元々出張族の私。北は北海道から、南は鹿児島までどこでも伺います。
・・・沖縄だけは絶対出張が無いんです・・・
今年最初の出張は、本土最南端の鹿児島県。しかも山の中で電車の本数が少ないところ。そうすると移動も一苦労なので、レンタカーを借りることにしました。
一泊二日の1人出張、しかも荷物もさほど多くないとなると、必要になるのはせいぜいコンパクトカークラス。値段もそれほどお高くありません。普段ならこのクラスを借りて、仕事に行くでしょう。
しかし、今回は1人、すなわち運転手も私1人。つまり、私の選択し放題。せっかく借りるなら、ちょっと自腹で払ってでも良い車を借りたい・・・
というわけで、こんな車を借りてみました。
既にスポーツカー市場ではおなじみの、トヨタ86。グレードはGT、もちろん6MT。
出張が決まったのが、出発日の午前中だったため、予約前にトヨタレンタリースに「86のMTありますか?」と聞いたら、「ATは無いけど、MTなら空いてますよ」とのことでした。やっぱりMTを選ぶ人は少ないんでしょうか。
さてこの86、見ての通り後期型です。
実は、前期型86には2度ほど試乗したことがあります。1度は2012年10月にモーターランド三河のレンタル走行カー、もう1度は2013年1月で今回と同じくレンタカー、共に初期型でした。そして、このときの印象は正直あまり良くありませんでした。
・クラッチがペコペコで踏力/ストロークが一定で無く、逆に操作しづらい
・ステアリングインフォメーションが薄く、高速域では怖い
・剛性が足りず、コーナーリング中の安定性に欠ける
・なぜかフロントとリアのロールバランスがおかしく、常にリアが勝ってしまう
2010年代前半はスポーツカーは不要、悪魔、金食い虫とボロカスに言われていた時代で、その中で良い車が出たと思いましたが、「車の出来に対して、乗り出し300万円は高すぎる」というのが、私の86への印象でした。
製造元のスバルは真面目に年次改良をする会社ですが、"あの"トヨタの色が入っている86では、どのように変更されているか、楽しみでした。ちなみにこのレンタカーに乗る前、前期と後期でどこが変わったかは、調べずに乗りました。
外装は、フロントバンパーの大口径化が目立ちます。私はあまり好みではありませんが、86はアフターパーツが豊富なので、バンパーは好みの物に変えてしまえば良いだけです。 前期型で話題になった、シャコタン防止のフロントウインカーについては、ヘッドライト内蔵となり、今度は腹下の限界まで落とせる事になってました。サーキット用として考えると、車高は大事なセットアップの一つなので、自由度が増すことは良いことです。
運転してみると、まずクラッチが改善されていることに気がつきました。
前期型では、農協が乗ってきた軽バンのようなペコペコ具合で、踏力とストロークが一定で無く非常に操作しずらかったのを覚えています。それに対し後期型は、RX-8の前期型とほぼ同等の踏力となり、踏力に対するペダルストロークも一定に感じるようになり、半クラッチの操作も断然しやすくなりました。借りた車はなぜかミートポイントがかなり手前でしたが、これは調整すれば良いこと。クラッチについては、前期型の悪いところは無くなったと言えるでしょう。
シフトについては、これも前期型よりも入りやすくなっていました。ただし、元々そんなに悪い物では無かったと記憶しています。ストロークはかなり短く、また手応えも固めであるため、慣れるまではシフトミスしやすいかもしれませんが、慣れの問題でしょう。
ブレーキについては、異常に初期制動の高いかっくんブレーキで、お世辞にも扱いやすいとは言えません。パッドを変えればマシになるでしょうが、スポーツカーならもっとドライバーを信用した設定にして欲しかったです。
メーターはマルチインフォメーション式で、RX-8で見慣れたセンターアナログタコ&デジタルスピード。見慣れると視線移動が少ないので、この形式は便利なんですよね。右画面にはサーキットで役立ちそうなストップウォッチ、Gセンサー、パワーバンドグラフも表示できるようになっていました。特にパワーバンドグラフは、走るときに表示していると楽しい物でした。
今回の目的地は山中でしたので、必然的にワインディングを走ることになります。空いてる道だったのでそれなりのペースで走ってみました。
前期型で感じた、ステアリングインフォメーションの悪さ、剛性不足から来る落ち着きの無さは、全く感じられませんでした。特に、前期型にあったFRを何か勘違いしたかのような、フロント・リアのロール剛性バランスの悪さも全くなく、コーナーでの安定性は格段に増していました。ショックは割と固めでしたが、某タイプRの様な街乗りお断りな固さでは無く、あくまで常識的でした。その中で安定性が格段に上がり、乗ってて楽しい車に変わっていました。
コーナーリング中の小さなギャップで走行ラインが変わってしまうという点が前期後期に共通して感じましたが、それはフロントのサスペンション形状カラすると致し方なしでしょう。
今回は2日間、ワインディングを走りましたが、正直言って別物の良い車になっていて、びっくりしました。初期型にあった、スポーツカーとしては?な点は影を潜め、素直にドライバーに応じてくれる車と感じました。唯一、ブレーキの異常な初期制動の高さだけが気になりました。
RX-8と比べると、サーキットでの性能、アライメント調整のしづらさ、私の贔屓(ここが最も大きいかも)もあり、まだ8に部があるとは思います。ただし、その差は相当縮まっていると感じました。
後日HPで価格を調べてみたところ、このグレードなら乗り出して330万円くらいとのこと。その価格なら、素直に欲しい!
トヨタ86、侮れない車になっていました。
サーキット用車両として、普通に欲しくなりました。
もちろん、今のRX-8にはまだまだ頑張ってもらうけどね。
Posted at 2020/01/13 20:05:22 | |
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