素引き

道場をお暇するときに板の間の掃除をしますが、やっと掃除の仕方が少しわかってきました。

実際の弓に触れるまでには約2ヶ月の射法の作法を習った後と記憶していますが、さすがに一般に興味を持ってもらうのも道場の導入教育の一つのため、そこは超大急ぎで一通りを体験させるべく、たった5日目にして実際の弓を持たせてもらうことになりました。


当然、こんな段階で生徒に矢を持たせると、どこの誰かが背中や首に矢を射られてもおかしくないので、○○に刃物は持たされません。

まずは、矢があるつもりで、弓だけで素引きを行います。

ところで、この素引きでは一応、弓があるわけですが、その前の段階の射法八節では、弓も持たずに型を覚えているわけで、どうしてこんな面倒な型や作法をしなくてはいけないのだろうか？というのが飲み込めないままやっているわけですが、弓を持たされた途端、なるほど、と合点が行くと同時に、見るのとやるのとは全然違う、ということにやっと気が付くのでした。


個人的に上手く行かない、流れの止る動作が、この「弓構え」です。
素引きの中では、右手は弦に取懸けの形を、左手は弓本体に対し手の内を揃えます、具体的には伸ばした親指と伸ばした人差し指の又の間で弓を挟み押す準備です。
これが、さっと出来ないので、次の物見（的を凝視しながら弓を持ち上げる）に行くタイミングが遅れ、その後の動作があたふたして型が壊れます。


この動作と型が出来ていないと、次の弦を引くという動作がヘロヘロになってしまいます。


大三と呼ばれる、打起し後の静の後の動作にして、弦の張りはじめの型。
ここから、動から射る直前の静までの一連の動の始まりで、型としてあるものの、一時の静もなく、動きの中の瞬間の経過の中に在る型として捕らえます。

難しいです。

さらに、弦も緩いもので本当の半分程度の張力ですが、型を取っているだけで、下半身はかなり痛いですし、上半身も腹筋が痛いくらい緊張します。

学生時代、ダンスと同じく作法としてかじったことのある弓道でしたが、ダンスどころか、完全に忘却の彼方、でした。それでも、背中と肩、首の回すときの体の芯の通し方など、今思うと、なんとなくダンスの動き出しにも通じる型の作り方なんだ、「静と動、奥が深い。」ものだと改めて思います。

無意識に出来るまで、ひたすら倣いを続けます。