先日に続き、CX560Vのレビュー。
今回は専門的検証だが、プロや専門家にみられたら鼻で笑われてしまうほど簡易的かつ大雑把な内容。性能の正確な値より性能の雰囲気だけ知りたくてはじめたことなので、とりあえず自分的にはよしとする。
特性試験にあたり、まずは環境作り。
グレースケールチャートと波形モニター(WFM)はどちらもSD(アナログ)用。
なので、カメラのコンポジット出力で測定する。
この時点ですでに正確さは失われてる・・・
照明は電気スタンドの蛍光灯・・・光量不足は否めない。
色温度はEOS 7Dで計測してみると、約4100Kだった。
はじめは3000Kくらいでやろうと思ったが、まともな照明などあるはずもなく断念。
んで、てきとーにセッティングしいろいろ試験開始。
今回調べたかったのはゲイン(チャートの白色ピーク部分)、ガンマ(灰色真ん中部分)、フレア(黒色-ピーク部分)の各値とガンマカーブ(波形の階段の勾配具合)。
①フルオートで測定。
設定値{絞り=AUTO/WB=AUTO/AEシフト=切(0)/WBシフト=切(0)/シャッター=AUTO/明るさ=AUTO/フォーカス=AUTO}
ここでちょっと気になったのがAWBの追従性能。
いきなりチャートを撮影したら、以前の白を覚えてるのかなかなかWBをとってくれなかった。
そこで一度キャップでレンズを覆い、もう一度チャートを撮るとWBをとってくれた。
ふだんでもAWBがおかしいと思ったら、一度手で覆ったりしたほうがよさそうだ。
で、測定結果。
ゲイン88%、ガンマ48%、フレア5%
もちろんKNEE(高輝度を一定のところでなだらかに頭打ちにする機能)がかかってるので、ゲインはその分考慮しなければならないが、全体的に低い。
どうりでフルオートだとアンダー(暗め)になるわけだ。
では実際の運用時の設定ではどうか。
WBをワンプッシュでとり、シャッターを60分の1で固定、AEシフトを1ステップずつ上げ調べてみた。そのほかの設定はオートのまま。
設定値{絞り=AUTO/WB=ワンプッシュ/AEシフト=可変/WBシフト=切/シャッター=60(分の1)/明るさ=AUTO/フォーカス=AUTO}
②AEシフト+0.2EVの時、ゲイン92%、ガンマ54%、フレア6%
③AEシフト+0.5EVの時、ゲイン95%、ガンマ58%、フレア8% (写真)
④AEシフト+0.7EVの時、ゲイン97%、ガンマ66%、フレア10%
⑤AEシフト+1.0EVの時、ゲイン100%、ガンマ71%、フレア11%
一応マイナスもちらっとみてみた。
⑥AEシフト-0.2EVの時、ゲイン83%、ガンマ45%、フレア4%
こうして①~⑥までみてみると、チャート撮影時での理想的な値に近かったのは、③の+0.5EVの時。
フレアは全体的に低め。SONYのカメラは民生用も低めの傾向にしているのだろうか。
引き締まった画に見えるだろうが、低すぎると暗部の階調がつぶされるのではないかと思う。
また、ペデスタル(キャップをしたときの真っ黒)はいずれも1%だった。
これはいくらなんでも低すぎではないか。せめて3%はほしかった。黒締めまくりじゃないか。
撮影となると、④か⑤が理想的な値のようだ。実際室内撮影では⑤くらいで適正な明るさになっていた。フレアも多少あがっているし。
ちょっと気になっていたシネマトーン機能。ガンマカーブが変わるとのことだったので、ノーマル時と比較してみた。
設定値{絞り=AUTO/WB=ワンプッシュ/AEシフト=+0.5EV/WBシフト=切/シャッター=60(分の1)/明るさ=AUTO/フォーカス=AUTO}
⑦シネマモード=入の時、ゲイン95%、ガンマ58%、フレア8%
ゲインガンマフレアは③と同じ結果に。なーんだ全然変わらんじゃないかと思いつつ、よーく波形を見てみるとカーブが変わっていた。
波形の紫色がシネマモード切、緑色がシネマモード入。(2枚の写真を重ねて加工した)
シネマモードを入れると、ゲインガンマフレアの3点は維持しつつ、暗部はより低く明部はより高くなっていることがわかる。
クロマも変わっていそうだが、美人チャートを会社に忘れたので色味までは確認できなかった。
ほかにも興味があったところを試験。
⑧WBシフトはベクトルスコープの I 軸上で+(赤め)方向、-(青め)方向にシフトするのがわかった。
⑨今回の環境はかなり暗いが、明るさをMAXにしたときの波形は、ゲイン106%、ガンマ85%、フレア19%だった。
まとめ
意外とといっては失礼かもしれないが、きれいな波形をしていた。暗部は低めだが、階調を広げるために下げ気味なのかもしれない。
ソニー固有の画質作りという感じだったが嫌いではないし、むしろ他社に比べれば好きなほうだ。
オートアイリスについては、今までの実感どおりアンダーになることが確認されたので、AEシフトは必須のようだ。
色に関する試験は行っていないので、また暇があったらみてみよう。
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せっかく環境を作ったので、ついでにEOS 7Dの特性もチラッと見てみた。
設定値{絞り=AUTO/WB=WB写真選択/AEシフト(露出補正)=可変/シャッター=AUTO/ISO=AUTO}
a)AEシフト0の時、ゲイン86%、ガンマ49%、フレア3%
b)AEシフト+1/2の時、ゲイン90%、ガンマ57%、フレア4%
c)AEシフト+1の時、ゲイン97%、ガンマ66%、フレア5%
7Dでマニュアル撮影する場合は、アイリスもマニュアルにするのであまり特性試験に意味はなかったが、傾向はなんとなくわかった。
なお、マニュアル時はこうなった。
設定値{Mモード/絞り=5.6/WB=WB写真選択/AEシフト=可変/シャッター=1/60 /ISO=800}
d)AEシフト0の時、ゲイン94%、ガンマ57%、フレア4%
このときAEシフト(露出補正)を0→+1にあげた場合は以下のようになった。
e)AEシフト+1に上げた時、ゲイン95%、ガンマ64%、フレア6%
しかし、+2→+1に下げた場合、eと同じ値になるかと思いきや、
f)AEシフト+1に下げた時、ゲイン99%、ガンマ72%、フレア7%
という不思議な結果になった。
この結果は使用上大いに役立ちそうだ。