航続可能距離はあてにならない?0になっても少しは走れる?

2018年7月10日

ガソリンメーター

電気自動車が登場して以来、一回の充電で走れる距離、つまり航続可能距離が重要視されるようになってきました。従来のエンジン車ではあまり大きな話題とはならかった航続可能距離ですが、今は燃費のよさをアピールするアイテムのひとつともなっており、注目を集めています。

この記事のPOINT
航続可能距離は「ガソリン・電池容量」に「燃費・電費」をかけた数値
航続可能距離が0になってすぐ走行不能になるわけではない

そもそも航続可能距離ってどうやって決まるの?

航続可能距離はガソリンタンクや走行用電池の容量に、燃費や電費を掛けた数値が航続可能距離ということになります。カタログに掲載されている航続可能距離はカタログ値のガソリンタンク容量や電池容量を元にJC08モードなどのカタログ燃費をかけ算したものです。ご存じのようにJC08モードなどのカタログ燃費は、実際の燃費よりもいい数値となるので、カタログ上の航続可能距離も長めとなることが多いです。

一方、実際の航続可能距離は実際に搭載している燃料の量や電気の量と、実際の燃費で生まれます。一般的な話となりますが、ガソリンや軽油などの液体燃料はカタログ値よりも多めに搭載することができます。これはタンクの容量に加えて、実際にはタンクに至るまでの燃料パイプにも燃料が入るからです。一方、電気はカタログ値ほど電気を蓄えることができるバッテリーは少ないのが現実です。

液体燃料はリアルワールドではカタログより搭載量が増えるので実航可能続距離はカタログ航続可能距離より長くなる場合(実燃費がモード燃費並ならば)もありますが、電気自動車はカタログ値ほどの充電量が期待できないので実航続可能距離はカタログ航続可能距離より短くなるのが一般的です。

ガソリンメーター

メーター内にも表示される航続可能距離

最近のクルマはメーターパネル内に航続可能距離が表示されることが多くなっています。その表示はさまざまで、液体燃料の場合に一番多く見られるのは「航続可能距離123km」や「航続距離123km」といったように単純明快に表示されるものです。

そのほか[クルマのイラスト]→[燃料給油機のイラスト]や[クルマのイラスト]→[電池のイラスト]と言ったものもあります。メーターパネル内に表示される航続可能距離はそのときの燃費に合わせて刻一刻と変化しながら、次第にゼロに近づいていきます。

車の給油口

メーターパネル内の航続可能距離はどう計算されるのか?

液体燃料の場合、給油口から燃料を入れると燃料タンク内にあるフロート(浮き)が持ち上がって燃料の量を計測します。トイレの給水タンクの中にあるフロートと基本的には同じ構造です。使った燃料の量は、インジェクターが噴いた燃料量から計算されています。キャブレター時代や機械式燃料噴射の場合は燃料使用量を流量計などで計らないと使用燃料量がわかりませんでしたが、今のエンジンはどれも電子制御の燃料噴射ですから、そのデータをフィードバックすればいいわけです。電気自動車のバッテリーについては、電子的に処理しています。

計算はかなり正確に行われているのですが、ちょっとしたからくりもあります。それは航続可能距離がゼロになってもまだしばらくは走れることが多いということです。考え方としては計算するときの液体燃料の量や充電量は、実際の数値より低めにしているという感じです。走行可能距離ゼロ表示=走行不能ではユーザーが困ってしまいます。しかし、この情報はあくまでも“多い”です。くぐれもゼロになる前の給油、充電を心がけましょう。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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