
発動機マニアの方を訪問させて頂きました

こいつです。昭和20年代、野田産業製、香川県徳島市。石油発動機。ディーゼルエンジン出現前の灯油で動く火花点火内燃機関。農家の納屋裏に捨ててあるのを貰ってくるそうですクレーン付きトラックで。かなり重い50kg?くらいか、2人でやっと持てる。

ケロシンとは石油。当時は全国各地の鉄工所が作ってたらしい。

バルブオーバーラップ10度とか点火時期は上死点前20度が表示されてます。

ここがクランクとコンロッド、水平のアルミピストンも少し見える。

フライホィールは鋳鉄でボルト巻き締め、内側にバランス取りでフライス盤で削ってある。始動用のクランク棒が自然に格納される。圧縮が低いのでデコンプ無くても一旦逆に回してから、勢い良く右回転に回せば掛かります

ギヤでカム2つを回します。プッシュロッド2本でロッカーアームのOHVを作動させる。
もうひとつのギヤはマグネトー点火作動用カムです。キーポイントになる装置。壊れ易いから入手も困難、分解して直すそうです。ここから点火プラグまでコードが伸びます。ディーゼルにはありません。昭和20年代初期はもっと原始的な点火装置だったそうですからなかなかエンジン掛からない。

ロッカーアームの様子
真ん中が吸気キャブでエアクリーナーは紛失。ここを手で塞ぐとチョークになり始動性がよくなる。始動のみは右の穴にガソリンを少し入れる。左手の棒はスロットル

プッシュロッドの下
エンジン掛かったら丸いダイヤルを切り替えて灯油を供給する。

灯油タンクはエンジンの下、パイプでキャブまで伸びてる。中央はオイルパンからのドレンパイプ

ここに水をいれピストンを水冷、自然蒸発するから時々補給する。隣は潤滑オイル差しでピストンにポタポタ自然落下する

クランクメタルへは丸いグリース、時々回し押し付けて給油する。
コンロッドへは右の潤滑オイル差しからポタポタ自然落下する。メタルは鉛だから磨耗すると交換する。昔は自ら鋳造して作ったそうです。
排気量は400cc位か? 2馬力@1100回転

棒ネジがスロットル、定速だから回して調整する。
排気サイレンサーは独特の形、左横にあるのはラジエーターの水抜きコック。

手でチョークしながらエンジン始動するとポンポンポンと白煙がでる。安定すると出ません。なかなか掛からない。楽しいです。(^^)
構造が理解出来たら以下ご覧下さい。
YouTubeから、石油発動機コンコー始動
ね! 楽しいでしょう。

プッシュロッドが1本なのは吸気は負圧で作動する古い奴。高回転には追従できない。
そして昭和30年代にヤンマーが小型ディーゼルを世界初で完成させると、各地の灯油発動機は駆逐されます。ディーゼルは何しろ燃料食わない、パワフルで、壊れない、始動はデコンプレバー付きです。

ディーゼルは左の緑ヤンマーは直ぐエンジン掛かるが、右の赤クボタは掛かり難いそうです。カムカバーの上がキーポイントになる燃料噴射ポンプです。圧縮着火だからプラグは無いです。

これは水冷で発生する蒸発を空冷して液化し再使用する珍しいタイプ。仕組みは今のクルマのラジエーターと同じです。
現代ではエンジンは各農機具に取付てあります。このような汎用発動機は使いません、固定式発動機は電動ですし。石油発動機は昭和の農業遺産ですね。エンジンの仕組みが実物で良くわかる。^_^
ありがとうございました。m(_ _)m
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2019/12/22 20:44:29