【ひっそりと生産終了】 トヨタ オーパ

トヨタの公式サイトから、オーパが消えた。どうやら先月に、ひっそりと生産を終了したようだ。思うのだが、生産終了っていつも何の知らせもない。気がついたら消えてた、みたいな。一言ニュースリリースくらい流してくれてもいいじゃないか、という気もするのだが…。
追悼式じゃないが、ここで「オーパとは一体なんだったのか？」ということを、少し考えてみようと思う。

トヨタ オーパは、“次世代のファミリーカー”として2000年5月に誕生した。1.8Lと2Lの二種類のエンジンを搭載する。ビスタの車台にカローラセダンよりも短いボディを載せたオーパは、一種の“奇形”と言えなくもない。そのデザインも、次世代カーらしくとても斬新なものだが、この斬新すぎたデザインも失敗の大きな一因のような気がする。私的にも、少しやり過ぎというか、結局最後まであまり馴染めなかった。

サイズ的にはランクス、ティーダ、エリオ辺りと変わらぬクラスだが、ホイールベースがこれらに比べ100mmも長いので、その室内はとても広々としている。後席では足を組んでも前席に触れないほど。そしてコラムシフト＆足踏み式パーキングブレーキにより、前席左右のウォークスルーを可能としている。また、後席の座面と背もたれをそれぞれ前倒しすると、衝立のないフィットのようなフラットスペースを作り出すことができ、居住性のみならず積載性もかなり優れている。

また、2Lモデルにはトヨタ初のCVTを搭載したことも一つのトピックだった。しかし1.8Lは通常の4AT。このオーパ、ビスタベースということやランクス/アレックスとの差別化もあったのかボディの割に排気量が大きく、値段も200万前後と少し高価だった。せっかくコンパクトで手軽なボディなのだから、もっと安価に1.5Lくらいの安いグレードを用意しても良かったのではないだろうか。200万の車を買える金があれば、ユーザーは１クラス上のステーションワゴンやミニバンに流れていってしまうのではないだろうか。

オーパは、立体駐車場にも入る高さ、そしてカローラよりも短いというコンパクトなボディの中でどれだけ広い空間が作れるのかという、新たな提案を我々にしてくれたが、世間にはあまり広く受け入れられなかった。しかし、その四年半後に登場した、そうコンセプト的に遠くない日産のティーダは、そこそこ売れている。代替ユーザー数や固定客数等、車の売れ行きは一筋縄ではいかないものだが、「オーパの失敗」は、トヨタにどんな教訓をもたらしたのだろうか。

私が入っている「クロスオーバー友の会」で取り上げるような、いわゆる複合形/中間形のボディの車はいつも世間には受け入れられず、消滅の道を辿ることが多い。このオーパもそうだし、日産ティーノや三菱RVR、そして私のシビックシャトルなんかもそうだ。ニッチ（隙間）ビジネスとはその名の通り、ユーザーニーズの間隙を突く訳だが、隙間が広がらず埋没＝消滅というリスクを併せ持つ。改めて、車は我々にとっては“おもちゃ”でも、メーカーにとっては“産業”なんだな..そんなことを思った。

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●トヨタ オーパ 1.8 i ［FF/4AT］ （'00.5～'05.4）
全長4250mm×全幅1695mm×全高1525mm　ホイールベース2700mm　車両重量1210kg
1794cc　132ps / 17.3kgm　　10/15モード燃費16.0km/L　　車両価格201.1万円
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