
私のブログカテゴリーに「格闘技」があります。プロレスやK-1など格闘技全般について語っていこうと画策していたのですが、結局これまで2回しかUP出来ていません。
そこで横綱朝青龍。お騒がせの末の引退でしたが、この機会に大相撲について少しお話を(長文注意)。
大相撲は大鵬の頃から良く見ていました。国技館(蔵前ですけど)にも5回ぐらい足を運びました。国技として、あるいは伝統格式を重んじる特殊性に隠れがちですが、「相手を押し出すか倒せば勝ち」という分かりやすいルールは、見て楽しむ格闘技としても非常に魅力的だと思います。
そのルールから考察される力士に必要な身体的能力といえば、押すために必要な体の大きさ、腕力脚力と瞬発力。そしてまわしを掴み相手を投げるための腕や指の力。さらには土俵に倒れないためのバランス感覚と踏ん張る足腰でしょうか。
朝青龍は小兵ながら、これらの能力に大きく長け、歴代3位となる23回の優勝に輝いた真の実力者です。瞬時に相手を押し出す類い稀なスピードと瞬発力、掴んだまわしで豪快に相手を振り回すかいな力、押し出した相手に更にダメを押すしたたかさ、そして土俵上での気迫みなぎる表情。低迷する大相撲を牽引する唯一の人気者(悪者?)だったと思います。
そんな朝青龍が、体力気力の限界とは別の理由で引退しなければならないのは極めて残念、とデーモン木暮閣下が語っています。私も全く同感。品格が問われる大相撲の横綱ではなく、他の一般的な格闘技であれば、未来永劫語り継がれる偉大な実力者として歴史に名を残したに違いありません。(なので、引退後に総合格闘技の道を選ぶかが興味深いところですが)
そんな彼が去った大相撲を支えるのは一人横綱となった白鵬です。しかし現時点では、かつての、少なくとも若貴兄弟と曙が賜杯を競い合う頃の人気には到底及びません。場所中の観客席には空席が目立つし、数年続けて「満員御礼」となった頃が夢のよう。何故こうなってしまったのか?
最大の原因は、月並みではありますが、外国人力士の台頭だと思います。高見山や小錦を経て、少なくとも曙の頃までは、外国人力士はその希少性と、日本文化と格闘し馴染み努力して強くなったという、話題性による人気がありました。そして、どれほど外国人力士が活躍しようとも、本流としての日本人力士が壁となって立ち塞がりました。高見山に対する輪島・北の湖、小錦に対する千代の富士、曙に対する貴乃花のように。
しかし、お兄ちゃんこと若乃花勝以降の横綱は、武蔵丸・朝青龍・白鵬と外国人ばかりで、現在の大関陣は4人の内2人が外国人(琴欧州、日馬富士)。よって最近3年間の優勝者はすべて外国人力士と、優勝争いの主流から日本人力士が消えました。
日本古来の由緒正しき伝統と仕来たりを重んじる大相撲を席巻するのが、日本人ではなく外国人であるという本末転倒したような現実。格闘技としてどんなに面白くとも、勝つのは日本人であって欲しいという希望を消された疎外感、歯痒さは否めません。
逆に、日本人力士が弱くなったという指摘もあります。人気低迷に比例して、相撲を志す新弟子も激減しました。やはり運動神経に優れた若い逸材は、相撲という閉ざされた世界ではなく、野球・サッカー・ゴルフなどの一般的な人気スポーツを選択するのでしょうか。
子供の頃から相撲に親しんでもらうため、小学校に土俵を作るというアイデアを掲げたのが、これも渦中の貴乃花親方です。彼は大相撲を活性化し人気を高めるための改革案を掲げ、理事選に当選しました。
思えば大相撲の世界、角界は伝統という名に安住し過ぎたのかもしれません。「改革をすれば伝統がなくなる」と語った武蔵川理事長、タレントの竜虎も似たような発言をしていましたが、人気凋落を食い止める方策を一つでも考え、実施したのでしょうか。古来受け継がれた角界の仕来たりは、閉ざされた世界の中では優れたシステムかもしれませんが、急速に移り変わる社会文化の潮流には、取り残されつつあると思います。
よって、改革を唱える貴乃花親方の出現は必然が生み出したもの。既に遅いぐらいです。残すべき伝統と悪しき伝統を切り分け、厳格に改善改革を進めることが、大相撲の人気復活、日本人力士の活躍につながるのではないでしょうか。せめて、外国人力士と日本人力士が毎回交代で優勝するような、対等の勝負が出来るぐらいの状況にして頂きたいものです。
そういえばもう一点、なぜ現役力士はインタビューの受け答えが素っ気無いのでしょうか。現役を引退してタレントや解説者になった人たちの饒舌さ、シャベクリの面白さは、現役時代では考えられないことです。力士は喋らないことを美徳とするなら、そのような個性を殺す悪習も無くしてほしい。時代はタレント性を求めています。
あ、さらにもう一点、貴乃花親方のスーツの着こなしは好感が持てます。ワイドカラーのシャツを選んだり、チーフをさりげなく差している点は、他の角界関係者とは明確に一線を画しています。こんな所でも、今後の活躍に期待してしまいますが、単に奥様の影響だったりして。
「変わることで企業は成長する。日々変革せよ」とは前の会社で耳タコで教わった企業理念。そんなこと、簡単に出来るわけねーじゃないかと呟いてた当時が懐かしいけど、同じような話をここに書くとは思いませんでした、いや本当に・・・
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
Posted at 2010/02/06 15:48:11 | |
トラックバック(0) |
格闘技 | スポーツ