皆さん、わんばんこ!
快楽亭豚子です
えっ〜昔っから
不良の遊びといえば、集会やナンパ
富士までグラチャンに行こうよ!
俺の、シャコタンZで、市場までゼロヨン行かない?
江ノ島までドライブ
ってな具合で、チンポ猿共が、バカな女を誘ったものですが
ウチらは、哀しいかな、川崎ナンバー
横浜や江ノ島に、彼女連れて単独で行こうってもんなら、
昔年、日頃の恨み、ここで会ったら三千年
親の仇、鉄パイでボコボコにされるのがオチで
しょうがないから、殿町で燻ってると
そうそう、この殿町ってのは、今じゃ立派な橋がかかり
羽田の国際線まで続き、キングスタウンなんて、呼ばれちゃいるが、
あの頃は、ゴミで埋め立てられた、大小様々な島が横浜まで続いて
お巡りさんが来ても、東西南北どこにでも逃げられるので
暴走族の集合場所でしてね、
携帯もスマホもない時代、集会がない夜でも、
ここのコンビニに行けば、誰かしらに会えるなんてね
憩いの場所だったんですよ
・・・・キリトリ・・・・
ウチの、ウチの噺を聞けえええ~
極楽寺・皿屋敷~壱
ブン!ブォーン♫
焼肉屋のバイトが終わる時間に、豚子がやって来た
「どうしたの!このバイク?」
私は豚子が乗って来た、インパルスを見て叫んだ
「家にあったから、借りパクしただけや」
「おおっー!凄ぇーじゃん、純正でヨシムラ菅だろ」
同じバイト仲間のキムコが、店から飛びだして来て叫ぶ
「速いで〜」
ブォーン♫ ブォーン♫
あと10分で日付が変わってしまう深夜だというのに
豚子は、自慢気に吹かす
「近所迷惑だから、やめないよっ!」
私が注意すると
「よし、アンソンにも自慢しに行こぜ!」
キムコが言う
「せやな!皆んなに自慢したろ」
キムコのヨンフォアと、豚子のインパルスで、私達三人は殿町に向かうと
ラッシャー君とアンソンが居て、しばらくすると京子さんと、パクちゃんも来て、いつものメンバーに
豚子が乗って来た、インパルスをアンソンとキムコが交代で試乗し終えると
「しかし、夏だってのに暇だよねー」
京子さんが、ぼやく
「喧嘩でもしに行く?」
豚子が提案
「先週したばっかじゃん!もう勘弁してくれよー」
アンソンが泣げく━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「豚子って、寺とか神社詳しい?」
パクちゃんが、唐突に尋ねた
「なんでや?」
鎌倉によ、極楽寺って駅があってよ、まあー寂しい山ん中だけどよ、
そこに、寺があって、さらに奥に入って行くと
古〜い、武家屋敷があってな
皆んな、パクちゃんの話に耳を傾ける
「で・・・?」
その武家屋敷に古い井戸があるらしく、その井戸から女の霊が出るんだってよ
「マジっすか!」
キムコとアンソン
「どんな女の霊なん?」
「昔な、二子新地の女郎がよ、鎌倉の偉い侍さんに見様られてよ、嫁いだんだけどな」
パクちゃんは、怪談でもする稲川淳二のように、淡々と語りだした
川崎と言えば、堀之内だが、遊郭の元祖は二子新地
今でいうお洒落な街の代表、二子多摩川
通称〜ニコタマの反対側の神奈川側が遊郭であって、
台風で二子橋が流されて、川崎宿に遊郭が移転したのが、堀之内の始まりであった
その、二子新地の女郎のは目出度く、鎌倉の武家に嫁いだまでは、良かったんだけどよ
「うん、うん」
まぁ〜そこのオカンが、意地悪ババァでな
二言目には、嫁に嫌味三昧
「一人っ子や、男兄弟しかおらん家に居る、よく居るババァ〜の話やね」
でな、その家には家宝に、源の代紋が入った10枚セットの皿があったんだってよ
「源って、なんすか?」
キムコが質問
「アホ~鶴岡八幡宮は鎌倉幕府の源頼朝やろ!」
「徳川じゃ、ねーんだ?」
今度はアンソン
「馬鹿じゃないの!アンタ達、いい国作ろう〜1192年鎌倉幕府でしょ」
私が言うと
「朝校で習わなかったの?」
京子さんも、呆れて返す
「習ってないっすよね」
アンソン
「徳川家康って、在日って、習ったよな」
ラッシャー君
じぇじぇじぇ!
「そんな出鱈目を、朝校では教しえとんのかー!」
女子、三人で叫ぶと
「おいっ、歴史の話はいいから、俺の話を聞けや!」
パクちゃんが、一喝すると、皆んな
「はい・・・」
「すみません」
でな、ある日、江戸から旦那の旧知の知り合いが
鶴岡八幡宮に御参りに来る事になったんだわ
「へえ~」
勿論、夕飯も呼ばれ、その武家屋敷に泊まる事になったもんだから
見栄を張るわな
「今でいう、おもてなし・ってやつやね」
まあ、そんなところよ
旦那が、接待に自慢しようと、蔵から家宝の皿を出したところ
10枚セットなのに、一枚たらねーときたもんだから、家中大騒ぎよ
「そりゃー恥かきますね」
でな、ババァ〜が、その嫁を呼びつけてな
「ちょっと、アンタが一枚、盗んだじゃないの!」
「いえ、私はそんな事は・・・一切心当たりございません」
「ふんっ、二子新地の女郎の言う事なんざ、あたしゃ一切、信じないよ」
こんな、感じでよ、女郎アガリの嫁を責め立てたんだよ
「分かった!本当は、当主のババァが隠したんやろ」
そう、豚子の言う通り、ババァは、女郎アガリの嫁を家からおん出したくて、嫌がらせしたんだよ
「可哀想ね~」
「ムカつくわねー」
私が、嫁いだ女郎に同情すると、京子さんも腕組みしながら、同意
その女は、それから毎晩、十枚セットの皿を
夜な夜な何回も何回も数えた
一枚〜二枚〜三枚〜四枚〜五枚〜六枚〜七枚〜八枚〜九枚〜ってな
しかし、毎晩、毎晩、数えても、源の代紋が入った皿は
一枚足らない九枚までしかない
「ババアが隠してるからっすね」
「今でいう、ノイローゼとか鬱病っすか?」
京子さんとラッシャー君が、パクちゃんに尋ねた
まぁ、そんなとこよ、毎晩、数えても九枚しかねーから
とうとう嫁は、ババァの嫌味と苛めに絶えられず、井戸に身を投げちまった
「まさか、その女の霊が・・」
ラッシャー君が言うと
おう、出るらしいんだよ
その古井戸から、一枚〜二枚〜って、皿を数える女の霊が
「ヒィーーー!」
私達は悲鳴をあげたのだが
「オモロイやない、行ってみようや!」
案の定、豚子が爆弾発言
「そんなとこ、行かないわよー!」
私が叫ぶと
「こんな族車で、横浜抜けて鎌倉は無理でしょ」
京子さんも、同意
「いや、特服じゃねーし、ステッカー剥がしゃ平気だろ」
「じゃあ、マフラーに缶詰めて行きますか」
ラッシャー君も同意
「いや、俺は行きませんよ!絶対に去年の鶴見の大会二の舞になりますよ!」
アンソンが反抗すると
「極楽寺の女霊に会う前に、こんな少人数で、横浜抜けて鎌倉まで行く方が怖いす」
キムコも泣き
━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「はぁー?お前ら、横浜と湘南にイモ引くんなら、今から破門にすっぞ」
パクちゃんが、キムコとアンソンを脅す
ガビーン!━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「私は、族じゃないから、絶対に行きませんからね」
キッパリ言い切ると
「豊子はん、こういのはな、もう既に霊が来とって、一番先に逃げたやつに憑くんやで」
「やめないさいよっ!」
私は豚子に唸り飛ばした
「そうそう、豊子ちゃん一人だけ、バックレる方が、危ない気がするし、豚子ちゃんのはノーマルだから平気だって・・・」
京子さんも、豚子に同意
そんな、京子さんまで・・(T_T)
「豊子はんは、ウチに一人で行かせる気でっか?」
「アンタも、行かなきゃいいでしょ!」
「豊子、そんな心配すんなって、御守り持ってからよ」
パクちゃんが、ズボンから浜連のステッカーを出した
「これ貼ってりゃ、余裕だろ」
「どうしたんすか?」
昨日、生意気なジャパンが煽ってきたから、シメたら持ってたんだよ
「おおぉー流石、支部長」
「じゃあ、武器庫に行って、皆んなで、フルフェイス被って行きましょうよ」
「おっ、それなら完璧だな」
京子さんが言い、ラッシャー君が賛成すると
皆んなで、鉄パイやら木刀を大量に隠してある、場所に取り敢えず向かった
この頃は、暴走族が乱立していたので
いつ喧嘩になってもいいように
あちこちに武器庫があり、殿町の武器庫は
デブ巨摩先輩が働いてる重機屋の裏に
放置された海上コンテナがあり、それを武器庫にしてた
ブン!ブオォー
武器庫に着くと、サバンナが止まっていて
なにやら、武器庫の中を懐中電灯で照らしている輩がいる
「おい、オメーラ!どこで何してんだよ」
ラッシャー君が、怪しい二人の輩に言うと、
「あっ〜なんだ、なんだテメーら」
武器庫に不法侵入してた二人が、懐中電灯を私達に向けて、ラッシャー君に唸り飛ばした
「おい、アラビアじゃ馬泥棒は縛り首って知ってるか?」
「えっ・・・」
「朝鮮じゃ、家族も皆殺しだぞ」
ラッシャー君が付け加え
その後ろにいる、パクちゃんを懐中電灯の灯りで捉えて見た、サバンナの二人は
「ちわっす!失礼しました」
二等兵の挨拶
「鮫島んとこか?」
「うっす、明日の夜、綱島を襲撃するんで、緊急集会っす!」
「先週から、綱島と南口が揉めてるって聞きましたよ」
ラッシャー君がパクちゃんに捕捉
「ふーん」
「もしかして、黒猫のパクさん達も、来てくれるんすか?」
サバンナの二人が、期待を込めて質問すると
「じぇじぇじぇ!」
アンソンとキムコ
「関係ねーのに、行くわけねーだろ」
「そんな〜」
「鮫島が負けたら、いってやるから、死んで来い」
「うぃす!」
「それとな、ここから持ち出しのは、必ず戻しとけよ」
「ういっす!失礼します」
「頑張ってなー!」
豚子と京子さんは、赤いサバンナに手を振って見送り
私達が海上コンテナの中に入りフルフェイスを探すと
人数分、直ぐにあったのだが
キムコがシンナーの一斗缶を見つけだし、小声で
「これは、俺らの分すか?」
京子さんに呟いた
「ウチのだよ、書いてあるだろパクったら、殺されるよ」
京子さんが、マジックで浜川崎と書いてある場所を指し
小さい声でいい元に戻した
京子さんは、豚子のオネーさんの支部で、パクちゃん支部とは違う
皆んなで、族ヘルのフルフェイスに、浜連のステッカーを貼り、被ると
「よっし!鎌倉極楽寺、出っ発〜」
パクちゃんの号令で、
ブブン、ブン!
なるべく、目立たないように、台数を減らし
私は豚子のケツ
キムコはアンソンのケツ
パクちゃんは、集会の時のように、ラッシャー君に運転させケツに
京子さんは単独で
いざ、鎌倉極楽寺へ
横浜新道で、一気に江ノ島目指せば、早いのだが
海岸線に出ると、湘南の集団に出くわす可能性が高いので
私達はラッシャー君が運転するFXを先頭に
長越から左折して、北鎌倉経由で、山の中を抜けて
深夜の極楽寺の駅前に着いた
ホーホーホー
梟の鳴き声が、バイクを停めると不気味に鳴り響く
最近じゃ、小泉今日子と中井貴一のドラマのせいで、古民家カフェとか、お洒落な店が多く、この辺りもデートスポットだが・・・
当時は、完全に山の中の無人駅で、夜になると歩くのも恐いくらいの場所だった
「なんや、ここは?」
とりあえず極楽寺の無人駅にバイクを停めると、豚子がいった
「真っ暗じゃない」
「この辺は、本当に田舎で静かだねー」
京子さんも、GSから降りてぼやく
「静かって、つーうより怖いっすね」
アンソンが言うと
「なんか肌寒くない?」
キムコ
「武家屋敷は、どっちなんですか?」
「寺の奥だ、着いて来い」
ラッシャー君が尋ねると、パクちゃんは勝手に歩きだしたので、皆んな慌てて後を追う
「その、皿を数える女の幽霊がホンマに出て来たら、どないすんのや?」
豚子が歩きながら、パクちゃんに尋ねると
「井戸から出て来て、皿を数えるんだけどな、九枚〜って最後まで聞くと、呪われて、必ず事故るらしいぞ」
ガビーン・・T_T)
「もう、引き返して、やめましょーよ」
寺に着くと、キムコが泣きの懇願
「ここまで、来て引き返せるかよ」
ラッシャー君
「九枚まで、唄うウチに逃げればエエの?」
「そうだな、六枚まで数えたら、皆んなでダッシュで逃げるか」
「マジっすか?」
京子さんが言い
「だから、もう帰りましょうよー」
キムコが泣き入れてるウチに、ボロボロの武家屋敷がうっすらと闇に浮かび、
私達の前に現れた
「おっ、着いたな、コレだコレ」
パクちゃんは、躊躇せずに屋敷内の敷地にズカズカ入るので、私達も必死で着いていく
「ここは出るなー」
豚子が呟く
「分かるの?」
「空気がメッチャ重くて、澱んでんねん」
「やっぱり豚子に話して正解だったな」
「古井戸っすよね~」
「そうだ、二手に分かれ探すぞ」
武家屋敷なので、荒れ果てているが、建物の作りは、農家の豪商と違い、複雑で広い
「信長も本能寺やなくて、武家屋敷やったら逃げれてたと思うで~」
「しょうがね、二手に別れっか」
パクちゃんが提案して
パクちゃんは、へたれコンビのアンソンキムコ
京子さんと、ラッシャー君と私達で別れ
屋敷を裏で挟みウチするように、庭を廻るようにした
丁度、私達が裏庭に出たとこで
ヒィー!
と反対から叫び声が、月明かりに照らされた、武家屋敷の邸内に響き渡り
「出た!走れ」
ラッシャー君の号令で、悲鳴がした方に
一目散に、私達女子三人はダッシュ
着くと、古井戸から、白い着物を着た、髪の長い女の後ろ姿が・・・
「一枚〜二枚〜」
と啜り鳴くような声で数えだしていた
キムコは、完全に腰を抜かして、地面に座り込んでいて
「四枚〜五枚〜六枚〜」
七・・・
「何してんねん!もう七枚やないかっー!」
豚子が、ダッシュでキムコに走りよって蹴りを入れ
キムコを引っ張り起こすと
パクちゃんが
「逃げろおぉぉー!」
と、叫ぶ
それを合図に、反対側の私と京子さんとラッシャー君も一目散に走って逃げた
どうやって、バイクを停めた、極楽寺の無人駅まで逃げたか記憶にないが
とにかく、私達はその夜、本当に皿を数える女の霊を見た
一週間後、私とキムコがいつものように焼肉屋で、バイトしてると
アンソンが、テンション上げ上げで入って来て、いつもの席に座る
「何?なんか気分良さげだけど」
「分かる?」
「どうしたの?」
それがさ、あの肝試しの翌日、スタンドの女から告られてよ
「マジで?」
「もしかして?あの茶髪のカオリちゃん」
いつの間にか、キムコも入って来た
「そう、カオリ」
「やったの?」
「なんか、ツイテんだよなー」
・・・(*´艸`)
「最低〜」
「向こうから、誘ってきたんだって!」
「イイなー」
すると、ブォン♫
店の前に、パクちゃんのローレルが止まり
案の定、ラッシャー君とパクちゃんが降りて来て
店に入って来た
二人はカルビ定食とレバーを注文したのだが
何故かニヤニヤしてる
「こっちも、なんか良い事、あったんですか?」
私が質問しながら、お冷やをテーブルに置くと
「こっちもって、なんだよ?」
「いや、アンソンがスタンドのカオリちゃんと」
キムコがレバーをテーブルに置きながら、説明したのだが
「ふーん」
二人はニヤニヤして意に返さない
「まさか、二人も?」
私が聞くと
「俺らも次の日な、駅前のゲーセンにいたらな、二人組の女に逆ナンされてな」
「やったんすか?」
「そりゃ、夜中に海まで行ったら、この時期やる事は一つだろ」
「まさか、このレバーって?」
私が、焼き網のレバーを摘み上げて言うと
「今夜も約束しちゃってさ」
ラッシャー君が、そのレバーを奪い取り口に放り投げた
「みんな、最低〜」
「イイなー」
と、キムコ
「なんか、極楽寺行ってから、ツイてんだよなー」
パクちゃんが呟やくと
「何で俺だけ、豊子とバイト三昧なのよー」
キムコが愚痴ったので
「はぁ、テメーブッ飛ばすぞ」
ガンっ!👊
「痛っ!」
「でも、あの幽霊、美人でしたよね」
アンソンがパクちゃんに言った
「顔見たの?」
「だって、俺らは正面だったし、否が応でも、見ちゃいますよね」
「ああ、凄ぇ美人だった」
パクちゃんが、焼肉を焼きながら、呟やき
「オメー見てないのかよ」
キムコに尋ねた
「怖くて、目を瞑ってたら、豚子ちゃんに、喧嘩キックされ、それしか、覚えないす」
「それだなー!俺は数合わせで、パクちゃんのご利益だ」
ラッシャー君が言う
「なるほど〜イイっすね」
━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
「どんな美人だったんすか?」
背後しか見てない、私が聞くと
「言いたくない・・・」
「俺もあんまり、言いたくないすね」
「教えて下さいよー!」
三人で懇願すると
「アンソン、お前の感想から言ってみろ」
パクちゃんが、命令
「俺的には、豚子のネーちゃん、つまり豚美さんと間違えるぐらいに似てたけど、幽霊の方が美人だった」
「じぇじぇじぇ!」
それから、一週間、チームあげての抗争もなく、比較的穏やかな夏の終わりを迎えようとしてたんだが
ブン!ブォーン♫
店の前に、インパルスが停まり、豚子が店に入ってきた
「ちょっと!豊子聞いた!」
いつもの席に座るなり、豚子は注文もせずに、私に叫んだ
「何どうしたの?」
「先週行った、鎌倉の武家屋敷、凄い噂になってんねんで!」
「そうなの?」
「あっ、ハラミ定食ね」
「毎度〜」
私は厨房に注文して、豚子の席に戻ると、店主のオバちゃんも豚子が来たので指定席に
「でっ、武家屋敷がどうしたの?」
「なんか、不良の間ではな、あの古井戸の女の霊を見ると、ナンパが百発百中になって、女とバンバン!ヤレるって、メッチャ噂になってんねん」
「じぇじぇじぇ!」
「でな、連日連夜、不良のスポットになってんやって」
ガラガラ〜チリ〜ン
店のドアが空き、呼び鈴がなり、私がみると鮫島が立っていた
「豚子、ヤバっ、」
私が小声で呟いて教えると
「おう、パクの奴、いるか?」
「見れば分かるやろ」
豚子がそっけなく対応する
「ちっ、居ねーのよ」
鮫島は豚子の向かいに腰を下ろした
「なんや?」
「いね~なら、いいや・・・」
豚子のテーブルに定食を持って来た、キムコが
「あっ、こんちわす!」
鮫島に挨拶
「なんだ、オメーここで働いてんのか?」
「ういっす!」
ビビりまくる、キムコ二等兵
「なら、パク呼べや」
「それより、何でもエエから注文したらどうなんや」
豚子が横から、口を挟んだ
睨みつける、鮫島さん
「ここは、南口の茶店とちゃうねん、焼肉屋やでー」
「じゃあ、ナポリタンとコーラ」
睨み会う二人
店内に緊張が走ったが
ぶぶっー
豚子が吹き出し
「今のボケは笑えるわ」
「何でもいいから、持って来いよ」
鮫島は私に言うと
「豚子と同じで、イイっすか?」
キムコが助け船
「おう、それでイイよ」
「でっ、何の話や」
「お前ら、先週〜鎌倉に行ったろ?」
「何で知っとんねん」
「行く前に、ウチの兵隊と会ったろ、サバンナの二人」
「あー!会ったわ、綱島がどうの言っとったわ」
意外な事に、二人の会話がテンポ良く進むので、私は隣の席に座り、聞いていると
キムコが鮫島の注文を持って来たので、
「あの噂は、マジなのか?」
「噂ってなんや?」
豚子は意地悪に聞き返す
「女霊をみると、アレだよ、アレ」
「鮫島支部長なら、女なんかに不自由せんとちゃいまっかー」
更に豚子は意地悪すると
ブォーン♫
店の前に、パクちゃんのローレルが停まり
「おっ、来やがった」
店に入って来た、パクちゃんとラッシャー君は驚いて
豚子と鮫島の、向かいの席に座った
「おう、珍しい奴が来てんなー」
パクちゃんが、ニヤニヤしながら言うと
「鮫島支部長〜鎌倉の件で来はったみたいでっせー」
豚子はワザと関西弁丸出しでちゃかす
「いや、ついでだよ、煩せーな!」
肉を焼きながら、鮫島が言い返す
「綱島は、どおーなったんだよ?」
パクちゃんが尋ねると
「楽勝だよ、全殺しにしといた」
「今度は鎌倉か?湘南も出てくっぞ」
「違う、ケンカじゃねー極楽寺の噂ってマジなのか?」
「はぁはぁん、そっちか」
「いや、俺はよ、噂のご利益じゃなくて、超絶美人の女の霊が見てみてーんだって」
「そうなん?」
「なんだ、オマエは見てねーのか?」
「正面から見たのは、パクちゃんとアンソンだけで、ウチらは背後しか見てないねん」
「そうなのかっ?」
「ツラ見たのは、俺とアンソンだけだぞ」
「だから、超絶な美人だったのかって聞いてんだろが」
「俺からはノーコメントだ」
「じゃあ、ラッシャーは?」
「俺は、背後組だったんで」
「なんだよ、話になんねーじゃねかよ!」
「あのー」
キムコが恐そる恐る、間に入ってきた
「何だ、オマエも見てねーんだろ」
「そうですけど、アンソンが言うには、あの、お方にそっくりで、しかもそれより美人だったとか」
「はぁ?あの方って誰だよ!」
「それが、そのー」
「ハッキリ言えよ!」
皆が、豚子を見ると
「まさか・・コイツ?」
鮫島さんが、トングで豚子を指すと
「えっ、何やねん・・」
「いやいや、豚子ちゃんじゃなくてですねー」
「お前、意外と頭悪いんじゃねーか」
パクちゃんが、ニヤニヤしながら、言うと
「だから、何やねん!」
豚子が箸を叩きつけて叫ぶと
ラッシャー君が吹き出し
「まさか!極楽寺の女霊って、豚美に、似てるのかっ!」
鮫島が叫ぶと
「テメーら、勝手に人を殺すんじゃねーよ!」
聞き覚えのある声がして、皆んな振り向くと
豚美さんと京子さんが、仁王立ちしてて
「ヒィー出たあぁ!」
キムコの絶叫が店内に響き渡った
つづきま~す
🙇🙇🙇🙇