日曜日のタマタマ
おはよ~ございます
さて、
「出来心」って
言葉がありますけど
ようは、心の覚悟
ってのが、出来ていなく
心の隙間に
魔物が入り込む
「魔が刺した」
なんて、
よく使いますけど
経験ありませんか〜?
紳士服の青山で
奥さんが選んでくれた
スーツのポケットから
キャバ嬢の名刺とか
デリヘル嬢と過ごした
ラブホのライターとか
まぁ、奥さんに
浮気がバレると地球上の男性は
決まって、必ず!
「ほんの出来心で」
なんて、お決まりの
台詞が定番でして
そんな「出来心」の噺
ある、粗忽長屋に豚子って女がいた
この豚子って女
見てくれは、そこそこで
中の上、上の下ぐらい
若い頃は 六本木宿で
人気の芸妓だったらしく
心中までして失敗
「人気の芸妓だったら、偽造心中なんてしないよ」
その豚子、何を思ったか
去年の年末に
今まで乗っていた
屋根のない車を
あろうことか売り飛ばしちまって
「目先の金に目が眩んだね」
だから、目眩って
言葉があるんだけど
まぁ、思いもよらぬ大金を手にした豚子は
今度は バイクなんて
タイヤが二つしか無い
馬みてぇな 乗り物を買っちまった
それも大型バイク
この豚子、昔は川崎宿や品川宿で
ブイブイゆわしてたらしく
免許だけは持ってた
思わぬ大金を手にした豚子は
そのバイクってのを
注文し契約したんだけど
アレも付けろ コレも付けろ
ココが気に入らん
ソコも変えろ
コッチも変えろ
現金を手にした者だから
我儘、放題
バイク屋にとっちゃ
鴨が葱背負ってる上客だから
豚子の言われるがままに
パーツを頼んだだが
どうにも、こうにも
納期が遅くて
豚子は待ちくたびれていた
「一体いつまで待たせるんだよ、年も変わり 干支が蛇になっちまっつたじゃないかい」
昔と違い
今のバイクパーツってのは
売れないもんだから
ある程度、注文がたまらないと
生産してくれなくてね
えっ、どうしてかって?
そりゃーバイク
その物が売れてないからさ
売れるかどうか分からないモンを
注文生産して、在庫抱えてごらん
工場や銀行から
借金取りが来て
明日の朝には夜逃げだよ
まぁ、そんなワケで
年を跨いで二ヶ月も待たされ
待ちぼうけしてたんだが
知り合いのゼットンも
バイク買うとか相談してきたので
二人して 昔馴染みの
浜川崎のバイク屋に向かった
「ゴメンよ〜誰かおるかい?」
豚子が いつもの調子で
バイク屋に入り声をかける
「誰もおらんのけ〜!」
「。。。。」
「なに、誰もいねーの?」
ゼットンも
不安そうに声をかける
「ったく、これじゃ盗んで下さいゆーとるモンやで」
カウンターにある呼び鈴を
豚子が チンチン♪ならすと
「あっ〜豚子さん」
番頭の中島が
慌てて母家から出てきた
「なにしとんねん!」
「なにって、昼御飯」
「小僧は?」
豚子が訊ねると
「あっ、どうも〜」
丁稚奉公の綾野が
コンビニの袋を持って、入ってきた
「何がどうもじゃ!」
豚子は綾野にケリを入れ
コンビニの袋を取り上げ
サンドウィッチを強奪
「あっ、俺の昼飯」
「ウチもまだや」
豚子はソファーに
腰掛けサンドウィッチの袋を破る
「そ、そんな〜」
━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「なに、二人してパチスロの帰り?」
ゼットンと豚子のコンビを見て
番頭の中島が訊ねる
「いや〜違いますよ」
「旧車と現行車、どっちにしよか悩んどるやて」
ゼットンが否定して
豚子が説明する
「なるほど〜」
「旧車は 今、異常~に高いすからね」
番頭と小僧が妙に納得すると
「4輪での参加も禁止やでー」
・・・(*´艸`)
既にバイクを買った豚子は
勝ち誇ったように付け足す
「だからさ〜」
ゼットンがバイク雑誌を
ペラペラめくりながら答える
「それなら、相談にのるけど豚子ちゃん、頼んでたシートきたよ」
番頭がいうと
「ホンマに!」
「午前中、ロングテールとフェンダーレス付けてたんですよ」
「真っ先にゆわんかい!」
豚子は立ち上がり
ピットにダッシュ
「おおぉー」
「この色かっ!」
「エエやろ〜」
豚子とゼットンは
リフトに上がってる
Z 650RSを見て興奮
「現行車もいいよ、ツーリング先で壊れる心配ないし、新車保証も付いてくるし」
「新車保証って、デカイっすよね!」
番頭がゼットンに説明すると
ゼットンも納得気味に答える
「午後はUSBとバッテリーに増設機付けますんで」
「増設機ってなんなん?」
「あとから、スマホモニターとかドラレコ付けると配線が面倒で高くなるんですよ」
「この前、持ち込みでドラレコ付けたら、エライ面倒で工賃の方が高くなったよ」
「マジかや!ナンボや?」
「ディラーなら工賃で三万超えたね」
「じぇじぇじぇ!」
「なんか、メルカリで買って持って来たんすよ」
「アルアルだな〜」
「でっ、その増設機はナンボすんねん?」
ゼットンが納得し
豚子が丁稚奉公に訊ねた
「3300円す」
「安いやん!」
「コレ付けとけば、三つ引っ張っれるし、後から何を買って付けても工賃無しになるよ」
番頭が説明する
「ヤンキーホーンも?」
「それはダメ」
「オナシャス!」
「やっぱり新車いいな〜」
ゼットンが舐めるように見て回る
「せやろ〜」
「大変だったよ〜この新車探すの」
番頭が説明する
「現行車っすよね、なんでですか?」
「ウチのはな、22年モデルなんよ」
ゼットンが不思議そうに
中島に質問すると
豚子が答えた
「何が違うの?」
「もう、このザッパーカラーないねん」
「でも、ガワだけ変えれますよね?」
丁稚奉公の綾野が
番頭の中島に聞き返す
「パーツで頼めば、変えれるし、50周年限定 火の玉オレンジにも出来るよ」
「マジっすか!」
「ホンマに!」
二人が食いつく
「せやけどなーこのモデル以降はトラコンが付いてんねん、そんなん要らんやろ〜」
「確かに、バイクに電子制御なんて全く要らないな」
「僕も、トラコン車乗ったけど、全く恩恵感じなかったよ」
番頭の中島がゆーと説得力がある
「豚子さんに、しては渋過ぎるチョイスっすよ!」
丁稚奉公が興奮して言う
「どうせ、豊子の入れ知恵だって」
「なるほど、理解す」
ゼットンが小声で教えると
綾野も小さく答える
「シートは?」
「あっ、コレですコレ」
綾野が下に置いてあった段ボールから
プチプチに包まれた
あんこ抜きされ
張り替えたシートを出す
「じぇじぇじぇ!」
「マジかよ!」
豚子とゼットンが驚く
「豚子ちゃんの注文通りなんだけどね〜」
番頭の中島がテーブルに置く
「こんなエグイんか?」
「この表革はヤバイな」
豚子とゼットンは
シートの座席部分を
触りながら呟く
「やっぱり写真だと、イメージ通りいかないよね」
「いや!俺は 昭和感あつてイイと思いますよ!」
「昭和感、ありすぎだろ」
平成生まれの綾野が褒めるが
ゼットンが呆れる
「ウチは走り屋のイメージやったんやけどな」
「この表革は、昭和でも目立って」
「エグ過ぎんねんな」
豚子とゼットンが
感想を述べてると
「まぁ、シートなんだから乗車したら目立たないって、座ってノーマルと比べてみなよ」
中島がリフトを下げて
シートをはめる
「おおぉー格好イイ!」
綾野が褒めちぎる
「完全なる族車だな」
ゼットンの感想
正月の初売りで買った バイク用のブーツを履いてきた 豚子が跨ぐと 母子半球まで両足が付いた
「コレでダウンリンクで落としたら完璧やん!」
豚子は 両足付いて
揺らしながら喜び
「このブーツな、メッチャ、厚底と悩んだんやで」
オニューのブーツを
三人に見せながら
ギアをガチャガチャ入れながら言う
「厚底はやめた方いいって」
「せやねーこれ以上厚かったら、やり難いわ〜」
今度は、右足でブレーキを
踏んだり離したり
「整備入ってるノーマルからシート持ってきて」
「了解す!」
番頭の中島が言うと
丁稚奉公の綾野がダッシュ
「なに、もう一台あんの?」
「タイミング良く マフラー買ってくれたお客さんの」
中島がニッコリ笑いながら言うと
綾野がダッシュで持ってきた
豚子は降り
綾乃がシートをノーマルに戻す
「なんか、高さ的には、見た目は変わらないすね」
付け終わると
綾野が見比べていう
「せやね〜」
「何センチ落としたんですか?」
ゼットンが中島に訊ねる
「このタイプのシートは2センチが限界だよ」
中島がゼットンに説明すると
豚子が跨った
「どうすか?」
「ヤバイ、プルッてんねん」
「両足ついてんじゃん」
「せやけど、足の指が曲がらへんのよ」
豚子がプルプルしながら答える
「でしょー変わるでしょ」
中島が自信満々にいう
「やっぱり、頼んで正解や!」
「そんな違うんだ」
「ちゃう、ちゃう!乗ってみいって」
豚子は降りてゼットンにいう
「横幅も左右で、1センチづつ削ってるからね、見た目より かなり足付きは良くなったでしょ」
「なるほど〜」
「エエね!」
豚子と綾野が
シートを見ながら納得
「やっぱり、400よりデカイな〜」
両足ベッタリだが
ノーマルシートに跨った
ゼットンが納得
「豚猫の FX よりデカイやろ」
「うん、デカイ デカイ」
ゼットンが揺さぶりながら答える
「豚猫のFXって、アンソンさんが、たまに乗ってくる渋いやつすか?」
「そうそう」
中島が答える
「なんで、あの伝説の FX はアンソンさんの代までなんすか?」
「アイツ以降〜根性あんの出なかったからな」
「族も絶滅危惧種になったしね」
「服部君がアンソンに、ずっと乗ってろと、言ったしね」
ゼットンと豚子が答えると
中島も捕捉して綾野に答えた
「じゃあ、だ・だ・誰も逆らえないっすね」
中島の捕捉に
綾野がビビる
「アンソンが歴代では、最弱で一番の阿保やけどな」
「マジっすか!俺的には、アンソンさんもメッチャ怖いんですけど」
綾野がビビりながら驚く
「笑える話と、負けた話ばっかやで〜」
豚子が笑い飛ばす
「やっぱり、バイクっていいな〜」
ゼットンが豚子の
Z 650RSを見ながら呟いた
「せやろー」
「やっぱ、バイクだな」
「そうっすよ!ゼットンさんもバイク乗りましょうよ」
「なんで、オマエは車にいかねーんだよ?」
綾野にゼットンが聞き返した
「やっぱり、バイクすよ!俺、豚美さんや豊子さんにメッチャ憧れてるんす」
綾野が興奮して答える
「あの二人は、おかしいやろ!」
「俺も、あの二人には関わりたくねーし」
ゼットンと豚子が反論
「いや、マジであの二人はリスペクトしてるっす」
「はぁはぁ〜ん、分かったで」
豚子が意味深に笑いながら
綾野を見ながら言う
「な、な、なんすか?」
「アンタ、あのババァ二人より好豚が本命やろ」
「そうなんだ!」
好豚の父親である
中島が驚いて綾野に叫ぶ
「豚子さんは、な、な、何を言い出すんですか、お義父さんの前で!」
「お義父さん?」
「いや、今のは間違えました」
滝のような汗をかきながら
弁解する綾野
「なるほどな〜好豚ちゃんは 豚音ちゃんと 正反対のバイク派だしな〜」
豚音にドリフトを教えててた
ゼットンがニヤニヤしながら納得
「キムコと豊子ちゃんみたいな感じ?」
中島も妙に納得して
豚子に訊ねる
「まさに、それやね〜」
豚子が答えると
二人は綾野を見てニヤニヤ笑う
「皆んな、勝手に妄想しないで下さいよ」
「正直にゆわんかい」
豚子が綾野の手首に触れた
瞬間
「痛っ〜!」
綾野が叫ぶ
「好豚が好きやから、バイク乗ってるって、正直に吐かんかい!」
「ヒィー痛いっですって!」
豚子が更に
綾野の手首に角度を付ける
「昔からだけど、あの技ってそんなに痛いの?」
「久々に見たけど、あの技、マジでヤバイっすよ」
ゼットンが震えながら
中島に答える
「違いますよ!俺はバイクが好きなだけなんです!」
泣きながら、綾野が抵抗を続けると
「ただいま〜」
可愛らしい声がして
この店の女将が
噂の次女、好豚と
一緒に帰ってきた
続きま~す
Posted at 2025/01/19 09:47:19 | |
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快楽亭 豚子 | 日記