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タッチ_のブログ一覧

2016年10月17日 イイね!

もしかして、今後のトヨタは面白いかも?と思った話

もしかして、今後のトヨタは面白いかも?と思った話ボクはトヨタが嫌いです(爆)。

タイトルに釣られてこのブログを開いた人にはなんともアレな書き出しですが(^_^;)、、、

試しに"トヨタ"というキーワードでボクのブログ内を検索して貰うと判りますが、何かの拍子でトヨタに言及する際に、別にわざわざ宣言する必要もないのに必ずというほど「嫌い」と言及しているくらい、ボクはトヨタのクルマが嫌いでした。

それには勿論、ボクなりの理由があるのですが、運転免許を取る以前からもう30年以上に渡ってそうであった上に、基本的には頑固な性格なので、ボクの人生に於いてはトヨタ車を好きになることも、トヨタのクルマを買うことも無いだろうという半ば確信を持って生きてきました。

大体、ずっと嫌いと言い続けて来た手前、今更「やっぱり好きになったので買っちゃいました」とは、とてもみっともなくて言えません(爆)。

そんな、、、ボクがですょ。d(・_・)

昨今の、そして今後のトヨタ車はちょっと面白いかも?と言い出したら、そらぁ一大事です(爆)。


キッカケはこのインタビュー記事なのですが、

日経BP:第347回 トヨタ・豊田章男社長スーパーインタビュー (その1)

ボクは前述の通り、もう偏見に凝り固まっている?というくらいトヨタ嫌いを明言する一方で、豊田章男社長の掲げる「もっと良いクルマ造り」の掛け声には大いに賛同し、個人的には応援してきました。

しかしその心情とは矛盾するのですが、いくら豊田社長が頑張っても、ボクがトヨタを好きになるほどの変化は望むべくもないだろうと思っていたんですねf^_^;)。

それはけっして豊田社長の実力を見くびっていたとか、どーせ掛け声だけで終わるだろうとか、そういった次元の考えではありません。

本質的にトヨタのような大企業が方向転換をするのは、とてつもなく難しいから、なのです。

日産でカルロス・ゴーン社長は短期間で業績をV字回復させた実績はありますが、そこには企業存亡の危機という背景がありましたし、外資という或る種の外圧もありました。

一方トヨタですが、会社業績ではリーマンショック時に一度赤字になったものの、それ以外は概ね順調であり、経営改革が必要とされるような危機的状況にはほど遠いです。

しかも、そのような背景にあって彼が掲げた「もっと良いクルマ造り」というのは業績(定量)目標ではなくどちらかといえば定性課題であり、企業文化や企業理念、哲学にまつわる領域です。つまり何をもって達成したのか?なぜ未達なのかが非常に計りにくいモノであるという点。

豊田氏は創業家の直系なので、彼が掲げた目標に表立って反目する勢力は少ないでしょうが、トヨタが、というより大企業の大組織が長年に渡って構築してきた防衛本能が、そう簡単に改革などは許さないだろう、とまぁそう考えていたワケです。

と・こ・ろ・が、、、(・_・)b

彼(豊田社長)は、そのとんでもなく難しいことをどうやら成し遂げつつあるのでは?と、日経の一連のインタビュー記事を読んで感じたのでした。

こら、認識を改めなければならんかもしれん、とね(^_^;)。

そして彼がどうやって会社を変えようとしたのか?そのエピソードが紹介した記事で語られているのですが、不覚にもこの命を賭けてクルマに乗っているというフレーズに、改めて軽い感動を覚えてしまいました(^_^;)。

社長が自ら命がけでクルマに乗っていると言及したところで、実態を知らない人には大した感銘を与えないかもしれません。ボクも豊田社長が自らレースに出場していること自体は知っていましたが、改めてそれがどんなに凄いことなのか?については認識が甘かったと言っていいでしょうA^_^;)。

天下の大企業の社長が自らレースに出る。表面的に捉えれば「本業を疎かにして趣味に興じているバ○社長」と見えても仕方ありません。実際に社内でも「あいつはいったい何をやってるんだ」という非難の声ばかりだったと言います。

しかし豊田社長曰く、自らステアリングを握ってレースにまで出た理由は「エンジニアと(対等に)話をするためのツールが欲しかった」というのです。この考え方にはグッと来ましたね(^^;)。

文系出身の彼が理系のエンジニアの専門分野で議論をすれば、如何に立場が社長であっても勝てないことは容易に想像できます。しかし個々の専門分野という局地戦ではなく、一台のクルマとして出来上がった商品を総合的に評価するテストドライバーとして一定水準を超えるレベルにあれば、エンジニアはその声を無視することは難しいでしょう。豊田社長は「これしか(手が)無かったと思います」と語っていらっしゃいますが、正にその通りだと思います。

しかし口で言うのは簡単ですが、実際に成し遂げるとのはとんでもなく難しいことです(*_*)。

お立場上、トレーニングの時間を作るのとて簡単では無いでしょうし、そもそもレースに出ること自体が命の危険を伴うワケですから、社内を説得することひとつとっても容易では無かったはずです。「命を懸ける」と言葉にするのは誰でも出来ますが、本当に身を持ってそれを実践することは、凡人には不可能です。だって一歩間違ったら死んじゃうんですょ(^^;

しかしその結果が徐々に変化として現れ始めていると、ボクはインタビューを読んで確信しました。

前述した組織改革の難しさの本質は、変化を嫌う人の心に根差しています。大組織というのはそれだけ多くの人が集うワケですから、その壁は人の数だけ強固になる道理です。逆に言えば、組織が変わるということは、そこに属する人、一人ひとりの心が変わらなければ無理なのです。

そう豊田社長は、自らが命を賭けることによって、彼の言葉が社員一人ひとりの心に響くようにしたのでしょう。

普通のw、まともな人間なら、命賭けの相手の言葉を受け止めれば、なんらか心が動くものです。しかもその彼の言葉がテストドライバーという専門職の業域に於いて相当なレベルであれば、無視することは困難です。社長という立場を超えて、です。

少し前の記事ですが、トヨタの或る社員が語ったエピソードも記事になっていました。

【第335回】 トヨタ86GRMN(開発者編・その2) P4:「章男社長は、テストドライバーとして大変なレベルです

あまりに出来過ぎで提灯記事か?と思われるかもしれませんが(苦笑)、ボクはインタビューに答えている多田氏の言葉に嘘は無いと思いました。そして豊田社長の目配せは86GRMNという特別なクルマなら納得もいったとこの記事を読んだ当時は思っていたのですが、トヨタが開発する全車種で大同小異の事が起こっているとしたら、これはとんでもないことだぞ!っとA^_^;)。

かつてクラウンがピンクになったり、アニメキャラの"専用機"と称するオーリスが出たり、といった動きを見るにつけ「豊田社長が掲げる『もっと良いクルマ』って、そーゆーことではないでしょう(T_T)」と半ば憐みを持って見ていましたが、もしボクの目から見ても"良いクルマ"が次々と出てくるような事態になったら、その影響は計り知れません(苦笑)。

一部のクルマ好きに熱い支持を得ているマツダやスバルといった規模のメーカーにも影響は及ぶでしょうが、恐らくもっとも影響を受けるメーカーはホンダでしょう。特に日本市場では。

幸いというか、マツダやスバルはその販売規模から或る程度ターゲットを絞り込んでいる上にその規模自体が大きくないので、影響は限定的になると予想するのですが、ホンダはそうはいかないんじゃないかな?っと。

例えばですが、具体的な例を挙げるともうすぐデビューするC-HR。コンパクトSUVでホンダのヴェゼル、マツダのCX-3と競合するクルマですが、その尖がったスタイルは明らかに万人受けを狙っていません。そしてかつて日産のジュークがバカ売れした事実の通りで、この手のクルマは個性的なスタイリングが市場ニーズに嵌るとヒットに繋がります。スタイリングは好みの問題もあって、やはりスタイリングを売りにするCX-3への影響も皆無ではないでしょうが、日本市場向けに1.2Lターボのガソリンとハイブリッドをラインナップする関係から、ホンダのヴェゼルにとっては脅威の筈。もしかしたら顧客をガッツリ持って行かれるかもしれません。

また別の例ですが、レクサスの上級ラグジュアリークーペであるLC500。V8ガソリンとV6NA+ハイブリッドの2ドア・4シータークーペですからホンダの新型NSXとは直接競合はしないように見えますが、もしコレに新開発のV6ターボ+ハイブリッドが載って"LC-F"なんてのが出てきてしまうと、どうなるか?(^_^;)
そしてもし!来年のルマンでトヨタが念願の初優勝を飾れば、WECマシンTS050のイメージを後ろ盾にしたレクサスのフラッグシップスポーツとなって、新型NSXには強力なライバルとなるでしょう。
元々日本では販売量が少ない新型NSX(年間100台?)がイキナリ売れなくなるとは思いませんが、既に2~3年待ちと言われる行列に並ぶか?レクサスにしちゃうか?熱狂的なホンダファンでなければ鞍替えしちゃう可能性は十分にあります(^_^;)。
米国ではレクサスとアキュラのブランド力の差は・・・ですからw、相当に厳しくなるでしょうね。

ってな具合に、量販車、少量生産車、双方に於いてボクのようなヲタクなクルマ好きさえも唸らせるよーな「もっと良いクルマ」がトヨタから次々に生み出されてくるようになれば、ニッチなマーケットに絞り込んで個性で勝負している他メーカーは辛い。「それでもウチを選んで貰える」というブランドの確立が急務となるワケですが、こと日本市場にのみ着目すると、スバルはほぼ安泰、マツダはもうひと息という感じに思えますが、正直ホンダはヤバそうです(苦笑)。
Posted at 2016/10/17 14:48:46 | コメント(3) | トラックバック(0) | 自動車市場 | 日記
2016年08月18日 イイね!

プリウス販売苦戦の報に想う

プリウス販売苦戦の報に想う先日、マツダ失速の報道に関してブログを書きましたが、今度はトヨタのプリウスに関してです。

いや別に意図した展開ではないのですが、↓こんな記事を見掛けちゃったもので。。。(^_^;)

トヨタ新型「プリウス」早くも納期待ち無しで販売苦戦か?HV車が普通になり特別感薄れる(autoc-one.jp)

書かれている販売減速の理由はまぁ、書いた自動車評論屋wの見解なので斜め読みするとして(苦笑)

問題と言うか注目の事実としてはやはり、日本市場で大人気のハイブリッド車の、しかも代名詞とも云えるプリウスが、発売8ヶ月後にして受注ペースが落ちてきて、トヨタ社内でも問題になっている点というのが事実ならw

蛇足ですが、ボクはトヨタが嫌いです(苦笑)。そしてプリウスも嫌いで、自慢じゃないですが歴代プリウスの各車についても、タクシーの後席にしか乗った事がありません(爆)。

しかしそれ故に、最新型のプリウスの販売がこんなに早く減速した事実を捉えて

ざまぁみろ!(爆)

と思ったワケではありませんょd(^_^;)

ボクがこの報に触れて想ったことは巡り合わせの悪さです。


そもそもボクがトヨタ車を嫌いな理由が、別にクルマ好きでもなんでもない多くの一般大衆向けには「こんなもんでイイのだ」と云わんばかりの基本性能の低さだったり、ひたすら安定性重視!でドライバビリティが悪いといったクルマ造りの姿勢にあります。それはトヨタなりの顧客志向でありマーケットインの企業姿勢の表れなのですが、出来上がったクルマの多くが、現実問題として運転しても全く楽しくありません(苦笑)。

ホンダ車などは、例えそれがNSXだろうがFITだろうがオデッセイだろうが、パフォーマンスの高低に大きな差があったとしても、同じ匂いの運転する楽しさがあります。つまり少なくともボクが知るホンダ車には、それがコンパクトだろうがミニバンだろうがスポーツカーだろうが、根っ子に有る哲学「クルマは人間が操る乗り物で、扱い易く意のままに動いて然るべき」が貫かれたクルマ造りがされているのです。

一方のトヨタ車には、非常に良く出来た道具というモノ以上に、ホンダ車で感じるような哲学がまるで感じられません。

・ただただフワフワと柔らかく路面の状況を遮断して「乗り心地が良い」を演出する高級車、
・安定性だけには長けて簡単に破綻はしないものの、一向に思い通りに曲がらない大衆車
・それらしい恰好はしていても、ところどころが高級車チックだったり大衆車チックなチグハグな乗り味のスポーツカー
etc...

思わず「オマエたちのクルマ造りの哲学って一体何なんだ?」と噛付きたくなることが多々あって(なにしろウチの家族・親戚にはトヨタ信奉者が多かったのでw)、自分でお金を払ってトヨタ車なんか絶対に買わないと誓って今に至るワケです、、、

そんな風にトヨタ車を評価しているが故に、豊田章男社長が掲げる「もっと良いクルマ造り」は大いに応援したい気分にもなるのです。

だってボクが感じる「走らせても全く面白く無いクルマ」が日本市場のシェア4割を超えて久しく、クルマで走る事に楽しさを感ないオーナーが増え続けている現実もあります。ボクはトヨタ車のシェアとクルマ好きが増えない(運転嫌いが増える)現実には関連性があるのでは?と勘繰っているのです。残念ながら学術的に証明できる材料はありませんが(爆)。

まぁボク個人の想いはソレとして、しかしそんな歴代のトヨタ車の中にも、ときとしてエンジニアの哲学や気概が感じられたモデルが極稀に登場したことがあります。なんで突然、そんなクルマ造りが出来たのかは定かではありませんが、トヨタだってやれば出来るwワケです。

と・こ・ろ・が、、、d(^.^)

モデルチェンジなどでそんなクルマが出たときに限って、その代のモデルが不思議と売れなかったりしたんですねぇ(苦笑)。

プリウスも先代以前の各モデルに於いて、走りの基本性能は専門家の評価が押し並べて低かったものの、日本市場ではバカ売れしました。
しかし今度の最新型はTNGA初採用という事も手伝って、多くの専門家がその基本性能を高く評価しています。

しかしそのモデルが思ったように売れなくなってきた、、、というから悩ましいA^_^;)。

これってトヨタからすれば、クルマの基本性能を高めること、もっと良いクルマ造りなんかしたところでどーせ商売に結び付かないじゃん!という結論に導く材料に成り得ます。

ボクが巡り合わせが悪いと言うのは以上のような意味です。

じゃぁ先代まで大人気だったプリウスの最新型が、なんで1年も保たずに減速に見舞われたか?
その真因を、このブログを読んでいる皆さんはどう考えますか?某自動車評論家が言うように「ハイブリッドの神通力に陰りが見えた」からでしょうか?w

ボクの意見は極めて単純明快ですd(^.^)。

その理由は格好悪いから(爆)

流石に発売直後から2万台以上がコンスタントに売れると、あっという間に街中でも見掛けるようになります。ハイブリッドの定番の最新モデルですから、まぁ何も考えずに飛び付く客は多いでしょうし、人気が過熱して納車まで時間が掛かるとなれば「早く手に入れたい」という心理も働きます。
しかしそういった層の需要、云わば新車効果も発売から半年もすれば或る程度は落ち着きます。

で、熱気がそこそこに冷めた状態で新型プリウスを見てみるとどうでしょう?わざわざディーラーに足を運ばなくても、街中でも結構頻繁に見かけるようになりました。

クルマには全く疎いウチのカミさんですが、興味が無いなりの普通の美意識は持っています(^_^;)。
助手席に座る彼女にたまたま並走していた新型プリウスを指して「どう思う?」と聞いたら、間髪を入れずにこう答えました。

カミさん:「変!」

ボクは我が妻の印象ではあるものの、これは市場の声を代表していると思いましたね(^_^;)。

カッコが良い/悪いは個人の趣味・趣向、好みの問題で、印象(評価)は様々あるでしょう。

しかし変な恰好のクルマに乗りたいと思う人は、普通に考えればあまり多くはないのではないでしょうか(苦笑)
Posted at 2016/08/19 19:26:27 | コメント(4) | トラックバック(0) | 自動車市場 | クルマ
2016年08月17日 イイね!

ついに可変圧縮比エンジンが登場

ついに可変圧縮比エンジンが登場日産から可変圧縮比の過給エンジン「VC-T」が発表されました。

日産、燃費を改善する世界初の可変圧縮比エンジン「VC-T」量産化(CarWatch)

技術発表は2005年には行われていたため、実用化というか市販まで丸10年以上を要したことになるワケで「遂に」と云ってイイでしょうね(^_^;)。

このエンジンのナニが凄いのか?といえば、それは圧縮比が可変であること(笑)。

いや笑い事じゃなくって、これ以外に世界中のあらゆるエンジンの圧縮比は「固定」なんですねd(^.^)。

つまり、従来変えることが出来なかったが故の限界から、このエンジンは解放されます。


実は同様の事例は過去にもあります。いまだに我が愛機のNSXに搭載されているVTECエンジン。

そう、これの登場以前、エンジンのバルブタイミングやバルブのリフト量は固定であって変化させることは出来ませんでした。d(^.^)

したがって

高回転で高出力を得たい
 ⇒ バルブタイミングのオーバーラップを大きく・リフト量も大きく
  ⇒ 中低速のトルクは細り、低負荷域の燃費も悪化


なんてことになるワケで、中低速域のドライバビリティや燃費性能を水準以上にしようとすると、高回転域での性能に極々当たり前に妥協を強いられたワケです。

VTECはこの縛りから、低回転域用、高回転域用という二つのカムプロフィールを与えて回転数によって切り替えることを実現し、どちらにも妥協する必要が無いエンジン造りを可能としました。

以降、各社からバルブタイミングのみの変更や、バルブタイミングとリフト量の連続可変などの技術が生まれて現在に至るワケですが、こんな風に振り返ると、従来変更が出来なくて当然であったモノ(コト)を変更可能にした技術の登場が、後の技術革新に多大な影響を与えたことになります。

日産の可変圧縮比も同様のインパクトを与える可能性を秘めているワケですが、特に欧州のエンジニアリング会社で「圧縮比二段可変」の技術開発が進行中で、欧州メーカーに採用されるのも遠い未来ではなさそうです。

日産のVC-Tに話を戻すと、初登場となる2Lエンジンの性能は、最高出力で270ps、最大トルクが39.8kgmってことですから十分にスポーツユニットと云って差し障りないレベルに達しています。加えて燃費効率は旧来の固定圧縮比エンジン比で27%向上というのもかなり大きな改善になります。

変更できる圧縮比は8~14ということで、低中速での巡航時などの低負荷域(ほぼ過給なしの状態?)では圧縮比を14に近づけて高い熱効率を狙い、高出力を得たい高過給圧領域ではノッキングを回避するために圧縮比を8まで下げられる、ということでしょう。

コンロッドを比較的シンプルなリンクに代えることで圧縮比を連続可変可能としたのは素晴らしいアイディアで、実用化まで10年以上を掛けたことで恐らく耐久性も万全なのでしょうが、ボクの印象としてはいくつか気になる点があります。

圧縮比を可変させられるようになったことで、低負荷域の熱効率と高負荷域の高トルクを両立するってことは、固定圧縮比のエンジンがチューニングを変えて熱効率重視、パフォーマンス重視(或いはその中間とか)に振らなければならなかったものを、ひとつのエンジンに同居させられるようなモノです。

そうなると気になる点は、VC-Tは「燃費重視のエンジンより省燃費なのか?」と「パフォーマンス重視のエンジンより高性能なのか?」の二点。

例えばVWのゴルフやAudiのA4に搭載されている2L TSIは

A4:圧縮比11.8/190ps/32.6kgm/JC08モード18.4km/L
Golf R:圧縮比9.6/280ps/38.7kgm/JC08モード14.4km/L

なんてスペックだったりします。VC-Tの今解っているスペックは270ps/39.8kgmらしいのでGolf Rと同等ですが、燃費性能はわかりません。これのJC08モード燃費が18~19km/Lレベルであれば、正に可変圧縮比ならではの性能と云えるかもしれませんが、どうなんでしょうか?(^_^;)
因みに圧縮比13の今は亡きwアクセラ20SのSKYACTIV-G2.0のJC08モードは19.0km/L w

カタログ性能はソレとして、次に気になる点は実用性能です。特に燃費。というのも、、、

従来のエンジンは圧縮比が変えられないが故に最適な負荷領域から外れた部分をどうするのか?高度な制御による妥協が必要でした。しかしVC-Tは可変圧縮比ですから全ての領域で妥協せずに最適な制御が可能・・・と思ってしまいますよね?(^_^;)

ホントにそうなのか?そうなるのか?という疑問です。

上記に紹介したAudi A4のTSIは過給エンジンとしては異例に高い11.8という圧縮比ですが、これが固定であるが故、最適な低負荷域も、最適から外れてくる中負荷域も、不得手な高負荷域もこの圧縮比でエンジンを回さ(混合気を燃やさ)なければなりません。結果として高い熱効率は得られるものの、パフォーマンスにはやや妥協を強いられる、という構図です。

一方でVC-Tは圧縮比が可変ですから低負荷域では圧縮比を最大に高められるものの、負荷が高まってプリイグニッションやノッキングの危険が生じれば、圧縮比を下げることによって回避出来てしまいます。つまり「高い圧縮比(=高い熱効率)」から簡単に逃げられるのです(^_^;)。

そう、最適制御という言葉は実に都合が良いのですが、設計上、圧縮比を14に出来る構造でありながら「実用上、圧縮比が14になることはほとんどない」なんていう制御になってしまえば、実用性能は上がらずスペック倒れのエンジンになってしまいます。

ボクがこう懸念するのは、VC-Tが連続可変という素晴らしい機能を持っているが故です。

無論、日産の技術者が安易な妥協をするなんて思ってはいませんが、恐らく膨大なテストを経て組まれるであろう制御プログラムのロジックが、エンジン負荷に応じて最適な圧縮比に瞬時に調整してくれるが故に、最大熱効率となる圧縮比14に結果的にほとんどならないというのは十分に考えられる、、、というか陥り得る話です。なぜかというと、ここでいうエンジン負荷って早い話がドライバーのアクセルの踏み方、つまり運転の仕方次第だからですd(^_^;)。

改めて、なぜ圧縮比を下げなければならないのか?これは異常燃焼やノッキングの回避です。
なぜ圧縮比を上げたいのか?これは圧縮比が高い方が熱効率が高いからです。

固定圧縮比のエンジンも異常燃焼やノッキングの危険性はあり、それに対しては点火時期を遅らせたり燃料噴射量を増やして回避します。気筒内温度を下げることによって回避するワケですが、それによって犠牲になるのは効率です。可変圧縮比のVT-Cも圧縮比を下げて回避するのであれば、やはり犠牲になるのは(熱)効率です。

つまり回避方法が異なるだけ(苦笑)ってハナシなので、結果的に得られる性能にもし大差がなかったら、なんのために複雑な機構にコストを掛けて圧縮比を可変にするのでしょう?という議論になりかねません(^_^;)。

ここに至ると動かないメリットは冒頭で指摘した、パワー重視と燃費重視、二つの性格をひとつのエンジンに同居させられる、という点に戻るのですが、それそれの性能が固定圧縮比エンジンの競合に対してどれだけの優位性があるのか?という点がやはり気になります。

パフォーマンス面ではパワー重視のライバルに勝てず、効率面では燃費重視のライバルに及ばないとなったら、市場からはどれだけの支持が得られるんでしょうね?というハナシ(^_^;)。

ボクの気になる点は製品が市場に出てみなければ勿論わからないのですが、この可変圧縮比の技術は過給エンジンが主流になっている欧州各社も注目している技術なので、その動向はやはり気になります。

最後にボクが応援している日本メーカーですが、ダウンサイジング過給エンジンをラインナップに加えたホンダはどうも可変圧縮比の研究も続けているようですが、自動車用エンジンとして実用化するにはまだ少し時間が掛かる段階のようで、そこをどのくらいの本気度で目指しているかは不明。

一方のマツダですが、人見さんが云うには「可変圧縮比は火花点火するには有効な技術だが、HCCIで燃焼させられれば必要ない技術」とバッサリ(苦笑)。

ハイブリッド、EV、燃料電池とパワーユニットの多様化は止まりませんが、エンジンの進化もまだまだ面白いですね(^-^;)。
Posted at 2016/08/18 15:14:54 | コメント(1) | トラックバック(0) | 自動車市場 | 日記
2016年07月20日 イイね!

自動運転について想ったこと(弐)

米国で自動運転中のテスラが死亡事故を起こした件は少し前に話題になりましたが、今日ちょっと面白い記事を見付けました。

【土井正己のMove the World】テスラの死亡事故で我々が学ぶべき「3つの視点」

土井氏が紹介している3つの視点とは米国コンシューマーレポートで指摘されたものですが、一部から非難の声が上がっていたテスラのPR方針も含め、今後のこの「自動運転」なるものについて、非常に重要な視点だと思いました。

商品を開発する自動車メーカーがバラ色の未来を謳って機能の素晴らしさをアピールするのは当然としても、専門家やメディアがメーカーの言うがままに宣伝の片棒を担いでいるだけで良いのか?というジャーナリスト批判は土井氏の「メディア側も反省すべき」との締め括りに譲るとして(苦笑)。。。

テスラが初の死亡事故を起こす一方で、日本では日産が新型セレナに「プロパイロット」なる新機能を搭載してデビューさせました。限定条件ではあるものの速度管理に留まらず方向制御(つまりステアリング操作)も実現したようで、機能面という点では他社に一歩先んじた格好です。

ただボク個人の見解としては昨年10月のブログで書いた通りで、現状かなり普及しているレーダークルーズコントロールの次の段階は、完全自動化まで一気に行かないとあまり意味は無いと考えています。

因みにですが、アテンザを新型に買い替えたらレーンキープアシスト(LAS)という機能が付いてきました(笑)。

これはあくまでアシスト機能なのでステアリング操作を自動で行うワケではありませんし、そもそもハンドルから手を離すと警告が出る仕組みなのですが、車線を維持しようとステアリングに介入してくるのは事実です。

そこで試しに「ステアリングから手は離さないが、意図して操舵をしない」ように運転してみたところ、直線ではほぼ車線の中央を維持してくれて、緩やかなカーブでは車線逸脱警報が一旦は鳴るものの、その後にグィとステアリングが勝手に動いて車線の真ん中に戻ろうとする、なんて動きすることが判りました。

この経験から、現状のマツダのLASに於いても相当に自動運転に近いところまで技術は来ているとは感じたものの、そもそも安全性と言う視点でドライバーとクルマの役割(責任)分界点が確立されていないが故に、機能はドライバー支援というスタンスに意図的に留めているような印象を持ちました。

ボク個人の見解は以前のブログでも書いた通りで、完全自動の手前には様々な「ドライバーの負担軽減」という領域があるのかもしれませんが、結局ドライバーが運転と言う行為から解放されない限り、レーダークルーズから先の恩恵は微々たるものと考えています。
日産のプロパイロットのオーナー評価がどう出るか?は色々な意味で興味深いですが。

テスラの死亡事故後、日本の国交省も自動運転という言葉に過信しない旨のお達しを出しましたが、今後メーカーがどのようなロードマップやアプローチをもって運転の自動化に取り組んでいくのか?という点は注目ですね。

別にボク個人が自動運転と言う機能を欲しているからでは無いんですけど、、、(^_^;)

テスラのPR方針はコンシューマーレポートで批判されましたけど、少なくとも老舗wの自動車メーカーが運転の自動化に取り組む最大の理由は安全性です。人間はどうしてもミスをしますし、交通事故を少しでも減らせないか?そのためにクルマ側で何かが出来ないのか?という発想が出発点の筈で、別に「どうしたらクルマが売れるのか?」などという発想からスタートしているワケはありません(^_^;)。

そんな中で確か昨年のモーターショーだったと思いますが、アイシン精機が掲げた自動運転に関するスタンスは、非常に画期的だと思いました。

「ドライバーが不測の事態で意識を失ってしまった場合など、緊急時にクルマを安全に退避させる技術」

要するに昨今の自動ブレーキwと同じで、普段はけっして出番は無く、もしかしたらオーナーが所有する間に一度も動作しないことが幸せかもしれない?機能ではあるものの、文字通り万一そのような状況になった場合に、周りに危険を及ぼすことなく安全にクルマを停止させる、というワケです。

疾病による意識不明、居眠り運転、その他ドライバーが安全運転を継続出来ないとクルマが判断した際に、即時かつ安全確実にクルマが自動で止まってくれる、そんな「自動運転」であれば、恐らく過信云々なんてつまらない議論もなく、その機能の搭載に反対する人も居ないでしょう(^-^)。

便利機能よりも先ず安全、というのは、正しいアプローチだと思いますね。
Posted at 2016/07/20 14:13:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車市場 | 日記
2016年07月06日 イイね!

近未来エンジンの進化の方向性

近未来エンジンの進化の方向性この週末に日経Automotive7月号を買ってむさぼり読んだwのですが、そこで得た様々な情報を備忘録的に記載しておきます。

雑誌の内容をそのまま転載するのは著作権侵害に当たるので、ボクなりの理解をボクなりの言葉で書きますが、もしかして誤解があったらゴメンね(笑)。


先ずはボクがもっとも注目するマツダですが、人見氏の主張に従前からの変化は無くブレてはいないものの、研究開発が進んだ結果か、時間が経ったから明かせるのか、ボク的にいくつかの追加情報がありました。

・圧縮比の次は比熱比の改善で超希薄燃焼にいくしかない
・理想空燃比(14.7)に対して空気過剰率が倍の30を目指す
・燃料を薄くすると火花着火が困難になるのでHCCIで着火する
・燃料が薄くなるとトルクが低下するので排気量を上げれば良い(アップサイジング)
・重要になるのは「大排気量化」「高圧縮比化」「EGR」に加えて「過給」の4セット
・高負荷域では火花点火を当面は併用するらしいが、どうも全域HCCIも諦めてない様子


ボクの印象では近い将来の実現性を見据えたコメントと、もう少し先の理想の内燃機関を意識したモノが混在しているように思えました。それ故にSKYACTIV Gen2としてデビューするエンジンがどんな姿になるのか?については俄然、興味が膨らみましたね。

ボクなりの着目点は空燃比をストイキの倍となる30にするという話。
ストイキの1.5倍とかではなくなぜ2倍以上?というのにどうやらNOxの排出が関わってくるらしく、現状の三元触媒もストイキでなくなると性能が発揮されずに別の手立てを講じなければならないなど、2倍以上に出来ないと色々と問題があるようです。
そしてもし低負荷から高負荷まで全域で空燃比30以上(つまりHCCIで燃焼)を実現できるとトルクがストイキの半分になるので倍の排気量にすればツジツマが合うという話。

理屈はこれで理解出来ましたが、実現性を考えると疑問が様々出てきます。

SKYACTIV-Gが少し先の未来で全域超希薄燃焼を実現したとしたら、第一世代に比べてトルクが半分になるので排気量は倍にする、というワケですから

SKYACTIV-G1.5 →3.0L
SKYACTIV-G2.0 →4.0L
SKYACTIV-G2.5 →5.0L

という話になってしまいます。しかしそうなると、どれも四気筒では無理じゃね?(^_^;)
だからそこまで排気量を増やさずに過給、という流れに行くのでしょうが、先ずは直近のSKYACTIV Gen2では全域では無く低中負荷域のみHCCIを目指すとなると、自然吸気のままイケるのか?(^_^;)

ってな具合で、マツダが目指している方向性は理解したものの、近い将来に登場する市販エンジンの具体的な姿についてはまだかなり霞が掛かった状態ですねA^_^;)。

因みに過去にボクが妄想したSKYACTIV-Gの第二世代に関するブログはコチラ


マツダの動向はソレとして、雑誌を読んで知った国内メーカー他社の動きでは、トヨタも日産もホンダもマツダと同様に超希薄燃焼の実現を目指しているという話。しかしマツダがHCCIで着火させようとしているのに対し、3社は火花点火を目指しているそうです。
各社の主張するところ、勿論HCCIで着火・燃焼させることが出来るのが理想ではあるものの、現状から一足飛びにそこに到達するのは難易度が高く、先ずは薄くした混合気を火花点火という従来のエンジンで用いてきた制御可能な技術でクリアし、火花を使わずに着火させるのはその次、というステップを踏む目論見のようです。

確かにその方が確実性が高いように思えますが、空燃比30の混合気を燃やすのは容易では無いようで、火花ではなくレーザーを使うとか、一点では無く多点で点火するとか、色々と研究している様子です。

またVWのEA211 TSI evoを引き合いに欧州メーカーの動向も紹介されていますが、話を整理すると欧州メーカー各社がダウンサイジングに走ったのも、昨今ライトサイジングと称して一旦は減らした排気量を増やす動きに転じているのも、燃費規制が大きく影響しているという事のようです。

これは欧州各社が相次いで多くのPHEV車を発売している点も同様でしょうが。

要すれば、欧州の現行燃費規制の試験モードであるNEDCにはダウンサイジングは好都合だったものの、今後の新しいWLTCモードでは都合が悪くなるので、そっちに都合が良いライトサイジングにしたってハナシ!?

試験モードってあくまでも性能の良し悪しを同じ尺度で測る物差しです。

試験方法が変わってもクルマ(エンジン)の良し悪しは本来は変わらないワケですが、試験方法が完璧でない限りは、エンジンによっては有利、不利と言う話は無くなりません。

それは仕方がないとは思うモノの試験方法が変わるのに伴ってエンジンの開発コンセプトが変わるってのはどうなの?と思わずにはいられません(^_^;)。

なんか、受験テクニックに長けた受験生が模擬試験までは好成績が取れていたものの、本試験が直前で全く様変わりした内容になって不合格になり、結局彼は試験で高得点を取るテクニックにばかり長けただけで、求められる学力が身についていたワケでは無かった(平たく言えば賢くなっていたワケでは無かった)なーんて日本の過去の受験制度で指摘されていた問題の自動車版のように思えて、ちょっと興醒めしちゃいましたね(^_^;)。

ボクのような自動車好きはメーカーの「高性能なクルマ(エンジン)を作るぞ!」という気概にこそ共感するのであって、お受験テクニックに長けただけのクルマ(エンジン)になんか興味はありませんから(苦笑)。
Posted at 2016/07/06 14:48:16 | コメント(1) | トラックバック(0) | 自動車市場 | 日記

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