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2024年11月08日

LSPI再考

LSPI再考 以前にもLSPIについてブログで書きましたが、もう一度書いてみます。
前回のブログはこちら
また、長いです。需要あるかな…





まず、LSPIとはLow Speed Pre-Ignitionの略で直噴ターボ車の低回転高負荷域で発生する現象です。
トヨタの論文(リンクが切れて探せない)によれば発火の原因はエンジンオイルに含まれるCaスルホネート。
炭酸カルシウム(CaCO3)が熱分解によりCaOとCO2に分解する際の温度(730℃?)が発火源になるらしくCaを半減させることでLSPIの抑制が出来るそう。


いわゆる低速ノック(1000回転4速とか)のガクガクするのはLSPIではありません。
たまに添加剤でLSPIが減りました!ってレビューの人が居たりします。
それはLSPIじゃないです…


また、LSPIが普通のノッキングと違うのはピストンの2ndランド付近で発生すること。

2ndランドはトップリングと2ndリングの間の空間です。
トップランドでは無いので燃焼室側ではありません。


モービルの画像を貼りますが、トップランドは残っていて2ndランドが無くなってます。

普通はこんな綺麗にブローしないでしょうからブローしたピストン見てもLSPIが原因か判断は出来ないと思います。
鍛造ピストンならこんな感じでキレイに壊れるんでしょうか?

燃焼室で起きていないことから圧縮とは関係ない爆発が2ndランドで発生→燃焼室のノッキングのように力が逃げる方向が無いからピストン破損→ブロー
となるのだと思います。

一般的にピストンリングは3組セットで、一番上のトップリングがコンプレッションリング、一番下はオイルリング、真ん中の2ndリングはコンプレッションリングのサブとオイル油膜を整える役割があると思います。



LSPIが発生しそうなスズキの1.4Lターボも何も対応してませんし、トヨタの1.2Lターボエンジン(8NR-FTS)もLSPI非対応オイルが使えます。
どちらもSN規格のオイルが使える謎。
これはトヨタに確認したので取れてます。
論文で小排気量直噴ターボでLSPIが発生するって言ってなかった?


トヨタのLSPI関連の記事が検索で引っ掛からなくなってしまったのでソースが出せなくなってしまいました。
LSPIに対応した最初のトヨタ純正オイル ECO TURBO 0W-20関連の記事も消えました。
エクソンモービルとの共同論文だったのですが画像すらgoogleで出ない。
オーリスの1.2L直噴ターボ用にこのオイル開発したって言ってたのに…
何らかの「都合」で消した模様。

とは言えLSPIでエンジンブローするという話は進化型GRヤリスの動画でトヨタのチーフエンジニアが話をしていたのでG16E-GTSでLSPIが発生するのは間違いなさそう。


GRヤリスのG16E-GTSはBMEP(正味有効圧力)が凄く高い(28.7bar)のでそこが関係あるのか?
とも考えましたが、AMG A45の2LターボはG16E-GTSより高いBMEP(30Bar以上)ですがLSPIの対応について聞いたことが無い。
G16E-GTSは3気筒なので気筒毎排気量はむしろ大きいので小排気量でBMEP大だとするとA45のエンジンの方が余程条件悪い。


APIのSP規格のLSPI試験(シーケンスIX)のエンジンはフォードのエコブーストエンジンで2L直噴ターボです。
トヨタの言う小排気量直噴ターボという訳でも無いし、A45のM133もFL5のK20Cも同じ2Lターボなのに対応オイルはSN規格かMB229.5(ACEA A3/B4)のままでLSPI非対応。
プジョーも1.6LターボでしたがLSPI非対応オイルでした。(ACEA C1)
ノウハウのあるメーカーは他の方法でLSPI対策が出来ているとしか思えない。



モーターファンの記事によるとピストンリングは回転域によってトップリングと2ndリングの役割が変わるようです。

モーターファン記事より引用

記事通りならAの低回転域ではトップリングと2ndリング両方でシールしているようですが、トップリングが開いたり閉じたりすると未燃焼ガスが2ndランドに入り込んで密閉されて爆発→LSPI発生となるのですかね?
トップリングの設計思想によってLSPIの発生有無があるような気がします。
トヨタとフォードはフリクション低減を狙ってトップリングが弱めだったりするのでしょうか?


何となくのイメージですけど、低回転低負荷域ではピストンリングは前後左右均等に潰れていて、高負荷になった瞬間にピストンリングが片方に寄る。
これによってトップリングと2ndリングの隙間にCaとカーボンと未燃焼ガスが入り込んで密閉される瞬間にLSPIが発生する場合がある。
中回転以降はピストンリングの動きが変わるので上記のような動きはせず、トップリングと2ndリング間で燃焼室っぽい空間が出来る状況が無いからLSPIは発生しない。
想像ですけど。


LSPIは燃焼室でも発生するようでそれはプラグの熱起因で発生するようです。
プラグの熱でカーボンが発火→点火という感じ。ソース
この場合は燃焼室内なので2ndランドで発生するLSPIよりはダメージは少なそうです。


CaがLSPIの原因になると言うのは他の物質より反応温度が高いからです。
他の物質は500℃以下で燃えるので大事には至らないけどCaの反応温度が700℃以上なのでこれが発火源になってカーボンと爆発する。

だとするとタングステンのようにCaより反応温度が高い物質はよりLSPIのリスクは増えそうな気がしますが、生憎とLSPIの文献でタングステンが出てくるものが見当たらない…


と思っていたらアフトンケミカルのパテントを発見!
180項でチタン化合物を入れるとLSPIの減少確認、182項でタングステン化合物でも同様にLSPIの減少を確認とのこと。

パテントには反応温度の高いタングステン酸カルシウム(CaWO4)の記載もあるのでタングステン化合物の影響は無いようですね。
300ppm入れると効果ありとのことですが、LSPIが半減するだけなので根本対策にはやはりCaを減らす必要がありそう。
チタン化合物もタングステン化合物もLSPIに悪影響は無いと言えますね。


138項以降にはモリブデンやポリマーについても記載あります。
参考文献もあるしこれは添加剤マニア垂涎のパテントですねw

そしてこのパテントのLSPIのエンジンベンチはGM製2Lターボエンジンでした。
フォード製じゃないのか…


ひとまずGM、フォード、トヨタの三社はLSPIが出るエンジンを作っているということですが、トヨタの直噴ターボはG16E-GTS以外はSN規格品(LSPI非対応)が使えます。

8AR-FTS(2.0L)   新車充填はLSPI対応品だけどSN品使用可
8NR-FTS(1.2L)   新車充填はLSPI対応品だけどSN品使用可
T24A-FTS(2.4L) 新車充填はSP品だけどSN品使用可
G16E-GTS(1.6L) 新車充填はSP品でSN Plus品まで使用可、SN不可

G16E-GTSだけはSN PlusとSP規格使用可とマニュアルに書いてあります。

GRヤリス取説から引用 G16E-GTS(1.6L)
「API規格SP/RC、SN PLUS/RCか、ILSAC規格GF-6Aに合致したオイルをご使用ください。」


クラウン(クロスオーバー)取説から引用 T24A-FTS(2.4L)
「API規格SP/RC、SN PLUS/RC、SN/RCか、ILSAC規格に合致したオイルをご使用ください。」


エンジンの製造時期に関係あるかと思いましたが、最新のT24A-FTSはSN品が使えます。


G16E-GTSでもうひとつ気になるのは0W-20以外の粘度の記載がありません。
「0W-20 が入手困難な場合は、5W-30 もご使用いただけます。」
普通この記載があるはずですが、G16E-GTSではこれが書いてない。
あくまでもLSPIに対応している0W-20しか認めないスタンス。
ヤマハが設計していればこんなに面倒なエンジンにはなって無かった気がするけど…


LSPIは騒いだ割に全然気にしていないメーカー多数なのが気になりますね。
「ピストンリングの設計がショボいからLSPIが起きるんだよ!」とか中の人の意見が聞きたいなぁ。

ブログ一覧 | オイル | 日記
Posted at 2024/11/08 12:47:18

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この記事へのコメント

2024年11月8日 21:18
最後の、
"LSPIは騒いだ割に全然気にしていないメーカー多数なのが気になりますね。"
について。

素人意見でしかないのですが、これが全てを物語っているような気がしてて、不安要素を煽って利権に結び付けているだけのような気がして。。。

なぜなら世の中にはオイル管理のズボラな人も多く、SPでない安オイルを使っている人も少なからずいるはず。
(ミカドオイルのブログによれば鉱物油ほどLSPI発生確率が飛躍的に上がる)

そしてLSPIは一般日常走行でも発生しうる。

なのに被害報告が何年経っても一切聞こえてこない妙。(ラボでの実証実験は多数あるのに。)

まぁ日本車は点火進角を遅らせてECUレベルでも対策しているようで、そのお陰もあるかもしれません。
コメントへの返答
2024年11月8日 21:29
一番騒いだトヨタがトーンダウンしたのが気になりますね。
だけどG16E-GTSに関しては相変わらずLSPIを語る謎。

8NR-FTSでLSPI云々の話はトヨタに聞いてみたのですが、「8NRのようにダウンサイジングターボに関しては、そこまでの制約をするものでもないとの考えはございます。」
だそうです…
2024年11月13日 16:17
お初でございます。最近ブログを拝見して勉強させていただいています。G16Eはいろいろと面倒ですよね。
私のヤリスは実際にノッキングが発生していました(LSPIによるものか否かはわかりませんが)。ECUチューニングをしようとしたところ、やはりノッキングを指摘され、最終的にはオイルを交換してノッキングは治まりました。そのお店のお勧めのHKS SUPER ZERO RACING 0w-30です。それまでは何も考えず純正オイルを使い続けていました。そのチューナーさんによるとGR Enduranceでも一度熱が入ってしまうとLSPIは発生するそうです(GRオイルを作った人がそのように言っていたそうです)。
最低でも半年に1回はオイル交換をしてきましたが次の交換時にどのオイルをいれるか悩みますね。今のところHKSのオイルを継続使用しようと思っています。早いところ使用油でもLSPIの発生を計測するSQグレードが出てほしいところです。
コメントへの返答
2024年11月13日 18:52
electraさんはじめまして
コメントありがとうございます。

HKSのオイルで収まったということはLSPIと関係ありそうですね。
GRオイルは案外ポンコツなので仕方ないと思います。
何故か評判いいですけど…

ベースオイルがPAOかGTLのものを使用すればカーボン発生量が減るのでSP規格添加剤と併せて更にLSPIは減少すると思います。
2025年5月10日 9:50
こんにちは、トヨタに確認まで!と思いながら、楽しく見させていただきました。

あまり騒がれなくなったというLSPIについて、興味が湧いたのでちょっと調べてみたのでコメントします。

千葉大学がLSPIとオイル添加剤の関係を論文に書いていて、そこから得た内容です。

過給圧が高いほど発生しやすい。論文ではIMEPでの条件分けですが、イメージの掴みやすさ優先で。参考までに論文での評価過給圧は2.0kPa〜(絶対圧)ですね。

低回転ほど発生しやすい。論文では1500rpmと1750rpmで予備実験していて、1500rpmが明らかにだめ。

EGR率を上げると発生しにくい。

Ca多いと発生しやすい。
Mo多いと発生しやすい。
Mnは影響がない。


論文からは以上で、これらの条件からオイル関係を除けば、高圧縮比かつ1500rpm付近の低回転域で高ブースト、さらに出力最優先でEGRやらない変なエンジン…G16E-GTSが、とてもLSPI対応に苦労したと予想します。

GRという特殊なユーザーのための特殊なエンジンだから、世に出せたのでしょう。逆に言うと、殆どの直噴ターボはLSPIに対してオイル以外で十分マージン取ってる⇒問題にならない のだと思います。

誤解を恐れずに言えば、LSPI対策は1500rpm程度の低回転域で加給圧を上げすぎないように制御してやればよいだけと思います。
コメントへの返答
2025年5月10日 13:04
コメントありがとうございます。

最近のGRヤリスの動画だと制御で消せるようなことを言ってたのでご指摘の通りECU側の制御でどうにかなってしまったようですね。

トヨタが公開していたLSPI関連資料が一切見られなくなったのがある意味答えなのでしょうね。
「そんな必要無かった」と。

8NR-FTSでLSPIを提唱したのでオーリスの初期型は実はLSPI制御が入ってないのでは?なんて危惧しているのですが…
2025年5月10日 18:41
SNオイルで大丈夫&8NR-FTSでの発生確認を公表ということなので、開発段階である程度マージン入れてるのだと思います。もし未対策としても、アクセル全開にしたらAT変速制御でエンジン回転上げるので、実用上LSPI発生条件に陥らない気がしました。

色々公開して動いたのはLSPI対応オイルが当たり前になって、もう少し研究が進めば、更にダウンサイジングターボを魅力的にできるし、トヨタとして優位に立てるという表に出ないノウハウもあったのかなと。ただ、今やそこに環境規制対応車としての道が無く、この状況なのではないでしょうか。
コメントへの返答
2025年5月10日 18:46
8NR-FTSの初期型にMTの設定があったか判らないですが、確かにATならシフトダウンされるので影響は回避出来そうですね。

MTの小排気量直噴ターボとなると欧州系の方が先行していたと思うのでドイツフランス系は最初から知見があったのかあるいは知ってて黙ってたのか…
2025年5月10日 21:28
返信ありがとうございます。

もともとダウンサイジングターボで先行してたドイツフランス系は、知ってて黙ってた可能性が高いと思います。認証オイル制度もありますし。例えばPSAの認証オイルは低SAPSが基本みたいですが、それすなわち低Caとなるようです。(AI回答ですが)

当然、オイル以外の知見も沢山あって、それにより例えば308GTiの1900rpmでトルク33キロを実現してると思います。G16E-GTSは性能曲線見る限り2000rpmで25キロです。EGRの無いエンジンはハンディ大ですが、この差はそれ以外にも何かありそうですね。
コメントへの返答
2025年5月10日 22:06
PSAもVWもディーゼル兼用オイルのためSPAS規制があります。
PSAは2017年頃からGPFを搭載したので結果的にガソリンもSPAS規制が必要になりましたが、Caに関してはLSPI対策ほど厳しくは無いようでした。
PSA純正のTotal ineo first はCaは1200ppm以上入っていたようです。
もちろん以前のように2000ppm以上入っているわけではないので規制はされていますが。

308GTiは私も乗っていましたが低速トルクはG16E-GTSよりずっとありましたね。
ギア比も良かったのですがBMW製としてはベスト4気筒だったかもしれません。
EGRが関係あるか判りませんが…
2025年5月11日 10:51
308GTiの加速感!よさそうですね、体感してみたいです。

EGRは件の論文にて、LSPI対策になるという結果でした。EGR無しよりEGRを入れてパワーが落ちた分を加給圧UPで補う(同じIMEPにする)方が、LSPIの発生を抑えられていました。一般的には高負荷時にはEGRしないと説明されてますけど・・・。

ヤリスがマイチェン後パワーアップしましたが、低回転域のトルクをまったく上げなかったところと、オイルにまで対応を要求するところから、LSPIが厳しいのだと予想しました。まぁ、G16E-GTSはスポーツ走行する際の高回転側出力&レスポンス重視で良いと思ってます。

なんだか長々お付き合いいただいてしまって、ありがとうございます。コメント内容のスタンスが支離滅裂な感もありますが、やりとりするなかでなんとなく整理できてきました。雑談ということでお許しを。

オイル要求の無い直噴ターボエンジンについては、オイルのLSPI対応は安心を買うぐらいで捉えて良い気がします。センサー類が劣化して、制御が怪しくなっても対応できるキャパが広がる的な。そんな状態になると他の面からもエンジンが不調になる気がしますけどね。
コメントへの返答
2025年5月11日 17:36
EGRを回せば燃えにくい圧縮空気になりますから確かにLSPI対策になりそうですね。

言われて改めてG16E-GTSのトルクカーブを見ると変なカーブです。
3300回転以下が1次近似になってます。
通常2次近似っぽいカーブになる筈なので意図的にトルクを絞っているようですね。

実際はカーブに出てないトルクの谷がありますが、それは共振対策だったりするのかな?と思うところはありました。
3気筒なので他のエンジンよりも大変そうな印象はあります。

プロフィール

「日米関税対策でアメリカ製のMobil1とペンズオイルを輸入しようw」
何シテル?   08/14 19:03
GRカローラでサーキットを走ってます。 オイルの検証も色々してます。 焙煎小屋を建ててコーヒー豆の焙煎もしてます。
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