
リチウムイオンバッテリーは急速充電と放電を繰り返すことによりバッテリー温度が上昇するため、充電電力を下げて熱暴走を防いでいる。また過充電による温度上昇はバッテリーの寿命を短くするため、充電率が高いところでは充電電力を極端に下げている。
新型リーフの夏場の利用状況をレポートされている方によるとその傾向が顕著で1充電当りの走行距離が短くなり連続3回目以降の急速充電ではバッテリー温度が50度を越え100km分以下しか充電できなくなるようだ。これでは旧型リーフの方が利便性が高いことになってしまい何のために新型に買い換えたのかわからくなる。
なぜこんなことになってしまったのか?
旧型リーフにおいて24kWhから30kWhにバッテリー容量を増加した時、正極材料を三元系に変更している。これによりエネルギー密度を向上させることができたのだが、セルの厚みが1mm増えてしまった。4枚のセルを重ねて一つのモジュールを構成していたところを8枚のセルを重ねて一つのモジュールにしたのだが、厚みを同等にするためセル間に挿入していたガラス樹脂製の断熱材を省略している。これにより隣接セルからの熱の転移が発生しやすく、また単位体積当りの熱容量が大きくなり熱暴走を誘発しやすくなってしまった。熱暴走しないまでも温度上昇は寿命に影響するため充電電力を下げざるを得ないので充電効率は悪くなる。
バッテリーセル内部のインピーダンスは三元系正極採用により下がり電力の出し入れによる温度上昇は低くなったはずであったが、40kWhの新型リーフではエネルギー密度が高くなったことでそのメリットは相殺されてしまった。
夏場の充電効率の悪化は想定外であったのだろうか?
恐らくある程度推測できていたが、バッテリーユニットの外形サイズを変えずに冷却システムを組み込むことはどうしてもできなかったのだろう。設計要件で何を優先するかというジレンマがあっただろうことは容易に想像できる。
対策としては
①クーリングシステムの追加
②放熱シートの追加
③セル間の間隔を広げる
などが考えられるが、コストやサイズの問題があり悩みどころ。バッテリー容量を60kWhにしたe-plusでどのような対策をするのか興味深い。
熱い路面からの熱吸収を防ぐために、アンダーカバーの上にエアコンの水を垂れ流すとか、熱反射塗装をするなどの対策はどうだろうか?
Posted at 2018/07/17 08:26:25 | |
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