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2012年10月14日 イイね!

第2回 エンジンチューニング

早速第2回。
前回がネガティブな内容になった理由と、その先です。

ここでのエンジンのチューニングとは、パワーアップやレスポンス改善など、基本的なレベルアップを指し、そういうことに影響しない内容は無視します。


エンジンの基礎的な考え方

混合気(空気とガソリンの混合)を吸い込み、圧縮し、点火し、燃焼ガスによる膨張でエネルギー(パワー)を得る。

この4段階が2回転(4ストローク)なので、4ストローク1サイクルエンジンといい、ガソリンエンジンがそうです。

排気量固定で、より大きなパワーを出すには、
1.よりたくさんの混合気を吸う(吸気効率改善)
2.強く圧縮する(熱効率向上)
3.確実に点火する(熱効率向上、膨張時エネルギーロス改善)
4.膨張エネルギーを効率よくピストン、クランクに伝達すること(ロス改善)
となります。

各項目の後ろのカッコ書き内容が直接の改善方針になります。

排気量を上げることは、ほぼ1.に当たります。
ターボなどの過給では1.の吸い込みが押し込むイメージですね。
高回転化によるパワーアップは後で書きます。
排気系は説明がめんどくさいので、他で調べてください。


まず大事なことは、上記のハナシはスロットル全開かつ回転数が固定が前提で、全開でない状態のパワーは全て制御がどうなのかってことで、回転数が変動する加速時はまた別のハナシだってことです。
それは後で具体例を示して説明します。

1.では、インテーク関係で、よくやられるのがエアクリーナー交換ですね。
吸気効率改善で重要なのが、どこがどれくらいネックなのか?です。
個々を検証し、改善につなげることが重要です。
平成11年NB1型ロードスターで検証した結果、エアクリーナーではなくインテークマニホールドでした。

独立スロットル化やカムシャフト交換や、バルブタイミング変更など、1.の改善がチューニングのほとんどといっても良いですね。

ヘビーな改造では、ポート拡大、ビッグバルブ化などまで行いますが、現在では昔のエンジンほど効果はありません。


2.圧縮比を上げることで、燃焼そのものが変化し、まとめると熱効率が改善するそうです。
個人的には、パワーアップに効くというよりは、速いエンジンになる感じです。

3.吸い込んだ混合気は全て燃えると思ってる人もいるかと思いますが、全然燃えてません。
ガソリンエンジンの場合、空気(酸素)を吸い込む量が限られてますので、それに見合う量のガソリンしか要らないはずですが、20%以上余分なガソリンを混ぜます。
空燃比から考えても25%くらいのガソリンは燃えません。
燃えるといっても膨張の後半で燃えても意味が無く、早く燃えないとダメです。
圧縮との関係もあるそうですが、強い火花と燃えやすい環境作りが重要です。

最近のエコエンジンはここの研究が進んだ結果ですが、パワーにはあまり貢献していません。
直噴エンジンが当たり前な時代ですが、パワーを出すにはポート噴射が有効であることが、2輪やLF-AのV10、86(BR-Z)のエンジンなどから分かります。
F1もそうですね。

まだしばらくは点火系強化しかないと考えます。


4.は全体に関わることですが、摩擦(フリクション)改善が主になります。
ピストンが受けたエネルギーはクランクシャフトにコンロッドを介して伝えますが、どうしても角度がつくためにピストンにはシリンダー内壁に押し付ける力が発生します。
この摩擦力が少ないほどロスが減り結果パワーが上がります。
手段としては、ピストンクリアランスを大きくする(⇔音が出る)、シリンダー内壁の面を綺麗に仕上げる(プラトーホーニング、めっきシリンダーなど)、コンロッドを長くする(⇔エンジン全高UP、重量増)、ショートストロークにする、シリンダーとクランクシャフトの軸線をオフセットする、などです。


高回転化ですが、計算すると分かります。
出力(パワー)=トルク×回転数×係数
トルクが同じなら回転数を上げたほうがパワーが出る、ということです。
分かりやすくいうと、ターボはトルクを上げてパワーを出し、ホンダのVTECは回転数を上げてパワーを出しています。


ひとつひとつの部品を理解し、狙った効果に対し阻害する要因を考えて効果が得られないようなら対策するなど、非常に難しいと思います。

また、制御系で問題があることがほとんどです。
欲しいパワーは4000回転以上だと思いますが、そのゾーンは自動車メーカーとしては重要でないため、燃料と点火マップ書き換えだけでは済まない大きな問題を抱えています。

インジェクターは容量だけでなく、噴射量が増えた時にちゃんと燃えるのかどうか。
点火系は高回転で追従してるのかどうか。
制御方式(エアフロ式、圧力式、スロットルポジション式)はどうか?


私が経験した911のエンジンとロードスターのエンジン、インプレッサとGT-Rで、やったことと結果の考察を書きます。

911(73年式2.4Lベース)
ボア×ストローク:93×70.4  (約478cc×6気筒、約2869cc)
300度くらいのカム、圧縮比11以上
レース用ピストン(マーレ製)
6連スロットル(φ43)、ハルテックE6Kによるスロットルポジション式制御、レブリミット8000rpm
2JZ用430ccインジェクター(1ホール、2分岐)
軽量フライホイール

ロードスター(BP)
ボア×ストローク:83×85  (約460cc×4気筒、約1840cc)
260度くらいのカムと304度カムの2パターンでテストし、260度のほうで使用
圧縮比11.5くらい、マルハピストン(マーレ製)、H断面コンロッド(アメリカ製)
4連スロットル(φ47)、フリーダムによるスロットルポジション式制御、レブリミット9500rpm
EJ20(GDB)用550ccインジェクター(12ホール)
軽量フライホイール

1気筒あたりではほぼ同じメニューですが、ボアストロークとカムが違います。
もちろん6気筒、4気筒で排気量が違うのですがその差を引いても、ボアストロークの差、クランク重量が大きいのではないかと感じました。
ロードスターで304度カムをテストしたとき、思ったより速くならなかったのです。
911のエンジンはOHC2バルブなので、カムの度数が大きくても空気が入らないのは考えられますが、だったらバランスの悪いエンジンになるべきで、ロードスターのエンジンのバランスが悪かったです。

ロードスターでは911の時の見直しが高回転で必要で、インジェクターに気を使いました。
おかげで7000rpm以上の伸びは想像どおりでしたが、2速の加速が不満でした。


逆に、
インプレッサ(EJ20)
ボア×ストローク:92.5×79  (約531cc×4気筒、約2124cc)
純正カム、圧縮比9弱、マーレピストン、EJ255用555ccインジェクター(12ホール)
軽量フライホイール
パワーFC、Z32エアフロ、ARCインタークーラー、GDB-A純正タービン、等長タイプエキマニ(φ38)、スポーツ触媒、φ75マフラー

GT-R(RB26)
ボアストローク:86×73.7  (約428cc×6気筒、約2569cc)
純正カム(バルタイ変更)、圧縮比8.3、純正ピストン、純正インジェクター(1ホール)
軽量フライホイール
ROMチューン、R34GT-R純正タービン、等長タイプフロントパイプ、φ80マフラー、スポーツ触媒

この2台では、インプレッサが良かったです。
6気筒がレスポンスが良いってことはないです。GT-Rの1速はびっくりするほど遅いです。。。
RB26もインジェクターを見直せば改善するかもです。

クランク重量は、911約10kg、インプレッサ約10kg、ロードスター未測定(18kgくらい?)、RB26約23kgです。
RB26はさらにクランクプーリーが6kgくらいあって、EJ20はアルミプーリーで1kg、911も1kgくらいでした。
ロードスターもアルミプーリーにするとクランクの振動によりオイルポンプトラブルを起こしやすいようですね。

プーリーが重くないといけないならば直列エンジンはクソですが、2輪用ではそんなことはないようなので、そもそもの設計不良と考えますがどうも対策が難しいようなので、水平対向エンジンが優秀と考えて良さそうです。

回転数固定でのパワー(いわゆるパワーチェック)ではこういう検証が出来ないため、RB26が速いことになってますが、そうではないと思います。
ゼロヨンなり、150km/h以上の加速勝負ならこういった低負荷での加速は無視されるに近いため、峠やミニサーキットといった100km/h未満の速さを重視すると、水平対向が優れるということです。

ただし水平対向エンジンは大きな問題を抱えています。
ヘッドに送ったオイルの回収が重力をあまり使えず、コーナーの横Gの影響を受けて、オイルがオイルパンに戻せないという問題です。
911はドライサンプですが、そのためです。
EJ20はGDBの中期でだいぶ改善されていますが、ウェットサンプのままです。
もちろんストリートレベルでは全く問題ないので勘違いしないでください。
ポルシェも現行の水冷エンジンはGT3などの特殊なのを除いてウェットサンプにコストダウンしてます。



チューニングとは、

メーカーがお客さんのためにコストダウンしたもの、手を抜いて作ったものを本来の姿にする

ということです。



たとえばロードスターにEJ20のNAエンジンのちゃんとしたのを載せると最高だと思います(笑
チューニングの前にベースエンジンの素性をきちんと調べることが大事です。
911のエンジンは高いので、スバルだけになってしまいますが・・・
86、BRZが出たので、チューニングが流行ることを願います。
Posted at 2012/10/14 11:03:44 | コメント(1) | トラックバック(0) | エンジン | 日記

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