
最安の化学合成油であるシェルHX5 Plus 0W-20 SP。
前回ボルボV60ディーゼルに入れてみました。
このオイルは「部分合成油」表記ですが、実際はGTLが7割、残りが鉱物油です。
Mobil1より鉱油割合が多いのでこれがどう影響あるか?
今回はDPF再生間隔を評価します。
鉱油割合が増えると煤も増えるのでDPF再生間隔に変化があるのではないか?
Mobil1(鉱油10%)でDPF再生間隔600kmなので、
鉱油30%のこのオイルなら再生間隔は450km程度になるのではないか?
ディーゼル乗り以外の方は点線の範囲は読まなくていいですw
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オイル交換後1回目のDPF再生開始時PM(DPF soot)は4.77gで上限の7.0gには達してません。
ボルボはPM7.0gまたは前回DPF再生から600km間隔で強制再生入ります。
強制再生モードは無いのでいわゆる自動再生(パッシブ)。
自称部分合成油とは言え、中身は合成油で煤の発生量が少ないので上限の7.0gに達する前に600kmに達します。
Mobil1も5g程度でしたから殆ど一緒。
DPF再生中はPM(DPF Soot)が17gに増えて、0gになるまで煤を燃やします。
この時のPMの減少レート(時間)がMobil1に比べて遅いです。
煤が燃えにくいのかDPF排気温度が普段より高いです。
Mobil1だと580~620℃でしたが、初回は670℃。初めて見た。
一定時間焼いて減りが悪いと温度上げるのかも?

670℃のおかげで煤は一気に焼けてトータル再生時間はむしろ短かった。
DPF再生フラグが17⇒0gになるとDPF再生が終了して、燃え残りのPMが表示されます。
終了直後は燃えカス(今回は3.15g)が残っていてこれが徐々に減ります。

高温でボロボロになった炭が残ってる感じでしょうか?
10km位走ると2gくらい減ります。

今回は少し多い気がします。Mobil1は1gは切ってました。
ここから7gまたは600kmまでが次回DPF再生までのリミットです。
2回目のDPF再生開始時PMは4.97gで普通そうに見えますが。
DPF再生終了時のPMに注目

1回目のDPF再生終了直後のPMは3.15gでしたが、今回は4.75gです。
明らかに多い!と思ったのですが…

18kmほど走ったらPMが4.75→0.76gまで減少…
最後は1.6g→0.7gと一気に減りました。
再生のタイミングと関係なくPMが1g近く減る現象はこのオイルの特徴です。
エンジン始動時に急に増えて少し走ると減る。
実際に煤が出ているとは思えないのですが、煤に近い何かしらでセンサーが騙されている模様。
あるいは煤が固まりでセンサーから剥がれてしまう。
3回目も同様です。

PM量はMobil1の時と同じように見えますが突然減ります。
400km位の時は5.6gくらいありましたが、600km直前は御覧の通り。
上限の7gまで全然届いていません。
DPF差圧も低いのでホントに煤が少ないのか?
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ここまで飛ばしてOKw
結局、鉱油30%含まれていてもDPF再生間隔は600kmのまま。
理由はDPF sootが安定せず突然減ってしまうから。
恐らくですが、GTLやPAOベースの合成油の場合、煤の発生源は殆ど軽油なのでは無いでしょうか?
軽油は常圧蒸留の軽質な炭化水素なので煤となるのは軽質な煤のみ。
鉱物油は軽油やガソリンを常圧蒸留した留分から精製するので不純物もあるし粘度もある。
鉱物油が燃えた場合の煤と軽油が燃えた場合の煤に違いはありますよね?
鉱物油は重質留分なので煤もベチョベチョだとしたら?
Gr.III鉱物油とて不純物はまだまだあるので、この差がDPFセンサーに付着する煤の量が安定しない原因なのでは?
完全な鉱物油ならより粘度の高い煤が溜まるのでDPFセンサーにはより早く煤が溜まるはず。
部分合成油故にどっち付かずで挙動が不安定。
当然鉱物油(VHVI)よりはマシですが、当初想定していた鉱油割合に比例してDPF再生間隔が短くなる説は成立しなさそうです。
実際に発生している煤量は比例していそうですがセンサーに付着する煤が安定しないので結局上限の600kmまで毎回走り切れそう。
センサー上の煤が減る条件は排気温度が高温の低負荷時なので街乗りだけひたすら繰り返すような乗り方では400~500km位で再生に入る可能性もありそうです。
また、剥がれた煤はDPFに引っ掛かっている筈なのでセンサーが測っている煤量とDPFに溜まっている煤量の乖離もあるかもしれません。
実際の煤量はMobil1と比べると多いはずです。
ちなみにこのオイル自体のフィールはとても良いです。
何ならMobil1より滑らかで低粘度オイルらしく軽快に回ります。
ディーゼル故高回転は判りません。
これはシェルとモービルの差のような気がしますが、やはりディーゼルエンジンは体感だけで選んではいけない感じですね。
今回はDPF再生3回目までの経過観察でした。
次回は3000km超えでオイルの寿命が来ているか?
あるいはDPF再生10回の6000kmまで持つのか?
燃料希釈を考えると10回再生まで乗るのは怖いw
どちらかで報告します。
【余談】
FCR-062(PEA)は排気系の煤には効果ありますが、EGRの煤はベチョベチョになるので再起不能になります。
EGR系統は高温にならないので煤は燃えませんからね。
ガソリンエンジンには超効果的ですが、ディーゼルは使用不可と思ってください。
私は速攻でEGR詰まらせましたw
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