
先日初めてC7コルベットを試乗してきました。
現在コルベットは日本ではGRAND SPORTとZ06の2機種のみの販売となっています。(アメリカではベースグレードとなるスティングレイと、最強バージョンとなるZR-1も販売) GRAND SPORTはスティングレイと同じ6.2リッターNAエンジンをZ06と同じワイドボディに積んだモデルで、足回りは専用セッティングとされています。ミッションは7速MTと8速トルコンATがあり、ボディはクーペとコンバーチブル。
コルベットのエンジンは言わずと知れたスモールブロックV8ですが、排気量は6.2リッター。バルブ駆動は重心の高さを嫌ってOHVとされており、なんと気筒辺り2バルブ。ハーレーか!と突っ込みたくなるような原始的なメカ。しかしインジェクションは直噴とされ、可変バルブ・タイミングも組み込まれています。潤滑はドライサンプ。これは低重心化のためというよりは高負荷コーナリング時の安定した潤滑のためのようです。
それから燃費対策としては前述した直噴の他、シリンダー休止機構も持っています。出力はNA仕様となるLT1ではパワーが466psでトルクが630Nm。エンジン単体のスペックを見ると実はC63に非常に近いことが分かります。元々AMG 6.2リッターNAのリプレイスですから近いのも当たり前ですが・・・。このLT1、排気量は正確には6153ccなのですがボアxストロークはかなりショートで103.2mm x 92.0mmとされており、圧縮比は11.5。レッドラインは6600rpmです。
トランスミッションはトランスアクスル化されており、大径のトルクチューブを介してエンジンと結合されています。以前にも書きましたがエンジンもトランスミッションも完全にホイールベースの内側にレイアウトされており、運動性に配慮されています。
シャシーはモノコックではなく、非常に特徴的なアルミフレーム。C6ではZ06以上でアルミ化されていましたが、C7ではベースモデルから全てアルミフレームです。これにファイバーの外装パネルを貼り付けていく構造は昔から変わらず。しかしC7では何とボンネットもルーフもカーボンファイバーとされており(実際めちゃくちゃ軽かったです)、他にも軽量な新素材が多用されています。サスペンションはもちろんダブルウィッシュボーン(+トー・コントロール・リンク)。アーム類は基本的にアルミ製で、アームデザインを見る限りかなり剛性が高そうな造りです。
ボディは、ワイドボディにフロントのスプリッター、サイドロッカーパネル、リアスポイラーから成るグランドエフェクトキットを標準で装着。リアフェンダー上部にはトランスミッションオイルクーラーとデフオイルクーラーへのダクトが設けられているのですが、ここへのガイドベーンも付きます。要するにエンジンはスタンダードだけど結構な本気仕様。サイズは L x W x H = 4515mm x 1970mm x 1230mmとなっていて、とりあえず幅は2mってことです。(汗) でも驚くほど軽量で、MT仕様では1590kgに過ぎません。これはC63から200kg近く軽いことになります。しかもメディア試乗での計測では走行可能な状態にも関わらずこれより軽かったりします。
というのがクルマの概略なんですが、対面したコルベットはまぁデカイことwカッコいいことw。コルベットは昔からZ06のような特殊モデルを除いてクーペでもトップがデタッチャブルなのが特徴ですが、グランスポーツも外せます。外したルーフはカーゴルームへ収納、固定出来ます。その状態で上着や小さいバッグなら積めますね。乗り込むと想像以上にタイトです。というかセンタートンネルがデカい。でもそれはこの写真を見れば分かります。
フレームですね。それも相当断面が大きい。この中にトランスアクスルへのこれまた太いトルクチューブが通ってます。バックボーンフレームか、と言いたくなるくらい大きいですが、こことサイドシルで主要な応力を負担する構造のようですね。
試乗車は8AT仕様。とりあえず某バイパスへ向かいますが、いやぁ、なんと躾の良い子だこと。スロットル、ステアリング、ブレーキ、全てが自然。ポルシェのような剛性感はないんですが、操作系は重くもなく、とにかく全てがリニアで遊びもほぼなく、扱いやすいのが印象的です。道路が混んでいるのでゆっくり走らせるしかないのですが、OHV V8の感触が心地良いですね。そして真っ直ぐ走らせても前後バランスが良いことが分かります。コルベットの良いところは、こういった緩い感じが残っているところと、その状態でも特別な感じ、非日常感があることだと思います。911はうっかりすると普通のセダンのような感覚を抱いてしまいかねないので。(それが911の良いところでもある)空いたところで踏み込むと、6.2リッターが炸裂! 音がまた如何にもアメリカンなV8の音で最高です。・・・なんですが、やっぱり4リッターターボの方が低速からのトルク感があり、体感は速いですね。実はこのLT1はMax6600rpmですがトルクカーブ的には高回転型なんです。なので3000rpm位までの回転域ではC63の方が全然トルクが出ているんですね。ちなみにびっくりするくらい空ぶかしの吹けは重くて、OHVであることとピストンがどデカいことを思い出させます。
しかしC63と違ってトラクションのかかり方が非常に気持ち良いです。思う存分叩きつけて全く問題ナシ。それからクルマが軽いです。それから重心が低いことも感じますね。ただ、フルブレーキングするとやっぱりFR、かなりのノーズダイブです。不安定とまでは言いませんが、前後配分が50:50と言えどもマスが中心に集まっているミッドシップとはやっぱりバランスが違います。乗り心地は固めではありますが、911のスポーツシャシーやエキシージ程ではなく、これらよりは快適。街中プラス高速での試乗なのでコーナリングは大して分かりませんでした。もちろん悪くはないと思いますがミッドシップのようなバランスよりは落ちるのも間違いないでしょう。
コルベットは想像通りの素晴らしいスポーツカーでした。いや、かなり良かったです。本気で走れば奥深さがあって素晴らしいパフォーマンス(多分)を発揮するけど、緩〜く走らせても楽しいというのは、2.7のボクスターにも通じる私の好みなんです。
しかし…
コレがもう残りオーダー期間が短いときた。C7コルベットはMY19で最後らしいんです。MY14としてデビューしているので、C7は相当短命だったことになりますね。正式発表はまだながらC8コルベットの生産準備(製造設備の入れ替え等)のためにC7は早々に生産を終了するとか。そして私が希望するMT仕様は受注販売なんでオーダーが必須。そしてC7の受注販売オーダー締め切りは2月下旬だと…
C8コルベット? 良いかもしれませんが、ミッドシップのスーパーカーになると私の求めてるコルベット像と少し違うんですよね…。かなり高くなってトップグレードは2000万超えになるとも言われてますし…。
つづく
Posted at 2019/01/22 21:36:50 | |
トラックバック(0) |
クルマ | 日記