚子の 脳味噌は一気に目覚め
「豊子おぉぉー!」
叫びながら
狭い急な 木造階段を駆け降りた
店に降りると
豊子はコーヒーを飲みながら
パソコンの画面を眺めていた
「豊子おぉぉー!」
「なによ、煩いわね」
「なんなんっ!PlayStation5とあのシュミレーターは!」
「あーあれね、今流行ってるの」
「グランツなんか?」
「違うよ」
「なんなんっ?」
「Assetto Corsa」
「なんなっん!」
「通称〜アセコラ」
「それはなんなんっ!」
「グランツよりね、ドリフトに特化してるの」
「まじかやー!」
「豚猫モータース、豚子の実家にもあるわよ」
「なんなんっ?」
「皆んなでね、ネット対戦してるの」
「マジかや!」
「あと神 奈川エリアでね」
「それはなんなんっ?」
「アンタさっきから、日本語おかしいわよ」
豊子はコーヒーを啜りながら言うと
「おはよー!」
スヌーピーの
買い物バックを持った
肥えたオバハンが店に入ってきた
「おはよー」
豊子が肥えた
オバハンに挨拶を返す
「アンタなんなんっ!」
「なに、豚子じゃない久しぶり〜」
肥えたオバハンは
スヌーピーの買い物バックを
テーブルに置いて
豚子に近寄ってくる
「だからなんなんっ!」
「やだ、分からないの?」
「ヤワラやろ?」
「そう、ちょっと太ったけど」
豚子に
ヤワラと呼ばれた
オバハンは腹の肉を摘みながら
ゲラゲラ笑う
「なんなんよ、その肉は!」
ヤワラと呼ばれた
太ったオバハンは
豊子と豚子の同級生で
高校時代は柔道部のエース
結婚して
苗字は藤原から
神取に変わり
今は、神取柔
名前はヤワラだけど
漫画の主人公とは違い
豚子に負けずに
背が高く 尚且つゴツかったので
高校時代の渾名は
藤原組長
合気道を習ってた豚子と
プロレス好きな豊子とは
当たり前のように気が合い
豚子は 昼休みや
体育の時間になると
ヤワラに柔道では
反則技の合気道の関節技をかけ
逆にヤワラは豚子に
絞め技を返し
豚子は
良く泡を吹いて
絞め落とされていた
豊子もヤワラ直伝の
三角締めを得意にし
今でもキムコで
夜に憂さ晴らし
(;゚;ж;゚;)〜ブッ
体育の授業だと
バスケの時間なのに
二人はムキになって
先生が止めるほど
激しい戦いを繰り広げていた
「ヤワラ主婦には 夕方まで パートに来てもらってるの」
豚子はヤワラに
喧嘩ヨツと呼ばれる逆手で組み
ヤワラも豚子の襟を掴み返した
高校時代のように
じゃれあう二人に豊子が説明すると
「今から三人でプレステしようや!」
言いながら、隙をついて
豚子はヤワラをグイと引き寄せ
素早く足払い
それをヤワラがすかして
逆にツバメ返し
ヤワラの鮮やかな
一本が決まった
「痛っつう〜」
豚子が尻餅をついた
「なに言ってんのよ、もう店開けるし、ウチだって昼はランチタイムで忙しいのよ」
「そうよ、豚子も手伝いなさいよ」
ヤワラが
ツバメ返しで倒れた豚子に
追い討ちをかける
「アンタ、肥えて昔より強くなったんちゃうの?」
━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「豚子は仕事はしてないの?」
「456は働いたらあかんから、仕事入れてないんや」
「何言ってんの?」
「働くと社会保険料があがるやろ」
「あーなるほどね、イイわねー極楽とんぼの豚子さんは」
「せやから、三人でゲームしようやー」
豚子は立ち上がり
後ろから椅子に座ってる
豊子を抱きしめて駄々をこねる
「駄目って言ってるでしょ!そんなにゲームしたければ、本棚に説明書とガイドブックあるから、自分で読んでやりなさいよ」
「ええの?」
「一人でやる分には、好きなだけどうぞ」
「よっしゃ〜おおきに!」
チュッ
「汚ったね~」
豊子は 豚子の涎が付いた頬を
ティッシュで拭きとると
「ほら、ナン作って持ってきたから朝ご飯に食べな!」
ヤワラは
スヌーピーの買い物バックから
カレーの時に食べる
大きなナンをとり出した
「ナンでナンが出てくんのや?」
「何それ駄洒落?」
「ダッサー」
「二人して、なんなんっ!」
ヤワラを突き飛ばし
階段を駆け上がって行こうとする
豚子の背中に向かって
「ちょっと!顔ぐらい洗いなさいよ!」
豊子が叫んだ
続きま~す🐷
Posted at 2024/06/16 21:50:43 |
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