【スポットライト】日産・ティーノ

「日産・ティーノ」 を知っている人の数は、どのくらいのものだろうか。'98年12月に登場し'03年3月に消滅。1代限りで死んでいった、いわば “失敗車” である。
　
この車の特徴は、サニーの車台に全幅1760mmのワイドボディを載せ、前席/後席それぞれ横三人掛けに挑んだ所にある。二列シート、3×2＝6人乗り。この数式、最近どこかで見掛けなかっただろうか？　そう、ホンダが昨夏に出した 『エディックス（EDIX）』 と同じもの。EDIXよりも前、日産はティーノで先にこのチャレンジに挑んでいた…という訳である。

エンジンは1.8L（4AT）と、2.0L（CVT）があった。“卵形” とでも言いたくなるようなラウンドフォルムだが、全体のバランスはなかなか悪くないと思う。
　
シートアレンジでEDIXと違う点は、センター席を少し後にずらすことによっていつでも子供を乗せられる、ということを前面に出したEDIXに対し、ティーノのセンター席はあくまで非常用であり 「＋1」 的なものでしかなかったと言うこと。しかし、このセンター席の背もたれ部分を前倒しすることにより、前席のアームレスト兼テーブル/カップホルダーになるという贅沢な機能を持ち合わせていた。もちろんこれはEDIXでも可能となっている。

そして、更に注目すべきは後席のアレンジで、通常は三人掛けだがセンター席を取り外して両サイド席をやや真ん中寄りに寄せる 「リムジンモード」 や、更にその両サイド席も取り外し、全部を荷室にするという事も可能だった。もちろん取り外した後席の置き場がない場合等のために、デミオやコルトのようにタンブル格納することも可能となっており、また、後席のセンター席も前席同様、アームレスト兼テーブル/カップホルダーとして利用することもできる。

こんなに室内アレンジが豊富な車を、私は他に知らない。しかしアレンジなど早々する機会がないだろうとか、取り外した後席はどこに置くのかといった疑問が残ることもまた確かだ。

結局この車も “ミニバンは三列シートでなければ売れない” というジンクスには逆らえず消滅してしまったが、RVRなどと同様に “ゆとり” を感じさせてくれる車として、私は今でもなかなか良い車だと思っている。ただ、駐車場のお隣がティーノなので、もうすっかり見飽きてしまってはいるのだが…ｗ

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●日産・ティーノ 1.8X　［FF/4AT］　（'98.12～'02.10）　※6人乗り仕様
全長4270mm×全幅1760mm×全高1610mm　ホイールベース2535mm　車両重量1400kg
1769cc（120ps/16.4kgm）　　10/15モード燃費13.0km/L　　車両価格175.7万円
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