
先日の
SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICSコンセプトの話題では話が途中から脱線してしまったので(^^;)、改めて第一弾の
G-VECTORING CONTROL(ジーベクタリングコントロール、GVC)
について。
これは車速と舵角からドライバーの運転意図を汲み取りつつ、予測シミュレーションのモデルに当て嵌めて四輪の接地荷重を最適化すべくエンジンのトルクを制御するもの、という理解です。
エンジンのトルク制御はまぁ手段であって、トルクを絞れば荷重は前へ、増やせば後ろへと荷重移動が生じるワケで、山門教授の理論に拠る最適な前後の接地荷重配分にクルマ側が制御してくれることによって、ドライバーがよりコントロールし易い(Gが丸く繋がり易い)クルマが出来上がる、ということのようです。
マツダの説明や試乗会で体感したレポーターの感想を総合すると、どうも
上手なドライバーが運転するとそうなるという挙動をクルマが示すようですね。つまり
あまり上手くない人wにもまるで自分が上手くなったようにクルマが動く、ということで、レポートの中には「ONにするとOFFのときより自然と速度が上がった」というものもありましたから、正にマツダが言う通り「エンジン制御によってシャシー性能を向上させる技術」という謳い文句に偽りはないようです。
この記事を最初に読んだ時、G-VECTORINGという言葉から左右駆動力制御が想起されたことも合さって、単なる前後方向の駆動力制御だけで「そんなに劇的な(=わざわざ試乗会を開くほどの)効果があるんかな?」と直感的に思ったんですが、複数のレポートを読み進めて段々と中身が解かってくると、そうか!なるほどと
思い当たる節も出てきました。
例えばいつも走っている首都高の中速コーナー。大体いつも同じペース±5km/hくらいでノーブレーキで進入し、i-DMの走行タイプ1→走行タイプ2の青ランプが点いて(笑)クリアしていくんですが、実はいつも同じように走っているつもりでも、
何かの拍子でクルマの挙動が違って感じることがあったんです(^_^;)。
i-DM青ランプはいつも点いているんですが「あ、今日はイイ感じで曲がれた」と思うときって旋回Gの生じ方が穏やかでクルマにグラッというロールを感じない/体感の旋回Gが小さく感じる上に、青ランプ点灯のタイミングもワンテンポ早いとか。。。
後でG-Bowlログを確認してみても顕著な違いは見出せず、旋回Gの大きさや立ち上がり方など、グラフとの相関関係もイマイチハッキリしなかったんですが、確かに体感は確実に違っていて「一体何が違うのか?」という疑問を持っていました。
素直に考えればハンドル操作の違いなんですが、出来たときと出来なかったときの違いは体感が覚えているものの、運転操作のナニがどう影響したのかは、ドライバーが良く理解出来ていなかったというハナシ(苦笑)。
GVCの理屈を読んで、ドライバーのアクセル操作でコーナリング中も微妙に前後荷重をコントロールするなんていう話は当然、ボクも知っていたワケですが、一部のレポートにあった「同じペースで走らせても、GVCのONとOFFとで
後席の乗員の身体の動きが全く違った」という話に引っ掛かりました。
そして後日、ちょっと
アクセルワークを意識して走らせてみたんですが、改めてなかなか面白い事が色々と解かりました(^-^)。
速度一定で曲がる中速コーナーって、アクセルはまぁ巡航状態と同じなためペダルにはほとんど「僅かに触っているだけ」という状態です。
先ずターンインの時にアクセルを完全にOFFして前輪に荷重を移しつつステアリングを入れてみましたが、例のイイ感じの挙動にはならないばかりか、あろうことかi-DMの青点灯も不安定に(苦笑)。
次にドライバーの意識としてアクセルは一定(つまりいつもの通り)で改めて走ってみましたが、例のイイ感じの挙動にはなったりならなかったり、、、
で、少しペースを上げて、つまりアクセルをもう少し踏み込んだ状態でコーナーに進入した上て、
ペダルを完全には放さずにアクセルを少しだけ戻すということをやってみたところ、なるほどクルマの挙動に変化があることが判りました。
GVCの説明では、人間の知覚できるしきい値以下(時間的には20ms(20/1000秒)以下、加速度は0.05G以下)で制御しているということですが、これだけ読むと人間が知覚できない範囲で制御したって何の効果があるのか?と思ってしまいます(苦笑)。
しかし実際にはクルマの挙動には顕著な違いが出ているワケで、こんな微妙なアクセルワークでクルマの挙動が変わるんだから、運転ってヤツは本当に奥が深い(笑)。
ボクが実験して解かった事は、コーナリング中の凄く微妙な前後荷重移動ですらクルマの挙動には大きな影響があるものの、
ポイントはどんなに少なくてもアクセルを踏んでいること。つまり完全にアクセルペダルを放してトラクション(エンジンの駆動力)をカットしてしまうとこの効果は得られないという話d(^_^)。
アクセルONでコーナーを曲がるのはスポーツ走行をかじった人には常識な話だし、アクセルの踏み込み量がそれなりに大きなクローズドコースであれば、その操作もクルマの挙動も明確ですが、一般道のアクセルをほとんど僅かに触っているだけのようなペースでも、ペダルを完全に放すことなく「緩める/踏み込む」というペダルワークでクルマの挙動がこんなに変わるのか?ということが判ったのはちょっと驚きでした。
振り返ればまだi-DMと格闘wしていた3年前、別にタイヤのグリップ限界を使い切っているワケでもない公道走行で、青ランプのコーナリングと白ランプでクルマの挙動が全然違うという事に気付いてビックリしたことがあったのですが(^_^;)、
ドライバーの運転操作次第でクルマの動きは変わるということですな。
GVC搭載車がどんな挙動をするのか楽しみにしつつも、今後も精進は怠れないと思ったのでしたo(^-^)o
因みに余談ですが、、、
先日みんこり~ご夫婦と霧降高原に行った折、日光いろは坂を走って欲しいと突発リクエストが出て一往復だけしました。みんこり~さんを後席に、ちぇんさんがリーちゃん号で追走。
コーナーでの旋回Gは概ね0.3Gだったんですが、いろは坂の下りでみんこり~さんが「凄くゆっくり走っていると感じた」と言っていたんですね。ところが追走していたちぇんさんは「コーナー毎に引き離されて付いていくのが大変だった。」と言っていて、「ウソ!あのペースなら楽勝だと思っていた」とご夫婦で驚いていました(^_^;)。
ボクのクルマに同乗していたみんこり~さんがゆっくりに感じるにも関わらず実は速いwというのの秘密のひとつに、実はこのGVCの理論が関係しているかもしれないですね。
勿論それ以外にも色々あるんでしょうが、、、A^_^;)
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SKYACTIV | 日記
Posted at
2016/05/12 15:18:22