最近よく聞く「LSPI対応オイル」
LSPIとはLow Speed Pre Ignitionの略で直噴ガソリンターボ車で低回転高負荷域で起こるノッキングのことだそう。
燃焼室のカーボンとオイルの清浄分散剤に含まれるCa系添加剤が反応してノッキングを起こすらしい。
通常のノッキングと違いピストンリングとか2ndランド近傍で起きるのが特徴。

(エクソンモービル本国サイトから引用)
発生頻度は
6万回転に1回程度、ということだけどイメージしづらい…
低回転高負荷時が6万回転分ってことですよね?
トヨタはこの
問題提起を10年以上前に行っていたらしく、自社オイルは対応済み、API規格もSN Plusから既に対応済みになっています。
清浄分散剤をCa系からMg系添加剤やMo系添加剤に転換するとLSPIが抑えられるようです。
カーボンとCa系添加剤以外にもLSPIの要因はある筈ですが、確実に要因から外せるCa系清浄剤から対策したって感じでしょうか。
補足
Mobil1 ESP(5W-30SP品)やShellヒリックス(0W-20SP)はLSPIに対応させながらMo系添加剤が0ppmという配合もあったりします。
Ca系添加剤を減らしてMg系添加剤を増やすというのはLSPI対策には定石のようですが、Mo系添加剤はその限りでは無いみたいですね。
Mo系とCa系の組み合わせでLSPI減る、みたいな記述もありましたが。
こういう配合を見ると下手にオイル添加剤入れられないです。
特にMgとMoは比率が変わるとLSPI増えるような文献あるので注意です。
私は添加剤嫌いなので入れませんけど。(昔は大好きだったんですが)
閑話休題
以前0W-20の検証をした際にGRヤリスにはGRスープラ純正の0W-20 C5がいいんじゃないか?と書いたのですが、スープラ純正オイルはAPIはSN認証なのでLSPI非対応、GRヤリスやGRカローラには使えませんでした。
配合はCa系添加剤が多くて、Mg系添加剤ほぼゼロとSN規格時代のそのまま。
中身はBMW LL-17FE+ですしね。
直噴ターボだからBMW製とは言えLSPI対応してないとマズい気がしますが…
他で対応できてるのかな?
トヨタが10年以上前にこういう問題が起きますと技術学会で提起しているのに、ACEAはLSPIの対応が遅れています。
最新のACEA C6はLSPIやチェーン摩耗などSP規格とC5を合わせたような規格ですが、今のところトヨタとGMとフォードとMBくらい?
ヨーロッパで販売しているGRヤリスはAPI SPオイルが指定。
APIのLSPI試験のエンジンはフォードの2L直噴ターボ(エコブースト)なので、少なくともフォードとトヨタはLSPIの発生がある。
なのにAMGのA45のエンジン(M133)やタイプRのK20Cなどハイパワー2L直噴ターボはSN規格やACEA品でLSPI非対応なものが多いです。
当のトヨタも8NR-FTSはSN品が使える謎。
何となくピストンリング(トップリング)の使い方でLSPIの発生に差が出てるような気がしますが…
さて、本題のLSPIに対応していて、GRカローラに良さそうなオイルですが、
先にも書いた通りAPI SN Plus以上またはACEA C6が必須になります。
ACEA C6は国内だとユニオパールとスバル純正のレ・プレイアード・ゼロ(トタル)くらいしか無いので実質API SN Plus以上が対象。
この1年間調べまくった知見を元に選んだのは以下6選。
価格はネット通販最安値(ペール缶を4L換算含む)で表記しています。
候補1
トヨタ純正 0W-20 SP EMGL製 3000円(4L)

トヨタ純正で間違い無いやつですが、
SNからSP規格になってGTLベースからVHVIベースになりました。
レクサス純正も同様コストダウンですよね。残念。
トヨタ純正でGTL基油はディーゼル用の0W-20 C5とDL-1 0W-30を残すのみとなりました。
0W-20 C5使いたかったのですが、ディーゼル用だしACEA C5だからLSPIに対応してる可能性が低いです。
ディーゼルも灰分の問題があるので成分的にLSPI対応オイルに近い気はしますが。
候補2
トヨタ純正 GRモーターオイル エンデュランス 0W-20 11000円(4L)

API非適合ですが、SP相当品、LSPI対応です。
GRヤリスやGRカローラ用ですからベストチョイスではあります。
カタログにも載ってますからね。
エネオス製でVHVI+ベースらしいですが、いかんせん高い。高すぎる。。
GRオイルの白缶はNA用なのでターボ車には使えません。(白缶はポリマー入り)
候補3
日産純正 ストンロングセーブX 0W-20 SP 3200円(4L)

ミニキャブに使って非常に良かったのですが、かなり柔らかくプジョーには怖くて使えませんでした。
こちらはSP規格になってもGTL基油のままです。シェル製。
日産のエコカー用でしょ?と思ってたのですが、なんと400RやRZ34純正指定はコレでした!
VR30DDTTはタービンスピードが22万rpmってことなのでタービン保護にも良さそう。
慣らしが終わるまではトヨタ純正で乗るつもりですが、次の交換はこれの予定。
候補4
ペンズオイル プラチナム 0W-20 SP 3200円(4L)

シェル、ペンズオイル、クエーカーステートは中身は大体一緒です。GTL基油でシェル製。
そしてペンズオイルとクエーカーステートはGTLベースオイルが殆ど。(一部鉱物油あり)
その中で一番高性能なプラチナムでもこの価格。
日産純正もシェル製GTLで似てるかも?と思ったのですが、日産純正は粘度指数240で全くの別物っぽいです。
ペンズオイルは粘度指数168なのでレスポンス重視なら日産、耐久性重視ならペンズオイルでしょうか。
候補5
シェルヒリックスウルトラ SP 0W-20 ACEA C5 6500円(4L)

API SPもACEA C5も認証取得していてフェラーリ認証オイル!
国内製造品はフェラーリ認証とACEA無し。これは香港製?(タイ製でした)
こちらも当然GTL基油です。案外高くないのでありかも?
シェルヒリックスウルトラ=ペンズオイルウルトラプラチナなので、上のプラチナムはこれより下のグレードになります。
候補6
Mobil1 0W-20 SP 5000円(4L)

困ったときのMobil1
ESPは残念ながらVHVIベースになってしまいました。
価格は相変わらず高いままなのでGTLじゃないMobil1も何だかなぁ?ってことで除外。
0W-20のSPはまだGTL50%を保ってます。(確かSNの時は60%だったけど)
SP認証の0W-20ならかなり数はあるのですが、やはりカーボンの問題も考えるとGTLとPAOが良いでしょう。
SP規格のLSPI検査は新油時です。
しかも1回のテストでLSPI発生回数8回以下、テスト平均で5回以下が合格条件。
つまりはLSPIが多少発生していてもテストには合格してしまう…
次のSQ規格では古オイルでのLSPI試験が追加になるようなので条件はかなり厳しくなりそうです。
使用後のオイルのLSPIを考えた場合、カーボン発生量の差も重要になってきそうな気がします。
鉱物油ベースだとカーボン発生量も多いですからGTLとかPAOの優位性がまた出ますね。
トヨタのガソリン用オイルがGTLに戻ることに密かに期待してます。
チューニングカーっぽいオイルも探してみました。
スノコのBRILLシリーズはSDSによるとホントにエステルかPAOベースのようです。

しかも4L1万円以下でそこまで高くない。
これは良いかも?と思ったのですが、残念ながらAPI適合品無し、LSPIも当然非対応。
ワコーズのトリプルアールとか4CRもPAOベースですが、API非適合。
モノ自体は良さそうですけどね。
スノコはSvlet以下シリーズはVHVIベースで高めなので、どうせ買うならBRILLが良いと思いますが、スノコとかモービルとか韓国製のVHVI使ってないですよね?(自社製)
そこの差も気になります。
日本で充填しているメーカーでもベースオイルを本国から輸入している場合、国内で流通しているVHVIとは異なるVHVIが使用されていると思います。
VHVIと言えどピンキリあるような気がしてます…
カローラ納車されたら上の6つは試してみるつもりです。
5-6月生産という話から進展ありません。
噂によるとまだキャンセル次点の商談中らしいです。
プジョー売れてしまいましたし待ち遠しい。
【続編】
LSPI再考