
うわ〜・・・楽しい・・・! これはイイ・・・・!
ほんの100m程走っただけで、その先も期待を裏切らないことが容易に想像出来るクルマでした・・・。
アルピーヌA110の展示と試乗が始まったというので、早速行ってきました。まだ全国で14箇所しか試乗出来るところがないようですが、幸い我が家の近くにも店舗がありまして。どこの店舗でもグレーのリネージ仕様が展示車、ブルーのピュア仕様が試乗車ということのようです。どちらもRHDでした。
遠目で見ても素敵なデザイン。近くに寄ると、やはりボクスターより一回りコンパクトなのが嬉しい。スペック上ももちろんコンパクトだけど、前後の絞り込みがかなり強いのでスペック以上に小さく見える印象です。でもせっかくのミッドシップなのだからボンネットはもう少し低く出来なかったんだろうか・・・。一方でテールエンドが低くなっているデザインはオリジナルのオマージュだけれど、絞り込んだデザインと合わせて安定感と軽快感がバランスされた感じがあります。
981はリアエンドが分厚く見えるのがもう一つだと思っていましたので・・・。トリコロールのバッジやブレーキローターのベルハット部分にALPINEの刻印があるなどディテールも結構凝っていて、全体的にデザインはやはり魅力的。ただA110は結構腰高に見えますね。ウチのが特に低いとは言えボクスターの方が低く構えて精悍な感じに見えます。
インテリアはピュアとリネージでは結構印象が違っているけど、いずれもボクスターより質感は上。特にリネージのブラウン内装+リクラインシートは豪華にすら見えます。ピュアでも質感でそれほど見劣りするレベルではなく、好印象。また、シートがピュアもリネージも想像以上に良かったです。ピュアだとフルバケになるけど充分クッションもあって全くもって快適。
もちろんサイドサポートは完璧。というか全体的にどうしてっていうくらい自分の身体にフィット。そして躯体剛性も取り付け剛性も高いです。ピュアだとポジションはボルト固定の位置を変える仕組みなのですぐには変えられません。試乗車は3段階の中間になっていたけど、かなり高い印象。ちなみに剛性を考慮しているんだろうけどボルトの固定穴は垂直へ伸びるのではなく高さが上がると斜め前方へ移動するような開け方になっていました。いずれにしてもドラポジはRHDでもしっくり来ます。最近のポルシェPDK仕様よりは明らかに違和感が少ない。全幅はボクスターと変わらないけどカップルディスタンスは少し小さく、真ん中寄りに座らされている感じがします。それもあってペダルオフセットが気にならないのだと思います。難点はチープなプラスチック製のパドルでしょうか。コラム固定なのは良いですが、パドルが比較的大きいにも関わらずプラスチックなので、剛性感が乏しいです。クリック感も含めてここは今ひとつですね。
さて走り始めます。
店を出るなりステアリングの軽さ、すっきりした操舵感が好印象。普通に街中を走らせるだけでクルマ全体の軽さを感じ、それだけで楽しくなってきます。何かこう、自由自在感があるというか。ステアリングはフリクションを全く感じさせず、しかも剛性感に溢れているのが素晴らしい。ただ相当軽くて軽過ぎる感じもあるのですが、これは軽快感を出すためのセッティングでしょう。ステアリングに対する反応もシビア過ぎず鈍過ぎず良い感じ。直進性も悪くないですね。乗り心地はまだ150km程しか走っていない個体なのでダンパーが馴染んでいないのだと思いますが、街乗りレベルでは割とギャップを拾う感じです。高周波のハーシュネスは綺麗に遮断されているのですが、路面のギャップは結構拾ってボクスターのスポーツシャシーより乗り心地は悪い印象です。ただこれはスプリングの硬さではなく明らかにダンパーの感じなので、インプレの多くを読む限りでは慣らしが進めば改善するんでしょうね。
エンジンは1.8リッター・ターボなりのトルクとパワーを出しますが、上まで綺麗に回るというよりはやっぱり途中でブーストを抜かれる回り方です。でも軽いので981よりは全然速く、718に結構近いと思います。攻めたらどうか分かりませんが街中+α程度ではターボラグは感じません。そして音が結構良いですね。緻密な感じは全然ありませんが、718よりは音は全然良いです。もちろんパワーデリバリーは718の方が全然気持ち良いですが・・・。でもこれなら4気筒でも良いかな、と思いました。ちなみにSPORTモードにするとC63のようにアフターファイアーの演出があります。
で、何よりもコーナリング、ハンドリングがどうかが知りたいわけですが、もちろん街中中心のコースなので大したことは分かりませんがその片鱗は分かりました。周辺の農道まで連れ出して少し試させてくれたんです。コーナリングは、やはり全体的にまず身軽な感じがあって、非常に回頭性が良くターンインします。ホイールベースも短いのでクルクル回るという表現でも間違ってないように思います。交差点を曲がるだけでも軽い、曲がる、それも意図通りに、というファン・トゥ・ドライブ感があって、とても気持ち良いです。ロールはビデオで見た通り大きいので、現代の標準に照らせばロール量自体は軽自動車並、最近のセダンやハッチバックの方が余程ロールは抑えられているでしょう。でもスプリングは柔らかくてもおそらくダンパーが相当固めなんでしょう、ロールはするもののロールスピードは非常にゆっくりしているのでロングコーナーじゃなければフルにロールする前にコーナリング完了。だからいわゆる猫脚とは大分違う印象。一方、やはり重心が低い感じは薄く、ほんの少し砂が浮いている程度でもテールはスライドしたのでスタビリティは高くないでしょう。
シャシーの剛性感という点では、サス周りは高いけどモノコック自体はそれほどでもないと思います。軽快感があるので剛性感を感じにくいのかもしれないですが…。
というわけでA110は非常に魅力的なスポーツカーでした。人には積極的に勧めたい。でも帰り道にボクスター走らせて思うんです。トータルで本当にコレより良いか、と……。コンパクトな分ラゲージは狭く、積載量の感覚的にはボクスターの半分くらい。そしてMT仕様はなく、クローズドボディのみ。コンパクトさと軽さは凄く良いけど、それは単なる無い物ねだりじゃないのか? フラット6の重心の低さ、縦置きによるパワートレインの剛性感、高回転型NAのナチュラルで気持ち良いパワーデリバリー、これらは全てA110にはありません。
凄く良いクルマですが…コレは難しい悩みですね。
Posted at 2018/12/09 22:09:46 | |
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クルマ | 日記