久しぶりにクルマ業界で驚きのニュースがあり目を疑いました。
<ホンダ>「タカタのエアバッグは使用しない」
ホンダはタカタの大株主であり、1987年にレジェンドにエアバックを国内初搭載する以前からの盟友といってもよい関係。 さらにいえば3社しか存在しないエアバックメーカーの中で第2位のシェアを持つ唯一の国内メーカー。ホンダにとっては重要な関連会社であるし、今後のリコール対策用部品確保のためにつぶすことができない会社のはず。 ところがそのタカタからの新車向けエアバック購入を凍結したということは事実上の縁切り宣言であり、リコール費用と賠償費用で瀕死状態のタカタに死刑宣告をしたに等しい。
ひと昔前であればグループ会社の経営危機は親会社が救うのが当然の責務のような風潮があったが、日産がゴーン社長を迎え入れたころから自動車業界での部品調達は徐々にドライになってきたように感じます。 部品は安くて品質の良いところから調達すれば良いというのは正論であるが、品質向上にはそういったドライな関係では構築できないという裏事情があったりします。 スペック提示だけでは品質のコントロールができなかったのが主な原因ですが、最近はドライな関係でも品質を保つことができる購買戦術がすっかり板についたのかもしれませんね。
タカタはシートベルトなども扱っているが主力製品はエアバックであり、その最大の顧客がホンダ。ホンダ以外のGMや日産にもエアバックを納入しているが、大口顧客からの新規取引停止により本日の株価はストップ安の889円。 明日以降も投げ売りに近い状態が続くことでしょう。
当初は火薬が温度や湿度の影響で設計値を超える爆発が起こったためと説明していたが、容器に亀裂が発生したものがあるというボンベの製造ミスであることがわかってきたようです。 火薬のせいにしたかったのはリコール台数を少なくしたかったためでしょうが、嘘をついたことで余計に会社の立場を危うくする結果になってしまったようです。
グローバルメーカーとなったホンダにとってエアバックの信頼性によってクルマが売れなくなることは避けたいので今回の発表にいたったことは容易に想像できますが、タカタを潰してしまえばエアバック調達ルートが2社に限定されコスト競争が働かなくなる可能性が高く、全ての自動車メーカーに影響が及ぶものと推定します。 このまま倒産させるにはあまりに惜しい日本のメーカーであるが、原因解明の時点での虚位報告があったというのが事実であればどこも助けてはくれないだろう。 主要取引メーカーを失えば銀行もカネを貸さないはずで、生き残るための選択肢は極めて少ない。 虎視眈々と技術を狙っている中国の餌食にならないことを祈るばかりです。
Posted at 2015/11/05 16:42:37 | |
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