前回の続き
電話一本で飛ばされたのは、南アフリカはヨハネスブルグ。
この都市は世界屈指の犯罪都市として有名です。
・空港を出たら後からついてくる車に襲撃されて、持ち物全部持って行かれた
・街中で携帯使っていたらピストルで撃たれて、持ち物全部持って(以下略
・パトカーに止められたがそれが偽物で、持ち物全部(略
・レストランでメシ食っていたらギャングがマシンガン持って襲撃してきて、持ち物(ry
聞く話はこんなのばっかりです。ガクブル…
はたして実態はどうなんでしょう?
まず、駐車場のゲートが出迎えてくれますが、日本どころか他国でもまず見かけないスパイクゲート。
強行突破するとタイヤがパンクして逃げられず、ゲートが開くと連動して地面のスパイクが引っ込んで車が通れるという仕組みです。
運転手をしてくれた陽気なおにーちゃん曰く、ゲートだけだとお構いなくケートバーを壊して強行突破する車が普通だそうです。先が思いやられます。
ちなみに場所によっては、このスパイクゲートが2重になっているところもあります。いや、どんだけ強行突破が普通なんだよこの国は。
6/22(火)出発で、現地に着いたのは現地時刻6/23(水)の14:30。乗り換え2回の長旅でしたので、この日は直行でホテルにチェックイン。
宿泊したのは、ヨハネスブルグ郊外のルーデポールトという街にあるホテル。見てのとおり普通の立派なホテルです。エアコンのリモコンが故障していた(本体直接操作でなんとかなった)のはご愛敬と言うことで。
このルーデポールトは比較的治安が安定しているようで、現地のスタッフに泊まるならこことオススメされました。たしかに、夜は静かで外が荒れてる様子も無く、むしろ鶯谷の方が五月蠅いかなw
ただし、毎朝5時と夕方5時に必ず停電が起きます。
6月の南アフリカは真冬で、最低気温2℃。みんなが朝起きる時間と家に帰る時間にヒーターを入れるから、変電所がオーバーロードで飛んでしまうんだそうです。
電力事情が悪いと、こんなことが発生してしまいます。
この街ではごく普通のことらしく、停電してもみんな「うぇ~い」というだけで復帰を待つだけです。また、停電が困る工場では、自前の発電機を備えていました。
宿泊先のホテル隣はレストラン&バーで、夕食は全てここにしました。街中に出たら危なそうだし。
初日に頼んだのはハンバーガー。海外のレストランで食べるハンバーガーという感じで、普通に美味しかったです。
翌日、出張先である現地の工場に行き、出迎えてくれたのがこのゲート。そう、金属探知機です。
持ち込んだカバンも開けてチェックされ、金属探知機を通ってゲートイン。
…いや、空港じゃ無いんだってーの。
そしてコーラの自販機。
コカコーラは世界中で普遍的に手に入ります。
俺の名はマスクドコーラ。世界をさすらうマスクだ。
俺の燃料はコカコーラ。ペプシやコカコーラゼロは美味しい飲み物だが、燃料はノーマルコカコーラのみなのはもはや常識だ。
世界の何処でも手に入る燃料コカコーラ。俺も他の大陸で燃料補給してきたが、冷やし方は違えど味は何処でも変わらなかった。それがこのアフリカのコーラはどうだ。
甘いじゃないか。
ドリンクバーやカップ自販機と行った、サーバー式で調整が取れてないコーラのように甘いぞ。
世界中コーラを求めて旅したが、味が違うのは初めてだ。
しかし、コカコーラには変わらない。燃料になる事は変わらない。美味しく燃料補給だ。
なんか一時的に意識が無かったのですが、問題ないでしょう。
工場の敷地はスパイクフェンスまたは鉄条網で完全に覆われていて、無理矢理中に入ろうものならモズの早贄(はやにえ)になってしまいます。
これは周辺のどの工場…どころか民家でも一般的なようで、近くにあった学校はマジックショーに出てくるようなとびきりデカいスパイクが着いたフェンスに覆われていました。さすがに早贄は…みませんでした。
今回、この工場の滞在はわずか2日。
ですので、工場外を観光する時間もありませんでした。
仕事の写真はいっぱいあるのですが、もちろんここに載せられません。
最終日の仕事が午前中で終了し、現地スタッフが
「さすがにアフリカまで来てもらって、観光させないのはこっちの顔が立たない」
と言い、滞在最終日の午後に観光に連れて行ってもらいました。
連れて行ってもらったのはココ、Rhino and Lion Nature Reserve。
要はサファリパークなのですが、日本のサファリパークとは違い敷地が広い!この画像の中心部ほとんどの場所に、アフリカの動物が放し飼いにされています。
ですので、「動物みたいなら、まずは見つけてね☆」だそうです。
ちなみに紹介してくれた現地のスタッフの会話
「そういえばあそこ、2~3年前に子供がライオンに食べられて亡くなってたな…」
「たまにあるんだよね~あそこ」
「入口の看板に『OWN YOUR LISK!』(自己責任で!)と書いてあるから、降りちゃう人もいるのかもね~」
…もちろん、車から降りませんよ。
いろいろ見つけられたので、一部抜粋。
ダチョウは道を渡り、
シマウマはそこら辺何処でも顔をのぞかせ、
バッファローは草を食み、
ラグビーワールドカップで名前が知れた(?)スプリングボックはケツしか見せてくれず、
でっかいシロサイたちは道ばたで昼寝してました。
写真を見てもらっても分かりますが、フェンスが見えないくらい敷地が広いんです。
このゲートから先が、「プレデターエリア」。肉食獣の住処です。
さすがに放し飼いでも、草食獣と肉食獣は分けて管理していました。
そしてさすが肉食獣、リカオン、ライオン、チーターがいるらしいのですが、あの体色が保護色になっている上、敷地も広く見つかりません。
唯一見つけられたのが、このホワイトライオン。草むらで昼寝中でした。
普通のライオンがこのように隠れていたら…そりゃみつかりません。
サファリエリアがメインですが、見つけられなかった人向け(?)に普通の動物園らしいエリアもあります。
そちらにいたチーター。
口笛吹いたらコロゴロ言いながら起きてくれました。行動がでかいネコw
一時ブームになったサーバルキャット。
寒いのか家に入って丸くなってるだけでした。
ホワイトタイガー…って、あんたはアフリカじゃなくてアジアの動物でしょ。
まぁ、アフリカだと逆に珍しいと言うことで。
クロヒョウ。
見てのとおりこの動物園エリアも、金網一枚で仕切られているだけで動物との距離が非常に近いです。手を入れようと思えば入れられます。
ということで、このエリアにも『OWN YOUR LISK!』(自己責任で!)の看板が立ってました。
某北海道の旅番組で有名になった、カンムリヅル。
本当にやんのかコラ!やんのかコラ! してました。
キリン。
園内レストランのウッドデッキサイドにいた奴で、時々ウッドデッキに顔を伸ばしてました。
ブラックマンバ。史上最強の毒蛇に挙げられる一種。
毒が強く、量が多く、攻撃性が非常に高く、地形を問わず素早いという、出会ったら詰みな奴。どんな毒蛇でも触る動物学者が触るのを断ったことでも有名です。
この飼育ケースの中で、常にウネウネ動いていました。
案内のドライバー曰く、「咬まれたら15分で飛んでくよー」。
案内看板曰く、「This is Extremely dangerous viper」(極めて危険な毒蛇)。
この敷地内のレストランは、スプリングボックの肉など珍しい料理を出してくれるのですが、今回は大事な帰国準備のため、あきらめて泣く泣く次の場所へ。
そう、PCR検査結果の受領。
この2022年6月時点で、コロナによる入国制限はかなり緩和されており、 厚生労働省が「青区分」に指定した国からは、到着時の検査も入国後の隔離も必要なくなっています。南アフリカもオミクロン発祥の地でありながら、この時点ではコロナは小康状態で、ニュースではむしろサル痘の方が詳しく報道されていました。
ただし、出国前72時間以内のPCR検査は必ず受ける必要があります。南アフリカでも街中に検査機関が有り、結果は24時間で出ます。
左側が検査機関オリジナルの書式で、右側が厚生労働省指定の書式。どうやら検査結果に検体サンプル方や検査法が無いと有効な検査とは認められず、かつ海外の検査結果書式が結構適当なので、厚労省がHPで標準書式を公開しています。今回は事前に印刷して、検査時にこちらにも記載をお願いしました。
ただし、出国時には左側のオリジナル書式を空港のチェックインカウンターに見せなければならないので、両方忘れずに受け取っておきます。
他、MySOSというスマホアプリに事前に情報(誓約書、上記PCR結果 等)を登録しておくことで、帰国時の空港検疫を省略でき、空港での待ち時間を大幅に減らすことが出来ます。
この事前登録内容にワクチン接種証明があります。
これが無いと空港での長時間の検疫が必要でかなり面倒となります。
接種証明は都道府県で発行してくれるのですが、通常1週間~10日かかります。
しかし、接種証明スマホアプリとマイナンバーカードがあれば、アプリ内で接種証明を作成でき、そちらも日本国政府の有効な証明書として扱われます。
前の週の金曜日に電話一本でぶっ飛ばされ、帰国に必要な書類が10日かかるって…
いや、自分はマイナンバーカードを持っていたので、接種証明をすぐ発行できたので助かりました。もしかして、作っておいたから海外に飛ばされた…??
南アフリカのメシは、全体的にオーストラリアに似たような感じで、どれを食べても美味しくいただけました。唯一注意点があるとしたら、ステーキを頼んだときに焼き加減を
自分の好みより1ランク焼く方向に指定することをオススメします。各ランク日本よりも焼かないらしく、特にレアを頼むと本当に表面だけを焼いた肉になります。まぁ、美味しいので問題ないです。
今回南アフリカ…だけでなくアフリカ全体で食したメシは、どれも外れなく美味でした。
今回訪問した場所は、南アフリカの中でも治安が良い場所らしく、事前に聞いていたような魔界ではありませんでした。
しかし、写真のようなロードサイドのバラックがまだあちこちに残っていること、各地のゲートやフェンスに見えるように、油断したら修羅場と化すようです。
案内のおにーちゃん曰く、本当に危ないのはヨハネスブルグ旧市街でまさに修羅の国で、既に中流層以上や各企業・機関も郊外移転しているようで、現地の人でも用事が無ければ訪問することは無いとのことでした。 実際ホテルから空港までの道も、旧市街を通るルートが一番近道にもかかわらず、市街地を避け大回りしていました。
僅か3日間の滞在を終え、帰国です。
帰りはヨハネスブルグ→アディスアベバまでは行きと一緒ですが、アディスアベバからはソウル・インチョン経由成田の直行で帰れます。このアディスアベバ=ソウル=成田便は週3便なので、行きは乗れませんでした。事前にスケジュール調整すれば、バンコクでの長時間滞在も不要です。
こちらは、ボーイング787になります。
今回エチオピア航空のB777,B787,A350と搭乗しましたが、全て席が違う…まぁ、この辺がアフリカなんでしょうね。この787ですが、フルフラットでは無くライフラット(ふらっとになるが、地面と平行になりきらない)で、寝ていると少しずつずり落ちていくのですが、足下はA350のそれより広く、個人的にはこちらの方が寝やすかったです。
今回搭乗したB787やA350、以前搭乗したA321neoやB747-8といった、2010年代以降に就航した飛行機は、総じて室内が静かになっています。特に今回はB777→A350と乗ったので、その静粛性がよくわかりました。今後も積極的に選んでいきたいです。
アディスアベバから成田まで臨席だった日本人のお姉さんが、ネコちゃん一匹連れていました。なんでもザンビア出身だそうで、ザンビアの友人が飼えなくなったので引き取ったとのこと。鳴き声が小さく、長時間のフライトでも良い子にしていました。
もちろん検疫を通さなければならないので、ザンビアの獣医が発行した検疫書類を大量に抱えていました。
直行便とはいえ、ソウル・仁川空港で一度降りなければならず、しかもセキュリティを通らなければならないので、事実上乗り換えと一緒です。とはいっても、空港は大変ガラガラでセキュリティもあっさり通過でき、また45分ほどで再搭乗できるので、ちょっとした息抜きと言うことにしておきましょう。
韓国も日本同様に、空港の様子を見る限りまだタイ、エチオピア、南アフリカとは異なりコロナ水際対策を強めにやっているようです。
元々は成田=アディスアベバは直行便だったのですが、ソウル便と統合してソウル経由になったようです。おそらく、コロナで乗客が減ったけど便を残す苦肉の策でしょう。
日本を出発して5日、6/26(日) 20:40に、修羅の国から無事帰国しました。行きに2日、現地に3日、帰りに2日と、なんと滞在時間より移動時間の方が長いという、ワールドカップ観戦ツアーもびっくりな、はじめてのアフリカでした。
帰りは乗り継ぎ時間が短かったのですが、それでも移動時間23時間半、移動距離14,493km、往復の合計は29,929kmでした。広島往復を加えれば、3万キロオーバー。
当日のうちは広島まで帰れなかったので、東京で一泊の後、翌6/27(月)に広島に帰りました。前日まで最低気温2℃で仕事して、この翌日から最高気温35℃で仕事でしたので、なかなかハードでした。さらにこの後の金曜夜に自走で390km移動して、土曜日にオートポリスでエイトリアンカップ。
オートポリスの往復680kmなんで、3万キロに比べればはるかに近いぜ!
今回の旅で、人類が定住している5大陸制覇しました。ヨーロッパとアジアを分けても6大陸制覇です。アフリカもエジプトとかセウタのような行きやすい北アフリカでは無く、最南端の国まで訪問しました。あと言っていないのは…南極とシベリア…両方とも仕事で行くことは無いな。
糸冬