トライボロジーの教科書には必ず載っているストライベック曲線。
境界潤滑、混合潤滑、流体潤滑の各領域で摩擦係数がどのように変化していくか?をグラフ化したものです。
福田交易さんのサイトから引用
エンジンブロックのシリンダー側面とピストン側面をイメージすると、
境界潤滑はアルミやDLCコートなどの素地や表面処理、MoDTCやZnDTPのような個体潤滑剤(成膜するもの)の領域。
つまり固体の滑らかさに依存する領域。
混合潤滑は固体の潤滑と潤滑油の流体潤滑が混ざり合った状態。
お互いが半々に作用する領域とでも言えばいいのかな?
この領域はもっとも摩擦係数が低いですが、油温や油圧など諸条件が変わると一気に境界潤滑側にズレてしまうリスクがあります。
最後は流体潤滑
油膜厚さが十分にあり、金属と金属の間には常に潤滑油が入り込んでいます。
油膜厚さは粘度に比例して厚くなるので硬いオイルはエンジン保護性能が高いと言われる所以はコレ。
内燃機関、特に自動車のように回転数が一定では無い場合、ストライベック曲線の横軸(軸受定数)は境界潤滑から流体潤滑までの範囲を行き来します。
具体的には圧縮上死点付近は境界潤滑に近く、低回転域は混合潤滑、油圧が上がってくる中高回転域は流体潤滑の領域。
シリンダーとピストン側壁をイメージすると、
油圧がある時は油膜もあるし、ピストンスピードも速いので表面張力で残ったオイルが仕事をします。
これが低回転になるとオイルは重力で落ちてしまうので充分な油膜が確保されない。
圧縮上死点付近はピスント運動が殆どない時間があるのでここも同様。
エステルやアルキルナフタレンのような極性のあるオイルなら別ですが、一般的なオイルでは油膜での保護が難しい。
なので、ZnDTPやMoDTCによる被膜保護が重要になってきます。
あるいは金属側の表面処理ですね。DLCコートとかモリブデンショットとか。
WPCのように凹凸を付けてオイル受けを設ける加工もありますね。
そんな訳で高速を長距離走るより渋滞ばかりを走っているエンジンの方が摩耗が進みます。
いわゆる高年式過走行車のエンジンにハズレが無いのはこれに起因します。
常に油圧(油膜)が安定しているエンジンだからエンジン摩耗も少ない。
ストライベック曲線の横軸(軸受定数G)は粘度と回転数に比例して強くなり、負荷に比例して弱くなります。
G=η・V/P
・粘度(η)が上がると油膜が厚くなる
・回転数(V)が上がると油圧が上がり油膜が厚くなる
・負荷(P)が増えると油膜は薄くなる
当然油温も重要な要素になってきます。
油温が上がれば粘度は下がるので油膜は薄くなりますからね。
逆に言えば油温が上がらないのなら油膜は充分に確保できる筈で闇雲に高粘度オイルにする必要も無いと言えます。
ハイブリッドカーやPHEVのようにエンジンが直ぐ止まってしまう車などもこれにあたります。
先ずは純正指定粘度のオイルを使う。
油温が130℃を超えるのか?超えないのか?
一般的な街乗り、高速走行では110℃程度でしょうから指定粘度から上げる必要はありません。
それよりも高温時に粘度低下が小さい粘度指数が高いベースオイルにこだわる方が得策です。
0W-20でダメだから5W-30では無くて、0W-20の中で高性能ベースオイルのものを探す。
GTLとかPAOベースのオイルですね。
それでもダメなら初めて高粘度化を検討する。
また、ポリマーの添加量が多いオイルは油圧低下がかなりあります。
アイドリングで油圧が1.0kgf/cm2を切るようなら交換した方が安全でしょう。
新油時から2割も落ちたら交換時期は過ぎています。
ポリマー添加量は粘度指数である程度予測出来るので、200を超えないようなものを選択してください。
ストライベック曲線から私たちが出来るエンジン保護は何か?
・油圧低下が起きたらエンジンオイルを交換する。
・MT車ならやたら低回転で乗らない。
・0W-8は本当に厳選したオイルを使って!
0W-8は各社ノンポリマーオイルです。(ほぼ)
粘度指数が軒並み140~150です。
これが意味するところはポリマーに依存した油膜確保ではもはや危険水域だと言うことです。
ポリマー込みで0W-8ではポリマーがせん断された粘度ではもはや流体潤滑が出来ないと言うこと。
0W-8は中々面白そうです。検証用の0W-8エンジン車欲しいなw
ちなみにGRカローラで70km/h巡行時の油圧ですが、
4速 320kPa
5速 230kPa
6速 170kPa
です。
70kmで6速入れてませんか?
2000回転、200kPaキープした方がこのエンジンは良さそうですよ。
・オイル関連インデックス
Posted at 2026/03/30 15:32:16 | |
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