スズキは、カナダ・オンタリオ州のInmotive Inc.と、電気自動車向け2段変速機の共同開発契約を締結したことを発表したようですね。構造が、従来ない面白い特徴を有しています。
写真では変速構造がわかりにくいのですが、
中央にある大歯車は複数枚に分割されており、ベルトが接触していない(トルクがかかっていない)部分から、スラスト方向に移動します。移動した歯車の内側には同じモジュールで歯数違いの小歯車が現れ、ベルトが順次小歯車に噛み合うのですが、必要ベルト長が変わるため、左手側に見える、テンショナーで調整する構造となっています。
ではこれにどんなメリットがあるのか。以下、私の想像で申し訳ないのですが、
クラッチが不要です。ドグ型のトランスミッションも構造はシンプルですが、変速にはクラッチが必要になります。たった2速でクラッチを踏むのは時代遅れです。
トルクコンバーターを入れるともっと複雑になります。そう考えると、小型でシンプルな変速機と言えます。普及型のトランスミッションとして最適です。
スズキが興味を示しそうな構造ですよね。ただ、課題もあります。構造上デファレンシャルの前に設置する必要があるので、3000回転程度は優に回ります。変速には大歯車に設けられた変速用のピンを変速レバーに順次当てて行くことになります。大歯車の周速度は高速と容易に予想され、長期にわたって、故障なく変速し続けられるのか疑問です。まあ、そのための共同開発なんでしょうね。変速機を作っても、車両に搭載しない限り、実績もなく、採用するメーカーを探していたところに、スズキが手を挙げた印象です。
いや~、久しぶりに面白い機械を見ました。こんな面白い機構は、可変圧縮比エンジン以来ですね。
Posted at 2023/01/14 06:37:20 | |
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