
トヨタとスバルが小型FRスポーツを共同開発しているという情報は、もう数年前からクルマ雑誌の「ベストカー」に掲載されていて耳タコでしたが、今回ようやくコンセプトモデルが姿を現しました。
東京モーターショー2009に出品される、その名は
FT-86コンセプト。既に何人かのお友達もUPしていますが、10月10日発売の
ベストカーの記事などを参考に、ちょっと思ったことを書きます。
まずはスペックのおさらい。
・全長4160×全幅1760×全高1260mmとコンパクト
・水平対向4気筒2000ccNAエンジン+6速MT
・駆動方式はFR(運転席より前方にエンジンを置き、後輪を駆動させる)
・乗車定員4名(おそらく後席は狭くエマージェンシー用)
・フロント4ポッド対向、リア2ポッド対向アドヴィックス社製ブレーキシステム
・デザインコンセプトは、極限まで鍛えられたカラダ『ファンクショナルビューティー』
・FT-86とはフューチャートヨタ86の意。86とは今だに根強いファンを持つ旧車、五代目カローラ/スプリンターにDOHCエンジンを搭載したFRモデル、カローラレビン/スプリンタートレノの車両型式AE86(ハチロク)にちなんだもの。
・2011年秋に市販予定
以下は市販車の予想
・車重は1200Kg前後、馬力は200ps程度
・10・15モード燃費は15Km/Lを実現すべく改善中
・ツインクラッチモデルも追加設定あり
・価格はベース車で200万円程度
何枚かの画像を見る限り、スタイリングは流麗かつ力感があり、睨みつけるようなヘッドライトの形が迫力ですが、基本的な骨格はロングノーズ・ショートデッキの古典的なスポーツカーのシルエット。フェアレディZやS2000をモディファイしたような感じですね。
ベストカーの前の号(9月26日号)には予想イラストが掲載されていますが、自由にディティールを表現出来るイラストより、よっぽど現物の方が迫力と存在感があります。このスタイリング、私は気に入っています。
全長を短くしながらも4シーターを実現出来たのは、全長が短い水平対向エンジンの恩恵とのこと。そしてよく見ると、ボンネットフードもかなり低い。全高も低く出来る水平対向エンジンはまさしくスポーツカーの理想的なスタイリングを具現化出来るエンジン。どうしてスバルは今まで、この特性を生かしたデザインのスポーツカーを作らなかったのでしょうか?
否、アルシオーネがありました、でもそれは一瞬で消えたあだ花・・・
このクルマの開発コンセプトは極めて明快、最も運転が楽しいとされる「軽量・コンパクト・FR(後輪駆動)・自然吸気エンジンのスポーツカー」ですね。エコでなければクルマにあらずの風潮の中、純粋にファン・トゥ・ドライブを追求した姿勢には好感が持てます。
それだけに、何を今更ハチロクなのか?ハチロクの21世紀バージョンなら、もっとハチロクのイメージを大切にする(例えば似せたデザインにする)必要があると思うし、半端なクルマではハチロクに思い入れがあるユーザーを裏切ることにもなりかねない。
話題作りのために必要なのかもしれませんが、出来るならこのクルマだけの、もっと未来をイメージするようなキャッチコピーを考えてほしいと思います。もっとも市販時の車名にハチロクは使用されないと思うけど。(車名がレビンとかトレノだったら、それはそれでグッとくるかも;自爆)
スバルには卓越したAWD(四輪駆動)システムがありますが、このクルマはFR(後輪駆動)。ファン・トゥ・ドライブにFRは欠かせないファクターなので、重量増にもなるAWDの搭載は当初から想定外だったようです。雪道も走らせたい私にとって、AWDをチョイス出来ないのは痛い。せめて、トラクション・コントロールとVDC(横滑り防止装置)は標準装備にしてほしい、不要な人のために解除スイッチ付きで。
コンパクトFRにこだわったクルマとして思い出されるのはトヨタ・アルテッツァです。多くのクルマがFF化される中で、あえて走らせる楽しさを追求したFRで開発されたクルマでしたが、販売面では失敗作で、一世代で消えてしまいました。天下のトヨタが二の足を踏むとは想像できませんが、FT-86は多くの台数を稼ぎ出すクルマではないと思います。おそらくトヨタにおけるコンパクトスポーツのイメージリーダー的な役を担うのでしょうけど、改良を重ねて長く作り続けてほしいものです。
少し気になるのは、これがトヨタ側からの発表であり、スバル側は沈黙している点。
FT-86の"FT"は、富士重工とトヨタの頭文字だと思っていましたが、実はフューチャートヨタの略。トヨタ主導なのは分かりますが、もっと戦略的にも広報的にもスバルが関わってほしいですね。果たしてスバル販社にデリバリされるのでしょうか?
と、思いつくままに書きましたが、トヨタとスバルが業務提携に向け基本合意したのが2005年10月。4年の歳月を掛けて実現した具体的な新車開発の第一弾が、スポーツカーであることは本当に嬉しく思います。これから市販までの一年間、コンセプトを大いに煮詰めて更に驚くような新車として発表して頂ければ幸いです。
Posted at 2009/10/12 23:21:15 | |
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