このブログでも度々登場するGRオイル。
GRモーターオイルは主に3種類あって
・GRモーターオイル(白缶)
・GRモーターオイル(黒缶) 0W-20
・GRスープラ用 C5 0W-20
白缶のサーキットがNA用、白缶のツーリングが割と古いエンジン用、黒缶エンデュランスはGRヤリスやGR86など最新の0W-20指定車全般、GRスープラ用はGRスープラ他8AR-FTS、8NR-FTSなど最新ターボ車に使えます。
エネオス製の白缶と黒缶
シェル製のGRスープラ用(BMW純正)
GRオイル適合表

8AR-FTSは2Lターボエンジン(クラウンとかレクサス)で、8NR-FTSは1.2Lターボエンジンでこちらは現行カローラ(前期)とかC-HRに搭載されています。
この表で気になったのは8NR-FTSエンジン。
このエンジンを開発したことでトヨタはLSPIの問題提起をしていたはずなのですが、このエンジンはLSPI非対応のGRスープラ用オイルが使えます。
また、その時に開発した
オイル(ECO TURBO 0W-20)の記事が自動車技術会のホームページにあったのですが、いつの間にか見られなくなってしまいました。
LSPI自体検索してもあまり情報が出ません。
私のブログが前の方で出てくるほど少ない…
スープラ用オイルはACEA C5とAPI SN規格に適合しているオイルです。
SN規格品はLSPI非対応なので清浄分散材のCa成分が多いです。(1800ppm程度)
LSPIはCaとカーボンが反応して発生するということでSP規格品はCaは概ね1000ppm以下になっています。
SP品はCaを半減させる代わりにMgやMoで代替しています。
LSPIに非対応なのにLSPIを警鐘した8NR-FTSエンジンがSN規格のこのオイル対応とはどういうこと?
気になったのでトヨタに聞いてみました。
Q:
貴社製GRオイルでGRカローラ用オイルは0W-20エンデュランスのみ対応となっていますが、GRスープラ用SN 0W-20 C5が対応しない理由はLSPI非対応だからでしょうか?8NR-FTSは小排気量にも関わらずSN 0W-20 C5が対応となっています。LSPIは小排気量ターボで対応が必要とのことでしたが、8NR-FTSがG16E-GTSと対応が異なるのはどういう理由からでしょうか?
A:
GRスープラのエンジンオイルは、製造元からの指定がございます。
GRカローラにGRスープラ用SN 0W-20 C5が対応しない理由は、GRカローラ、GRスープラのどちらもハイチューンエンジンであり、製造元双方の開発オイルを入れ合う推奨はしていないことが、意図となります。
また、8NRのようにダウンサイジングターボに関しては、そこまでの制約をするものでもないとの考えはございます。
ただし、8NRエンジンを搭載している車両においても、取扱書に記載の指定油脂を使用いただくようお願いしております
製造元双方の開発オイルを入れ合う推奨はしていないことが、意図となります。
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↑現代文の成績は割と良かった私でもこれは読解力を要します。
紳士協定で入れ合うことを勧めない→入れられるけど入れないでね!ってこと?
とりあえず8NR-FTSはGRオイルのツーリングの0W-30も5W-40も対応してるので何でもいいと。
石油学会の資料だとダウンサイジングエンジンでLSPI発生って書いてあるけど?
8AR-FTSは2Lターボだからそこそこ出力ありますけどね。LSPIどこ行った…
LSPIという現象は実際に起きるのは間違いないけど、エンジンオイルに起因しない可能性でも見えてきたんでしょうか?
最初に騒いだ割にトーンダウンしているように見えます。
ACEAがLSPI対応をちっとも早めないのも実際には原因が違うことを知っていた?
ACEA C6はLSPI対応していますが、欧州車は相変わらずC3とC5のままですし。
今年の後半に出てきたSP品はCaが1300ppm程度入っているものが増えてきたような印象あります。
添加剤メーカーの調合も変わってきた?
【余談】
進化型GRヤリスの海外動画でトヨタの開発者がLSPIでピストン壊したって言ってました。
G16E-GTSの開発段階ではLSPIの現象は判ってたはずだから、トヨタがLSPI非対応のオイルを入れる訳が無いのでLSPIに別の原因があるってことですよね。
8NR-FTSよりG16E-GTSの方が開発が先だったら別ですが。
閑話休題
思いっきり本題からズレました。
GRモーターオイル エンデュランス 0W-20のレビューです。
GRヤリスやGRカローラのG16E-GTSに最適化されたLSPIに対応したエンジンオイルです。
エネオスとトヨタが考えた最高峰のオイル。
このオイルはVHVI+をベースオイルに、エステル添加、ノンポリマー処方になってます。
エネオス製、エステル添加ってことであまり期待していなかったのですが、実際に使ってみた感想も想像の通りとなりました。
このオイルを自動車メーカーと石油元売りがドヤ顔で売ってしまう現状こそ日本がオイル後進国である証左になってしまっています。
まず、新油時ですが、エステル添加らしく滑らかな回転フィールです。
高回転がとても滑らか。MOTULを思い出します。
これが最新オイルか!と思ったのも束の間、200km位でエステル感が減ります。
先日リンクサーキットを17周(約20km)走行したところエステル感は完全に消えました。
この時の走行距離はまだ500km。油温も120度以上程度でこれ。
エステル感は消えたもののVHVI+でも最高峰の鉱物油を使っているらしく、4000回転位までは変な感じもありませんが、高回転まで回すと変な音がします。
直接手で触れても潤滑性が残ってる感じがしません。
(そもそも今のオイルは新油からあまりヌルヌルしないけど)
ベースオイルは生きてるけど潤滑剤とか添加剤が良くないのかもしれません。
その後、リンクサーキット2回目走って累計走行距離は2000km弱で完全に終わってしまいました。
リンク2回走行と言ってもトータルで24周しかしてません。(36km、しかも半分はクーリングラップ)
FSWで換算したら1回の走行会の半分以下です。
サーキット走行36km
高速利用 700km位(リッター14~16km/Lエコ運転)
残り1000kmが街乗り。
耐久力無さすぎです。エンデュランスとは名ばかり…
ノンポリマーのエンデュランス(黒缶ターボ用)でこれじゃポリマーたっぷりのサーキット(白缶NA用)なんてどうなっちゃうんでしょうか?
白缶サーキットは粘度指数310、黒缶エンデュランスは粘度指数168。
ノンポリマーの黒缶でこの耐久性だとポリマー入り白缶の耐久性は…
ツーリングの0W-30とか5W-40の方がマトモかもしれません。
こういうオイルの存在自体は別に悪いことじゃないです。
エステル使った一発勝負の滑らかオイル、別にあってもいいと思います。
新油時はスムーズだし、パワーも出てます。
でも、これは自動車メーカーが販売している最高峰オイルです。
メーカー指定の1万km走れない低寿命オイル。
アメリカでは長寿命オイルを高性能オイルと定義するのでこれは低性能オイル。
これ海外で販売して欲しいですね。どういう評価が下るのか気になります。
日本みたいに3000km文化が定着していない世界でこれが通用するとは思えないけど。
3か月3000kmという交換サイクルも日本独自の文化ですよね。
シビアコンディションという殺し文句でクルマ好きを洗脳してきました。
実際は鉱物油しか手持ちが無いから3000kmで交換せざるを得ないオイルを何とか売ろうとここまで文化を作ってしまった。
まあ、実際3000km持たないですし。言ってることは合ってます。
長寿命のオイルを作ろうとしない文化。
自動車メーカーもターボ車1万km、NA車1.5万kmと交換サイクルを車体に記載しているにもかかわらずディーラーでは3000~5000kmで交換させる矛盾。

BMWは20年以上前から2.5万km交換、VWやAUDIも1.5万km交換で実際その通りに交換サイクルになっています。
その分メーカー純正のオイルも高性能なものになっています。
鉱物油なんて使ってませんよ。MBは使ってるか。
まとめ
トヨタが誇る最高性能オイルはそこら辺で売ってる(言い過ぎ)エステル配合低寿命オイル。
ダメなオイルとは言いませんが、耐久性も無いのでサーキット走る人にはおススメしません。
街乗り3000kmで交換できるセレブ向け。(16000円)
GRエンデュランスはGR86ならいいと思いますが、それより安いGRスープラ純正オイルをお勧めします。
【追記】
GRスープラ純正オイルがSP規格に適合しました。
LSPIに対応したのでGRヤリス、GRカローラに使用できます。
ディーラーで交換するならこちらの方がお勧めです。
パーツレビューも書きました。