
なかなかプチツーに行ける時間が取れなくなったといういうブログをこの前挙げたばかりですが、次のチャンスは意外に早く回ってきました。
日曜日の朝に上の娘の習い事の練習の為、武蔵小杉にあるスポーツセンターまで同行する予定が入っていたのですが、前日夕方になって急遽嫁と娘達だけ川崎在住の義妹の家に前泊することになり、土曜の夜から予定外の自由時間をプレゼントされましたw
ここ最近というもの、仕事も終電続きで疲れてもいたので土曜はのんびりと晩酌をして、日曜は家でダラダラ過ごそうかとも一瞬考えたのですが、折角の暇を無駄に過ごすのも勿体無い。
なので土曜日の晩酌は缶ビール1本に留めて早寝し、日曜日は朝からプチツーをすることにしました。行先は久々に箱根を選択。こちら方面であれば帰りがてら、午後には練習の終わった家族を川崎で拾うという出かけることに対しての大義名分をも得ることが出来るので一石二鳥ですw
日曜日の朝は微妙な空模様。土曜の雨の影響か行きの首都高は所々ウェットでしたが、東名で神奈川県に入った辺りから晴れ間も見え出し、箱根では霧が出たりで富士山はあまり綺麗に見えなかったものの、路面は殆どドライで気持ち良く走る事が出来ました。
こないだのジムカーナ練習会でアンダーオーバーの挙動を何となく体験できたのが効いたのか、ワインディングでも色々なV36のFR独特の挙動が体験できたような気がします。
V36乗り始めて半年も経ってようやくかというツッコミはさておいて、FFばかり乗っていたFR初心者がジムカーナとワインディングで感じたFR車の感覚を備忘録として残しておきたいと思います。
◎FFの引張る感覚とFRの押し出す感覚
駆動方式が違うのですから当たり前の違いなのですが、鈍い私はこの感覚を意識するようになるのに意外に時間が掛かりました。FFはターンインまでにスロットルオフで進入姿勢を決めクリッピングからアクセルを開けて前から引張り上げる感じ。主に集中するのはフロントのグリップ限界を探る感じ。LSDの入ったFF車は猶更この傾向が強いです。
FRの場合もターンインまでに姿勢を作るという基本は変わらないのですが、スロットルを入れた時に、横グリップに比較的余裕のあるリヤタイヤで蹴りだすので結果的にアクセル入れるタイミングは早めになり、FFではアクセルオフでしか作れない挙動をアクセルオンでも作れるなど自由度が高い。
但しその分フロント+リヤ両方のタイヤのグリップバランスを意識する必要があり、どうしてもフロント
タイヤに意識を集中しがちなFF車特有の乗り方だとFRの場合乗り辛い。FRを運転するには当たり前な事ですが、この感覚はジムカーナ練習会で初めて体験できた部分で、FF歴が長いと無意識に前輪のみに意識を集中させる乗り方になりがちです。
◎フロントの挙動の違い。
CL7…車検証車重1,390kg 前軸重860kg:後軸重530kg 重量配分61.9%:38.1%
V36…車検証重量1,590kg 前軸重870kg:後軸重720kg 重量配分54.7%:45.3%
上記のようにFF対FRで前後重量配分が違うのは一目瞭然ですが、CL7もV36もほぼ同じ前軸重量
なのにも関わらず、フロントの重心高がV36の方が低い印象を受けます。エンジンの出力軸の高さが違う横置きジアコーサ式FWDと縦置きRWDのV36ですからこれも当然なのかも知れませんが、特に右に左にの切返しの多い長尾峠などではこの印象が強いです。
具体的にどう違うかというとフロントのロール感が少ないような気がするのですが、スタビやバネレートを上げてロール剛性を高めているというよりは、ロールの出方自体が違うような感じがするんです。
…って素人感覚なので合ってるか分かりませんがww
また、前後重量配分の違いに関しては、ブレーキング時のフロントへの荷重の集中感の差になって表れていて、初めのうちはフロントに荷重を掛け切れていないような印象を持っていたのですが、これはFF車の制動時の姿勢バランスに慣れているから感じたことかも知れません。
◎パワステのセッティングによる操縦性の印象
V36、今時珍しい油圧パワステ装着車です。ジムカーナの時に感じた挙動の分かりやすさという点は、この機構が功を奏しているのかも知れませんが、操舵力に結構手応えがある上に、直進から漸進的に拳2つ分程度ステアリングを切り足していった辺りから更に手応えが重くなりアンダーが強まっているような印象を受けます。特に旋回時間の長い高速コーナーなどでその傾向が顕著で、このままアンダーになりそうな気がしてしまってイマイチ踏んでいく気が起こらず、これは欠点といえるかも知れません。
ただこれが、タイトコーナーの多い長尾峠のような道で、ステアリングを一気に切り込むような乗り方だとあまり気にならずに、結構フロントはグイグイ入ってくれる事に気が付きました。
なのでこれは実際にアンダーが強いわけではなく、操舵力の重さがアンダーと感じさせるものではないかと思うようになりました。
事実タイトコーナーの奥では、フロントがグリップ限界を迎える前にリヤが回り込むような挙動を感じることもあり、徹頭徹尾のアンダー特性というわけではないようです。
◎5A/Tは意外にスポーツできる&VDCは頭が良い
V36の前期は5A/Tです。登場時から今時5A/Tかよとツッコミが入りまくり、後期型では新開発の7A/Tに換装された曰くつきの前期型V36のA/Tですが、これが実は峠道では結構塩梅が良い。
マニュアルモードにおいてレブリミッターが効くまできっちり各ギアのホールドが出来るというのも長所の一つなのですが、シンクロレブ機能がついていて綺麗に回転を合わせてダウンシフトしてくれる上に、4→3→2速のダウンシフトは結構な高回転域まで受け付けてくれます。
レシオカバレッジが4.58しかないとはいえ段数も5段しかないのですから各ギアがワイドなのではという懸念もありますが、そもそも車重に対して充分な3.5Lのトルクがある上にエンジン自体高回転域まできちんとパワーがついてくる特性なので、むしろエンジンを味わうといった部分で不足はありません。シフトチェンジの時間もトルコンA/Tとしては結構詰めてる印象で、流石にDCT並とまでは言いませんが、スポーツ走行でも使えるA/Tだと思います(街中での燃費が誉められたものではないのは事実ですが…)
また2速のタイトベントの立ち上がりではVDCの作動ランプが暫し点滅し、出力を絞っているのを感じますが、作動は最小限に留まっている印象で失速するような事はないので、公道を走る限りにおいてはVDCカットはまず考える必要はないと思います。
◎CL7 vs V36
このように何となくV36というクルマのことが分かってきたところで、10年近く乗ってきたCL7の走りを無理を承知で比較すると、操縦性に関してはCL7はターンインの姿勢作りはFFのセオリー通りに丁寧に操作する必要はあるものの、旋回に入ってからの挙動はステアリング、足の動き車体の挙動すべてにおいてに非常に分かりやすく伝わってくるので旋回時間の長いコーナーではCL7の方が気持ち良い印象。
V36は実際には曲がれる余裕があるのに、操舵力が妙に渋くなる領域があり旋回時間の長いコーナーでは若干不安を覚え踏み切れないことがある。逆にタイトコーナーではパワートレインの重心高が低く、前後重量バランスの良いV36の方が絶対的な車両重量が重いにも関わらず振り回して乗りやすく、CL7は車重こそ軽いけどフロントの重心高がやや高く、フロントの静的重量がV36と大差ない為か、このような場面においてターンインの姿勢作りに若干意識を集中させられるというまさにFF対FRの駆動方式の特性差が顕著に表れる結果になっています。
エンジンに関しては、直4VTECのCL7がクロスレシオの6MTを生かして適切なギアを選択すれば8,400rpm超まで素直で繊細でダイレクトなレスポンスを返してくれる絶品の気持ち良さを持っていたのでV36はやや不利かとも思いましたが、酷評されている5A/Tが予想以上にワインディングでは使えること、排気量なりのトルクでどの回転数からでも充分な駆動力を発揮してくれる上に、VTECのようなドラマはありませんが、こちらも7,500rpm超までパワー感を伴って綺麗に吹けてくれるので、これはこれで面白いキャラクターだと思います。
こうして峠道をクルマなりに軽く流しただけでFFのアコードに比べFRのV36は挙動の一つ一つが対照的で、FR初心者の私にとってもFRのV36の挙動は色々新鮮に感じます。どっちがダメでどっちが良いという訳ではなく、どちらも優秀なクルマなのですが、やはり1トン以上の鉄の塊を振り回すわけですから、物理の法則は走りの違いに如実に表れます。
今回FRのV36を選んだ目的は、今まで慣れ親しんだFFだけではなくFRの挙動を身体で覚えてクルマの操縦に関する体験の引出しを増やしたいといったものが目的だったので、その意味ではFRという駆動方式の特性が分かりやすく出ているV36という選択は悪くなかったのかもしれません。
こうやって今までと全然違うタイプのクルマを乗り出してみて、走ったり考えたりを繰り返しながら、分かることがあるっていうのは面白いものですね。
箱根のワインディングの駐車場に佇むフルノーマルV36。その姿は観光ドライブに来た中高年のサンデードライバーか、暴走車両警戒に潜む覆面パトカーかといった感じで場違い感が半端有りませんが、走らせてみるとスカイラインはスカイライン。骨太で信頼して走りに集中できる辺りはやはりスポーツセダンなんだなぁと感じさせられました。
峠道をさらっと流しただけでこれだけの挙動の違いを感じるということは、操縦にさらに集中できるサーキットを走らせたらもっと色々な事が分かるのかも知れません。
…っていうか走りたくなっちゃいました。金も暇も無いのに…困ったなぁ(笑)
オマケ
この日は私の21歳(+300ヶ月)の誕生日。家に帰ってお祝いをして貰いました♪
この歳になっても行動パターンが10代の頃と変わっていません。。帰り道でピックアップした上の娘に何処に行ったかを尋ねられ、箱根までただ運転だけしに行ってメシも食わずに帰ってきたと答えたところ『おかしいよ、病気なんじゃないの?ww』と呆れられましたが(最早嫁は何も言いませんww)これは確かに病気なんでしょうね(笑)。