至福の一日・・XXXⅢ　伊国車 後編

　右ハンドル車の気になるトコロ。それはペダル類が左側に

オフセットされる為、身体を中央寄りに捻らなければならな

い事であるが、逆にこの姿勢をしなければいけない故に、

クリアされるモノがある事に気が付いたのだ。それは身体が

内側に寄せられるという事は、頭も中央寄りになるという事

であり、それは即ち左ハンドル車で気になっていた、傾斜したルーフの≪縁(へり)≫に左側側頭部

が当たり、終始右側に首を傾ける格好で運転をし続けるという事をクリアしてしまう現象だった！

　「これなら “右”でもいいな・・・」

と、俄然右ハンドル車に興味が湧き、ココは是が非でもこのクルマを試乗したい欲求に駆られたの

で、携帯を取り出す動作の流れを利用して久しぶりにアノ技を駆使するべく、“見せ金用”の分厚い

財布を一緒に取り出し営業マンの目前にさりげなくチラせつかせてみた。営業マンはゴクリと唾を

飲み込むと、今まで渋っていた試乗の申し込みから一転、営業スマイルを浮かべ、

　「ではこちらで試乗の手続きを御願い致します♪」

と言って店内に案内されたのは、ワタクシの人徳の成すトコロであろう・・・。


　同乗している営業マンを緊張させない為、努めて明るい口調で話題を振り撒き、その隙に乗じて

チョット長めに走る事にしたのだが。

　やはりというか、体が進行方向真正面に向かないポジションの違和感が消える事は無かった。

それよりも気になったのは、やはり右足の角度だ。どうしても内側に押される感覚が有り、それは

時が経つ程に脛が曲げられていく様な嫌な感覚となって私を苦しめた。

　例えるなら、この感覚は500系新幹線にも通じるモノを感じた。

　それは窓側の席に座った時、500系の車体は輪切りにすると丸くなっている特性から窓側の足元

が内側に曲がり込んでいる為、やはり窓側の足を内側に曲げなければならなくなり、非常に気持ち

が悪い姿勢を強いられた事である。まあこれがスグに700系にエースの座を奪われる要因の一つ

となってしまった事は一部では有名な事実だが…。


　と言う訳で試乗を終え店に戻って開口一番営業に尋ねてみた。

　「やはり“左”の方がイイ感じだったんだけど、コレって・・・」

営業が私の次の句を固唾を飲んで見守っていた。

　「あのさ、コレ、左ハンドル車の方だけど、シートを外して床に直に

　　　　　　　　　　　　　　座って試乗してもイイかな？　あ、勿論座布団は持参するから！」

　「はっはっは、御冗談を！」

という営業の眼を見据え、

　「イヤ・・・マジ・・・なんだけど・・・」

と言うと、営業の眼は徐々に私の目前からフェードアウトし、この後、二度と私の眼を見て話す事は

無かった・・・。


　数分後、気まずくなった空気を打開するべく、ふと営業に尋ねてみた。

　「あのさ、ココにAUDIのRS5って置いてある？」

するとパッと明るい顔に戻った営業が、即答で有ると答えたので、早速其方に案内して貰った。

　目指すクルマはクルマ置き場の一番奥にひっそりと停まっていた。

　実はワタクシが世界で一番カッコイイと思っているクーペが正にRS5であり、コレと双璧を成すの

は、BMWのM2とM6だけだと個人的には考えているのだ。

　と言う訳で、ウキウキ気分で見てみると、残念ながらそれは現行モデルであり、ひとつ前のモデル

が好きなワタクシにはちょっと残念な事であった。何せ減車パターンになった時の最有力候補の一

台であり、というかその場合、現在このRS5とマカン＆カイエンの3車種に絞られている事実がった

ので、余計に残念に感じた。とはいえこのクルマにはサンルームが付いており、やはり一応吟味し

ておこうと車内へ乗り込んでみた。

　「ホントAUDIって外車っぽくないんだよな～」

まあ、だからこそ日本で普段の足として使え、更にはハイパフォーマンスも味わえるというマルチな

クルマとして重宝されていると思うのだが、そこは外車。勿論“？”が付く所も未だ残っている。その

一つにサンルーフが挙げられるだろう！

　そのオカシナ所とは、サンルーフの内貼りプレートの取っ手がサンルーフの前側に無いのです！　

因みに取っ手は何故か後ろにアリ・・・。

つまりこの内貼りは、手前から開けるのではなく、後ろから開けなければならないという摩訶不思議

な状態・・・因みにサンルーフ自体は前から後ろにスライドするのです・・・？？？？

　更に言えばこの内貼りはサンシェードタイプなので、結構直射日光が差し込んで来る為、かなり車

内が暑くなってしまうという欠点もあるのです・・・。




　さて、一通り試してみたので、病院に行く時間も押し迫って来た事も有り、この辺りで帰宅する

事にした。

　帰りの道中、懐かしい場所を堪能しながらフィットを走らせていると、何やら前方に見覚えの或る

クルマが。

　ココは世界に売り出すチャンスだと、暫く後ろに突きながら、ずーーっと、ピースサインを出し続け

ていましたとさ～！(((*≧艸≦)ﾌﾟﾌﾟｯ

　と言う訳で、これから暫くは“４C”を中心に次期愛車探訪の旅を続けて行こうかと思います！


　　　※尚、この日の模様は、愛車紹介BMW 750i L フォトギャラリー

　　　　　　　　　　　　　　内の→ “ココ” にありますので暇な時にでも、どうぞご覧下さい！


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　でわでわ！